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悲しみの連鎖

隣家では知る由もない
秘めて執り行った
家族の死を
心の引き出しに
そっと・・忍ばせ
いつもと変わりなく
これまで同様
日々を送る

そんな折
ポこんと
どんぐりが
落ちて来たかのように
ひとつの命が
失われていたことを知った

子どものころは
兄弟のように過ごした相手
Aが亡くなっていた

Aは表通りに面した
本家長男の惣領息子

中庭を供して裏にあるのは
末妹の子・・私が住んでいた

1歳しか年が変わらず
同じ幼稚園
同じ学校と進むも
性別の違いと身分の違い

笑われるかもしれないが
一族の直系男子
それも長男とは
大きな隔てを以て
処遇されていました

幼き折は
そんなことを知らず
無邪気に過ごしていましたが
長じるにつれ
自然とへりくだるように
なっていきました

しかし
思春期になると
癪に障り始め
性の違いを理由に
言葉すら交わさなくなった

Aは恵まれた
環境でありながらも
両親とは早くに死別
それでも親族の年長者が
こぞって支援しており

恐らくだが
成績も優秀で地元でも高名な
高校から大学へと進学し
数年を経て
教師の職に就いたのです

将来を嘱望されていたので
すぐに海外の学校に
赴任となり、数年ののち
鳴り物入りでの帰国

私とは違う世界の人生

羨ましいとか妬ましいとかは
全く感じない
ただ、私とは違うのだ
それだけわかっていました

先日の父の逝去前に
母の姉も逝去しており
昨年末から悲しいことが
重なっていました
それでも
日常を取り戻せんとする
今・・。

本家の資産の代表責任者を
A様死去にともない
再選定してほしい云々と
役所からの手紙
それも日付は1月末

今頃、巡り巡って
届いた知らせに
正直、悲しみを
感じなかった

遠くの親戚よりも
近くの他人・・
そんな感覚でした

でも、一夜明けて
追いかけるように寂しさが
募ってきた

私より一つ年下なのに
なんで・・なんだろう

私も終いを
考えなければならない
年になってきている・・
そうなのか・・・な


これで3つの別れ

持ち上げても
持ち上げても
寂しくて
涙が出るね


それでも
前を向くしかない

悲しみの連鎖は
これで終わって欲しいよ







毎日の重ねから私なりの 「思い」を綴っております 少しでも「あなたの」琴線に 触れるものがあれば幸いです 読んで下さり、ありがとうございます