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怪-Ⅱ #1の1(特殊清掃)


田舎での一人暮らし
メゾットタイプで
賃貸料が安い上に
コンビニやドラッグストア
ディスカウントショップ
スーパーなどが
歩いて数分の距離にあり

山と畑に囲まれて不自由はない

静かなのに10分もあれば
市街地に行ける

これ以上はない条件に
住んでいます

とても気に入っているし
個人の家主経営なので
1棟しかない
メゾットアパート・・

マンションと言うには
小ぶりだからね

私を入れて4組しか入れないの

隣は空き室なので

本当に気ままな生活。

ベランダからの眺めは

少し遠くに山があり

近隣は葉物野菜の畑が
広がっている

時々、肥料臭が残念だけど

だいたい、雨が降る前に
肥料をするみたいで

すぐに気にならなくなるから
これぐらいは我慢しなきゃ

そのベランダから対象の位置が
玄関とお台所です

玄関はいってすぐ右側が
台所の流しと
なっていて
通路に向き合っています

食器を洗いながら来訪者を
窓越しに確認できる
そんな間取りです

通路に面した小窓は
いつでも開けっぱなしで
風通しのために
網戸にしているが

向こうからは
見えづらいように
レースのカーテンを
下げています

私が住んでいるメゾットは
2階が玄関となっており
階段を上がって左側
短い通路を外れまで行った
突き当り側に玄関があるので
途中の通路が丁度
お台所の流しに当たるという訳ね


この玄関側の真向かいの
真下に

全く同じつくりの
平屋一軒家が2棟あり

ここには小さいながらも
庭が設けてあるので
家族向けの賃貸家屋として
建てられたのでしょう

道路に面したほうは私同様
独身の女性が
住んでいるようで
50~60代くらいの方

いつも庭の草むしりをして
お勤めはしていないようです

ご挨拶程度の付き合いですが
毎日、庭の手入れをしたり
水まきをしたりと
朝な夕なに
お見かけしていましたが

最近、とんとお会いしません

庭の草花も暑さのせいで
水が足りないようですが
うなだれるに任せています

長くお留守なんだなぁと

通りすがりに思いましたが
そのまま、いつとはなしに
忘れてしまいました

私の部屋は
夏場風通しがよく

電気を消して
網戸にしていれば

夜はクーラーも不要なほど
涼しいのですが

今年は違いました

最近、隣の畑を
若い人に貸したと
聞いた頃から

毎日、のべつくまなく
肥料臭がするので

ずっと締め切りクーラーを
使っていたのです

悪いけど
あまりにも長期間続くので
いい加減
大家さんに
ご相談しようかと
思っていた、ある日曜日

お寝坊していましたが
外の騒がしさで
目が覚めてしまいました

台所の窓越しに除くと
お向かいの長期不在の
女性宅に
警察官が出入りしています。

驚き、身支度を簡単に整え
外にでて階段を降りると
大家さんが居ました

傍に行き
「何かあったんですか?」と
聞くと
「○○さん
         孤独死してたみたい」
    ・
    ・
    ・
「それも、だいぶ以前に」

愕然と致しました
確か初夏・・・

梅雨が明け、暑くなりだした
と、感じたころから

窓が締め切ったまま
カーテンも引かれ

朝夕、お見かけすることが
無くなった

忘れておりましたが

まさか・・・

そんなことになっていたとは

想像してもおりませんでした

気付けなかった
思い至らなかったことに
一抹の良心の呵責を
感じたとき

大家さんが
小声で耳元に囁いた
「この家ね‥
  よく人が亡くなるのよ」


「えっ!」

「最近は死んで退去なの」

「連続だわ」


思わず大家さんの顔を
見つめてしまった

「ここじゃ、なんだから
  うちに来なさいよ」

話好きな大家さんは
そのまま、私を
自宅へ引き込んだ

室内は涼しく空調が効き
汗ばんだ体と
興奮からの熱気を
程よく
クールダウンしてくれる

冷えた麦茶と小豆の水羊羹
醤油味の御煎餅に
クッキーなどなど

あ~こりゃぁ
長くなりそうだね


起き抜けで
何も食べていなかったから
遠慮なく
戴きながら腰を据えた






毎日の重ねから私なりの 「思い」を綴っております 少しでも「あなたの」琴線に 触れるものがあれば幸いです 読んで下さり、ありがとうございます