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又吉直樹とカネコアヤノの朗読と閃きの夜

この投稿はレポートになっています。感想は別で投稿しました。


普段から又吉直樹さんの本を読む。月と散文も良かったな。
生で聴くカネコアヤノさんのライブかっこよすぎたな。
又吉・児玉・向井のあとは寝るだけの時間のラジオ楽しかったな。

いつもの私はこんな調子で生活を送っているので、又吉さんとカネコアヤノさん向井さんのイベントが行われると知ったときの衝撃は凄かった。無料ということにもとても驚いた。

抽選方式で約10日前にハガキが届いた人は当選といった、直前にならないと分からない状態だったけど、私は当落を知った10日後の2023年9月21日木曜日には無事飛行機と電車を乗り継ぎ始めて姫路の地に足を着いた。

自由席だったので開演前には列ができた
コロナ禍は入場制限もあったので、又吉さんが満席の客席をみて2,000人か〜と感慨深そうに眺めていた

以下、覚えている限りのレポートです。覚えているというか私の感じたままになっているので実際と少し違うかもしれませんが許してください。
大きな構成としては、次の通り。



又吉さんの朗読

又吉さんは普段から使っていると思われる黒いノートを持って壇上にあがった。舞台の下手側に椅子がありそこで朗読を始める。

『あれ、おれやで』というタイトルの朗読。淡々とはじまる話に「あれ、おれやで」「あれ、おれやないで」と続いていく。

天使の羽の話。学校の風鈴にみんなの願いを書いて、天使の羽ばたきでそれが揺れて音がなると願いが叶う。ある日、私の背中から羽が生えてきた。それが天使の羽なのか悪魔の羽なのか分からない。最近この街では悪魔の羽が生えてきた人はいないらしい。天使になればれ公務につくことになる。悪魔だったら、、、。お母さんに心配をかけないよう、天使だったよ!と報告するため早起きをして自分の背中を確認した。黒い羽だった。窓から陽がさしてところどころ白く見えなくもない。お母さんがその姿をみた私をぎゅっとだきしめた。私は悪魔の羽で風鈴をならした。

幼ない頃、沖縄で又吉さんがカチャーシーを踊って大爆笑が起きて褒めてもらえるとおもったらおとんに「あんま調子乗んなよ!」と言われ、人を笑わす快感と同時に表現することの恐ろしさを同時に知った。おとんは子供に嫉妬していた。

そちらのお子さん近所で立ち小便してない?」と近所の人が家を訪ねてきた。おかんは僕に確認しそんなことしていないという僕の言葉を信じてくれて「うちの直樹はそんなことしません。どっか知らない犬かなにかじゃないですか?」とかばってくれた。夜、帰ってきたおとんに一連の話をすると、「それ、おれやで」と言った。知らない犬ではなく、おとんだった。

沖縄のおばーは家にいる虫はおじーだから殺しちゃだめだよ。外に逃すんだよと言う。しかし、虫が2匹いる場合はどっちがおじーなのか分からない。翌日おばーの目の前に虫がいてそれをパチンと殺した。小さい虫はおじーではないことが分かった。当時70歳ぐらいだったおばーは別れの際にもう会えないさーと泣いて別れを惜しんだ。そんなおばーは104歳。

私が又吉さんの本を読み始めたきっかけでもある、「夜を乗り越える」にも似たようなエッセイがある。一度読んだことがある内容だけど、文章として読むのと朗読で聞くのは心への伝わり方が違うものなんだなと感動した。感動して笑いながら涙を流してしまった。朗読ってこんなにも力があるものなんだと気づいた。


カネコアヤノさんを含めた又吉さんと向井さん3人でのフリートーク

又吉さん:カネコさんの楽曲が好き。ライブにも行くしCDやレコードを買って聞くこともある。散歩の時はサブスクで聞いたりもする。昨年は、サブスク内の聴いた楽曲ランキングで上位にカネコさんの楽曲が沢山入っていた。「閃きは彼方」という楽曲が好きで、最初の歌詞をすぐ言えないんですけど、こういう時は覚えていないといけないんですけど(笑いながら)、自分の中に取り入れた表現で言うと、色々と周りに気を遣ったり逆に人の目を気にしたりする世の中だけど、自分が思っている事だったりに誠実になっていいんだと気付かされた。ハッとして、そうだよなと思った。

カネコさん:コロナ禍を意識して書いたわけではないけど、食べるものとか着るものとか誠実でありたいなと。よすがの中でも軸になった楽曲なので嬉しいです。

カネコさん:自粛が始まった夏によすがのアルバム制作があってそれに取り組んでいた。だけどその制作が終わったあとには何もやる気が起こらず音楽活動自体を辞めようかと悩み相談もした。スタッフさんに色々協力してもらいできることをした。配信のライブは客席に誰もいないのに、誰に向けて音楽をやっているんだとおもったので円になったバンドの配置で演奏した。

又吉さん:ウーキングデッドを全話見た。
カネコさん:私も全部見た。
又吉さん:シーズンを通してずっと見ていると、助かる側ではなくゾンビ側として見てしまう。
カネコさん:私は1話の最初で死ぬタイプだと思うので戦うために頑張ろうと思えない。


又吉さんの失恋カルタ(失恋した女の子目線)

又吉さんとカネコさんがコロナ禍に何をやっていたかという話。

向井さん:コロナ禍で何か始めたことはありますか。
カネコさん:私はなにも。
又吉さん:恋にやぶれた女の子目線の失恋カルタの読み札を「あ」〜「ん」まで作成しました。(自分のノートを持ってくる)

又吉さん:ちょっと読んでみますね。
「あ」雨降ってても楽しかった頃が懐かしい
「い」言ってくれたら直せたよ、それくらいのことなら

みたいな感じですね。

向井さん:カネコさん聞いてみたいひらがなありますか?
カネコさん:えーっとどうしよう。(沈黙が続く)
向井さん:大丈夫ですよそんなに悩まなくても。又吉さん色々と読んでくれると思いますよ。
カネコさん:「む」、、いや「き」
又吉さん:「き」きつねうどんの食べ方が嫌でした
向井さん:なんですかそれ。
又吉さん:おあげを最初に食べるの嫌やん。汁におあげの旨味をうつして食べたいやん。
向井:そうですかね〜あまり気にならないですよ。

又吉さんと向井さんがやりとりしている間もカネコさんは又吉さんのノートを見ながら、
「な」なんとなく続いていくって期待もあったし
「ら」ラストチャンスも貰えないんだ
「く」苦しい顔するの、得意だよね

等を読み上げる。

又吉さん:実はこの「失恋カルタ」、「”続”失恋カルタ」というのもあって。失恋した女の子が元彼に合鍵を返すためにポストに合鍵とこの「失恋カルタ」を投函するんですね。でもこの「失恋カルタ」って女の子目線なんで、オレだってという思いから元彼もそのアンサーで「”続”失恋カルタ」を作成するんです。
カネコさん:2人でそんなことできるの相当お似合いのカップルですけどね。
又吉さん:たしかにそうやな。こんなかんじ。
「ち」小さな男とだなとは友達にも言われたよ
さっきよんだきつねうどんの答えもあって。
「き」きつねうどんちょっと頂戴と言われるの嫌でした


プレゼント企画

前半の部が終了し、又吉さんカネコさんがはけた後、向井さんが「みなさん座りっぱなしなのですこし立って伸び等をしてください」と案内してくれたところ、急なプレゼント企画が始まった。カネコさんから「タオルケットは穏やかな」アルバムを20枚、又吉さんから「月と散文」のサイン本を10冊をプレゼントがあった。座席裏にシールが貼っている人がいれば当たりということだった。無料イベントでプレゼントももらえるなんてご褒美すぎると思った。(私の座席にはシールなかったです。)


カネコアヤノさんの弾き語り

タオルケットは穏やかな
光の方へ
アーケード
祝日
気分
閃きの彼方


フリートーク(2回目)

カネコさん:楽曲は歌詞と曲、同時に作ることがほとんどです。日常の暮らしていて感じたことをメモして。些細な瞬間ですね。友達とおしゃべりしたこととか。説明はしすぎないようにしています。歌詞は説明をしすぎない、その意味だけの歌になってしまう。誰が聴いてもそれぞれの咀嚼ができる方が良い。映画とかも説明されすぎるの嫌なんですよね。最後に色々自分で考えられる方が好きなので。あとはこのフレーズを使いたいとおもってそこから歌詞を広げていくこともあります。
又吉さん:歌詞だけじゃなくて音も感情を伝えられる。曲によって意味が分からなかった歌詞の意味が音で繋がることがありますよね。あまり説明しすぎない歌詞、昔からそういう曲の作り方ですか?
カネコさん:昔は全然そういうことを意識していなくて、「祝日」のアルバムができた前後に自分の方向性というかやりたいことが固まった感じがあります。

又吉さん:曲作る時に時間かかったものとすぐできたもので違いとかありますか?コントでいうと意外にぱっと作ったものの方がお客さんのウケが良いんですよね。
カネコさん:特に違いはないです。すぐにできるときもあるけど、時間がかかることもあります。弾き語りはシンプルに引き算で、バンドアレンジは足し算なので考えすぎて何周もしちゃうこともありますけど。バンドは4つの心臓があって1つの生き物って感じなので、オレはこう思うけど、みたいな感じの演奏に対して、それならっていうお互いの感覚でやっていく感じ。
又吉さん:カネコさん弾き語りは引き算って言いましたけど、弾き語りでもかっこいいんですよね。引き算じゃないような気がします。バンドももちろんかっこいいんですけど。

又吉さん:以前番組でご一緒した時のトーク思い出しました。カネコさん学生の頃はずっとライブハウスに通っていたんですよね。
カネコさん:そうですね。ライブハウスに通っていましたけど自分が表に出るなんて全然思ってもいなかったです。学生の頃は本当に人前に出ることが苦手で、どれぐらい苦手かというと、授業中に指名されて前にでても緊張して泣いてしまうぐらい前にでる人間ではなかった。考えていることや感情を言葉にして伝えるのが難しかった。でも歌なら自分を表現できるんです。
又吉さん:日常のいろいろな感情が溜まって創作に繋がる。表現をしたいという感情があふれ出るそれは息継ぎと同じ、表現したい気持ちがたまりに溜まってワッと創作で吐き出す。そしてまた膜がはって表現したい気持ちが溜まっていく。
カネコさん:表に出て表現する、創作するのは息継ぎと一緒。


又吉さんの朗読(怒りをぶちまけてもいい国)

残り時間が少なくなっている中、1.5倍速ぐらいの速さで又吉さんが朗読をすることになった。向井さんカネコさんも着座のまま朗読を聞く。

怒りをぶちまけてもいい国に招待される。幼少期から大人になるまで色々な場面で怒りをぶちまける。お金がない中、彼女と行ったランチで行ったお店の店員の対応がカップルを傷つけた。怒りをぶちまけてもいい国の僕は、すごい熱量で店員を問い詰める。

怒りをぶちまけてもいい国を朗読する又吉さんの世界観は圧巻だった。序盤ぐっと世界に連れていかれる感覚があって、後半の息継ぎもなく問い詰める朗読にどこか面白みを感じてしまった。朗読を聴きながら向井さんもカネコさんも食い入るように聴いたり笑ったりしていた。


以上、「又吉直樹とカネコアヤノの朗読と閃きの夜」とてもとても楽しかったです。今回はレポートとして見える化した内容なのであまり感想は書いていないですが、この朗読会を通して沢山感じたことがありました。本当にこの時間を過ごせて良かった。そう思える夜でした。


とても綺麗な会場(アクリエひめじ)でした。
雨予報だったけど朗読会が終わった頃には晴れていた。水溜りに跳ねるキラキラとした光が綺麗だった。


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