雑文 砂漠
ここには何もない。そう書かれた看板が砂漠のど真ん中に立てられている。もちろん俺が見つけた時には看板は倒れていて、半分以上は砂に埋もれていた。それを俺が掘り出して再び立て直したのだ。俺がここから去ってしまえば再び看板は倒れ、砂に埋もれてしまうことだろう。しかしそんなことはどうでもいいことだ…。大体この看板にかかれている内容は正しくない。ここには何かがないわけではない。まず砂がある。忌々しいサソリもうようよしている。それにこの辺りは近くを砂漠を横断するキャラバンの通行路が通っているので、目をこらせば人をのせたらくだがゆったりと歩いているのを見ることも出来る。何かはある。何かはあるのだ。結局のところ。そして結局そこにこそ問題の根本があるということが問題なのだ。
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