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僕はどこかのレストランで働いていた。とても高級そうで、高層ビルのかなり高い階にあるよう…
「独白などというものは現代においては不可能ですよ。語るべきことなんて何も残っていやしない…
掻く。体を掻き毟る。痒みは半端でむしろ辛いから、それが痛みになるまで僕は掻きまくる。痒…
「ここはどこですか?」 「もちろん領事館ですよ」 「領事館?どこの…?」 「どこってもち…
〇Aの書 かつて竜がいて世界を荒らしまわっていたが、どこからともなく現れた勇者がこれを退…
「彼女は約束の場所に来ていなかった。ただでさえ寒かった上に雨まで降ってきたけれど、僕は待…
文章を書こうとすると決まってこうもりが現れた。僕はこのこうもりを心の底から憎んでいた。このこうもりが僕の頭の周りを飛んでいる間はいかなる文章も書くことが出来なかった。こうもりは書き上げた僕の文章にケチをつける。センテンスごとにあそこが駄目だ、ここが繋がっていない、この比喩は不必要だ、君には才能がない、今すぐ筆を折りたまえ、うんぬんかんぬん…そんな罵詈雑言を次から次へと僕に投げかけてくる。その悪口を聞いていると僕はもう、2度と文章など書いてやるもんかという気持ちになってしまう
涙を流せるはずだった。矢印があった。僕はその矢印をつかんだはずだった。ハンカチで包んで…
「ここには何もないよ」 「そうでもないと思うけどね」 そういって彼女は煙草に火をつけた…
何か楽しい話してよ、と誰かが呟く。俺はどうしてもそいつの名前を思い出すことが出来ない。…
「偽物なんだよ、あたしたちはさ。誰も彼もが」 「僕たちは皆人間だ。それ以外の何物でもない…
「僕は多くのものをなくしてしまったよ」 「たとえば?」 「君と初めてデートした時に撮った…
〇Aの言葉 「思考の屑ばかりが積みあがる。僕はどこにも行けない。そもそも僕というものがどこ…
机の引き出しを開ける。そして写真の束が入っているクリアファイルを取り出す。写真は様々な瞬間を切り取っている。中学校の同級生AやBやCとプールに行った時の写真。Aとは席が隣同士だったことがあり、何度も教科書を見せてもらった。教科書を見せてもらうためにわざと忘れ物をするほどであった。Aは昔おさげで、2年になったばかりぐらいの頃にショートになった。若干歯が出ていて、矯正の器具をつけていたが、巨乳なことで有名だった。 彼女はセパレートではないものの、背中の大きく開いた水着を着て