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整骨院から転職しようと思った時の話



はじめまして。
いとうけんと言います。

タイトルのとおり、整骨院の先生(柔道整復師)として6年間仕事しておりましたが、訳あって3年前に転職しました。



現在は地方の企業勤めの30歳で、年収は500万円ほどです。




現在も自慢できる年収ではないですが、柔道整復師時代の年収は300万円です。



柔道整復師時代に比べたら、驚くほどまともな生活を送れており、整骨院業界を辞めて本当に良かったと感じています。


柔道整復師の転職についての記事は下記に記載しているので、よかったら参照してみてください。


なぜ柔道整復師を辞めようと思ったか




色々理由はありますが、次の2つが主な理由です。


① 給料が安い
② 業界の未来が不安


① 給料が安い




私は会社員として複数整骨院運営をしてる会社に勤めておりましたが、初任給18万円で年収にして、216万円(ボーナスなし)でした。

20代前半の頃は違う仕事をしてる友達も皆、初任給はさほど差がありません。


しかし、20代半ばとなると、友達も少しは羽振りよくなってきますので、焦りも出てきます。

私は27歳当時で年収300万円でしたが、生活するにはギリギリです。


そんな時、SNSを見ると友人が結婚だの旅行だのキラキラした生活を送ってる...

悔しくて恥ずかしくて、今より良い環境で金を稼ぎたいと転職を考え始めました。

もちろん、給料安い事を言い訳にするな、お前に稼ぐ力がなかったからだ、と言われたらそれまでですが、柔道整復師の平均年収は下記のとおり、日本人の平均年収の平均以下です。

柔道整復師の平均年収は約423万3,700円で、月給では約29万9,800円になります。参考値として、国税庁の民間給与実態統計調査によれば、令和3年におけるあらゆる職業、全年齢の平均年収は443万円でした。

出典:https://www.guppy.jp/jdr/og/柔道整復師の給料/



業界として賃金が低い事も事実です。


② 業界の未来が不安



①であげた通り、整骨院業界の平均年収は日本人の平均年収以下でありますが、将来性があれば話は別です。


しかし、整骨院業界に今後成長する見込みがあるかと言われたら、はなはだ疑問です。




まず、整骨院は条件付きで保険施術が可能です。


大半の整骨院は、保険施術の収入に頼っています。



この「条件付き」がグレーゾーンであり、条件外の症状も解釈の仕方で保険適応にしてしまっているのが、当時の業界の状況でした。

となると、できるだけお金を払いたくない保険者(協会けんぽとか組合保険)としては、このグレーゾーンに対して、「おかしいんじゃないの?」とツッコミを入れたくなります。


整骨院に通うと、保険者から「どんな症状で整骨院に通ってますか」と問う文書が届く事があります。


この文書の意図としては、整骨院が条件外の症状を保険適応として施術してないか調査をしているのですね。(前述のとおり、保険者はなるべくお金を払いたくないので)


その文書に間違った回答を記載すると、保険者から整骨院にお金が支払われない事になります。


要するに、整骨院は保険者から嫌われているのです。
財布を握ってるのは保険者ですので、今後整骨院の保険施術に良い流れが来るとは考えにくいです。


それに加えて整骨院の数も増加傾向にあります。

増加数は4,434ヶ所→3,141ヶ所→2,452ヶ所→2,053ヶ所→287ヶ所→2022年は555ヶ所(2年に1度の隔年報のため単年平均は÷2が必要)

出典: https://zenkoku-iryo.com/column/industry_information/medical_expenses_data/



整骨院の数は2021年時点で50919店舗もあり、コンビニの数と大差ありません。


さらに下記のような統計もあります。

2023/10/31更新された療養費(2021年度)は、2011年度ピーク時の4,127億円から1,222億円減少(▲29.7%)2012年より減少を続けたが、2021年は微増になりました。

出典: https://zenkoku-iryo.com/column/industry_information/medical_expenses_data/



整骨院は医療費ではなく、療養費の支給を受けてます。



療養費は2021年こそ微増したものの、それまでは減少傾向でした。
(柔道整復師は2905億円)


しかし、前述のとおり、整骨院の数は増えてますので、2905億円の療養費を全整骨院で取り合う形になります。


計算で行くと1院あたりの療養費支給が724万円です。
3割負担の方が全員来たとして考えても、年間1000万円ちょいが単純な売り上げとなります。


そこから、賃料、経費、従業員の給料を引けば、大した額は残りません。


これから、どんどん整骨院の数が増えていけば、1院あたりの取り分は少なくなり、ますます競争が激しくなっていくと思います。


上記の理由から、業界の未来が明るいとは思えませんでした。


それでも6年も続けたのはなぜか



そんな業界を辞めたいとは思いつつ、それでも6年間、柔道整復師を続けました。

というのも私立4年制大学と同じぐらい学費を払って、専門学校で3年間みっちり勉強を頑張って取った国家資格です。

それを投げ打って、他業界へ踏み込むには、なかなか踏ん切りがつかないものです。

あとは、整骨院を辞めるなら、今までの経験を捨てることになります。


私は整骨院運営してる会社で働いてましたが、徒弟制度が色濃く残っていました。

相当、勉強をしないと一人前と認めてくれなかったのです。

週一の休みも症例の勉強に費やして、仕事終わってからも施術の練習、というのを3年間続けてやっと一人前と認められました。



培った技術と知識を無駄にして、他業界に転職する事が勿体無く感じたのです。



そんな折、4年目にして、新規開業する院の院長をやってみないか、という話がやってきました。



一度自分の可能性を試してみても良いかもと思い、院長を引き受けました。


しかし、結局3年で院を潰してしまいました。


正直、勉強も相当していましたし、腕に自信もありました。
マーケティングにも力を入れたつもりです。

それでもダメでした。



その出来事がキッカケで、「この仕事が本当に好きな人には敵わないんだ」と感じ始めました。 


私の専門学校時代の同級生で、ものすごく手先が不器用で、勉強も出来なかった人がいます。


包帯の試験はしわくちゃ、筆記テストは追試常連。

私は手先が器用な方で勉強もそこそこできたので、正直なところ下に見ていました。

ですが、結局その人が同級生の中で一番成功しました。
正直「なんで?」と思いました。

彼には仕事にかける情熱があったからです。


彼は、学生の頃、ひどい腰痛を持っていました。
整形外科でのリハビリでは治らなかった腰痛が、整骨院に通ったら治った事に感激を受け、「自分のような人を治したい」という情熱を持っていました。


上記に私が挙げた、業界の不満や不安など目もくれず、ただ過去の自分のような患者さんを治したい一心で日々の仕事に励み、今や3院を経営するほどになりました。


かたや、私には仕事にかける情熱がありません。



不平、不満ばかり述べ、将来や業界の心配ばかりで、今来てくれている患者さんを疎かにしているようでは、彼に適うはずもありません。


私は転職する事にしました。


会社を辞める時、上司に「副院長としてなら一番だったな」と言われましたが、褒め言葉ではないと思っています。


副院長とは、いわば補佐役で、最終的な責任は院長にあります。

まだ、どこかに頼るべき所があるという甘さ、最後は院長がなんとかしてくれるだろうというマインド。




この仕事で生きていくんだ!という責任感と覚悟の欠如が、仕事のやり方に滲み出ていたのだと思います。



それが患者さんにも伝わっていたのだろうと思います。
常に転職を考えてるような人に診て欲しくないですよね。




他業界に転職した私は、今の仕事を一生続けたいと思っています。
責任感と覚悟が伴ったのだと思います。


転職してから、結婚し、子供も出来て、私の人生の全てが良い方向に動き出しました。
転職して本当に良かったと思っています。


仕事に疑問や迷いを持って続けていては、いくらその仕事の給料や条件が良くても、多分どこかで頭打ちになると思います。




仕事の成功には、内的な要因が深く関わっていると、私は実感しているためです。


ですから、自分の心に従って、一生続けたいと思う仕事に転職した方が良い、と強くオススメします。


それでも、どの仕事に就くか迷ったら、下記記事を参考にしてみてください。



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