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矢那川ダム/天野堰(やな/あまの、千葉県木更津市)

●概要
二級河川矢那川の洪水調節・流水維持を目的とした県営ダム。
竣功:1998年  
型式:E  
目的:FN
堤高:29.3m
堤頂長:284.0m
総貯水容量:1,720万㎥
有効貯水容量:1,600万㎥


●見学情報
駐車場:有 トイレ:有 自販機:有 天端:歩行可 直下:可 


●参考リンク・引用


●道中

(地理院地図より)
今回、初めて千葉に行ってきた(唐突)。
ダムのイメージがイマイチ無く殆どノーマークだったのでまっさらな状態から旅程を組んだ。
(地理院地図より)
で、結局雑にも程があるが、このような感じで、とりあえず千葉を大体グルリしてみようという趣向に。そしてスタート地点に選んだのが…
矢那川ダム。
(Googleマップより)
ダム付近一帯は公園としてよく整備されており、ジョギングや犬の散歩・散策を楽しむ人が多く見られた。アースダムという事もありダム感は薄めの外観。
(地理院地図より)
そんな矢那川ダムを訪問しようと思ったのは、赤丸部分が気になった為。
(現地看板より)
上の赤丸部分はトンネル導水路になっており、その目的は
2.かずさアカデミアパークの開発による雨水流出増対策」との事。
(地理院地図より)
かずさアカデミアパークは、産業集積を図って県により1997年造成。
土地開発により喪失された保水機能をこのダムで補完しようという防災調節地的な位置付けで、パークとセットで構想されたが故に?公園としてもキレイに整備されていた。「造ったはいいけど管理されていない公園」が多くある中嬉しい。反面あっち👌は大丈夫??と余計な心配も。
それはさておき散策開始。
土曜の早朝という事もあってかとても静か。がしかし既に9月半ばとは思えない暑さ。
まずは導水路入口のある矢那川本流へ。
到着。茂っていて分かりにくいが、中央に少しの池、その奥にトンネルがある。
(地理院地図より)
改めてになるが場所はここ。
現地で確かめたかったのは、矢那川本流へはどう流れているのかという点。
地図上だと吐口に相当するであろう暗渠の片割れしか描かれておらず。
接近。沈砂池的な役割なのか、この部分だけは土砂が取り除かれているようだった。
勝手な想像ではこの辺に水門か越流堤があって矢那川本流に流れている、と考えていたのだが、そのような設備は見られず、只々壁。
沈砂池末端部。ここにも特別な設備は見られずトンネルへと流れる。
トンネル。簡易的な沈砂設備だろうか、少しの段差を経て導水トンネルへ。
四角い入口から少し入ると馬蹄型に。
で、本来の矢那川へはどこから・・・?と振り返るもシンプルな水路。
と、水路を覗き込んでいると、水中にスクリーンを発見。
ズーム。この時は稼働していないようだった。
釈然としないので左岸側へ。1km先トンネルの向こうが見えた。
常用洪水吐がチラリ。
・・・と奥へ行けそうな道があったので進む。
がしかしドンツキに至るまで何も無し。
・・・と思いきや茂みの中に不自然な青い物体。
水門だ!
その先はこんな感じ。
地図はここが本来水が流れるべき矢那川だと示していた。先程見たスクリーンに近く、ほぼ間違いなくここに通じているのだろう。
製造年は96年。矢那川ダムと概ね同時期。
この日はというか、普段からあまり稼働しているように見えない姿だった。少なくともこの時は全く流れていなかった事から、この水門自体は河川流量維持用の設備ではないと思われる。
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現在の矢那川の水は、矢那川本流 →矢那川ダム(支流の田高川) →矢那川本流に戻る
という経路を取っている。若しくは、
ここより上流に別の水路が設けられそこから旧来からの矢那川に接続
というパターンを想像。沈砂池の浚渫やトンネルのメンテを考慮するとそっちの方がありそうな気はするが、如何せん川が茂りすぎてそこまで観察できず😅🥵
一定の成果も得られたのでダムへと戻る。道中、上流側から。
堤体に接近。かなり違和感のある光景だが、右上半分を占める緑が紛うことなきダム。
主目的が洪水調節故の姿にしても異様。
で、左に見えるのが先程見てきたトンネル導水路の出口。
右手前に見えるのが常用洪水吐。こちらもトンネル式となっている。
導水路出口ズーム。アースダムにバカでかい底樋が空いているような姿はこれまた異様。
更にズーム。ほんのりと水が流れ込んでいる。
天端へ。非常用洪水吐。ここはスタンダードな横自由越流式。
ダム湖の割にやたらデカいように感じた。
越流した水はここから下流へ。
天端より下流側。とても開放的な空間となっている。
左岸にやってきた。手前が導水路出口。
洪水吐の様子。右が常用(兼、多分維持流量)、左奥が非常用。
ズーム。少し複雑な形だが、切れ込みのあるバスタブ型という事で良いのだろうか?
改めてダム直下に戻る。左から
・常用洪水吐+維持流量用トンネル
・非常用洪水吐
・矢那川本流
となっている。
(地理院地図より)
堤体直下の水路はダムからの供給に見えるが、ダムを介していない矢那川本流。
再訪の機会があれば、初めに見たトンネル入口~堤体直下間の様子を見て回りたい。
今回は直下までは歩いたんだが、橋の向こうに何かある。
しっかりめの導流壁を備えたコンクリ堰!
すぐ近くに「天野堰 改築記念碑」があり、他に石碑も見あたらない事から恐らく大正14年にはこの姿だったと思われる。来年100歳🎉
ネットではこの天野堰への言及は極めて少なく、目的・経緯や稼働状況は不明。
右岸から。迂回はできたが通行止になっているこの橋を何とか復旧してほしい気持ちが俄かに高まってくる。
越流部ズーム。取水に係る設備らしきは見当たらず。
中央の杭は少し気になる。
堤体上流面。親柱が形を留めている。
その左下(対になって右岸にもあった)には何やら意匠が見え、その存在感を示すようだった。
堰上流の様子。
思わぬ釣果となった天野堰見学も付いてきて、上々のスタートを切った千葉ダム巡りとなった。
お邪魔しました~


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