【物語】手作りチョコレートの思い出 アリスの物語番外編
子供たちが保育園に通園していたころ、お世話になっている先生方へお礼の気持ちを込めて、手作りチョコを作った。
チョコを溶かし、ピーナッツバターを混ぜて、絞り袋で絞って冷蔵庫で冷やせば出来上がり♫
たくさん作って、子どもたちにも好評だった。
子どもが大きくなるに連れ、それぞれ凝ったチョコレートを作るバレンタインデーが何年か続き、大人になった彼女らは手作りよりは高級チョコレートへと意識が移っていった。
アリスはと言うと義理チョコでさえ用意することなく、普通の日と変わらぬ2月14日を過ごしていた。強いて言えば職場の仲間から義理チョコをいただき、「あらまあ嬉しい♫ 1ヶ月後にお礼を忘れないようにしなくちゃ。」と通年行事の一つと化していた。
そんなアリスがチョコレートを、高級チョコレートではなく手作りのチョコレートを贈りたいと思う人が現れた!!!!
自分でもなぜだろうと不思議に思うアリスだが、cafe246で初めてお会いしてからたまーに伺ってはたくさんの話を聞き、時にはナポリタンや他のお料理を振る舞ってくれる彼に、手作りのチョコレートを贈りたくなったのだ。
普段のお礼ですね。
簡単で、材料費が安価で、それでいて美味しくて見栄えのする手作りチョコ。
「失敗しないレシピを探すぞ。」
「昔作ったピーナッツバターのチョコは美味しかったし簡単だった。あのレシピ、あるでしょ。」
・
・
Google先生は目的のレシピを教えてはくれませんでした。
仕方なくお麩で作るチョコレート菓子のレシピを見つけたので作ってみることにしました。
材料費もあまりかからず、作り方も簡単そうです。
さくっとできるし、新しく道具を揃える必要もありません。
・
・
「できた!!!!上出来じゃん!!!!」
久しぶりのチョコレート作りで緊張しましたが出来上がりはまあまあ良い感じです。いや、アリスにとっては上出来です。
アリスは自分が良いと思えばそれでよし!というタイプなのですが、なぜか彼とのこととなると「彼にはどう映るかしら?」とか「彼の好みに合うかしら?」とかが先にきてしまいます。
「美味しいけどな〜。これでいいかな〜。うーーーーん。やっぱりどこかで買おうかな。」
と、なんとも優柔不断なアリスなのです。
・
・
2月14日から遅れること1週間後、やっと彼の予定をGetしたアリスは恐る恐る彼のOfficeへお邪魔します。
心臓はなぜかバクバクしてます。やっぱり出すのはやめようかチャイムを押すときでさえ迷います。
「はい、どうぞ。」インターフォン越しに聞こえた彼の声に、ええい、もうどうにでもなれ!と意を決してドアを開きます。何か話しをする前に唐突すぎるとか考えず、とにかく渡してしまおう!
決意に満ちたアリスの顔はたぶん変顔になっていたはずで、ちょっと不思議そうな顔した彼に思い切って言いました。
「バレンタインデーでしたね!」
「これ、ちょっと、お口に合うかわかりませんが、つくりましたので💦」
彼はものすごく驚いた顔で、それでもニッコリした。。。。かもしれない。
実は、アリスは彼の顔は見ておらず、多分驚いただろうし、きっとニッコリしてくれたはず、、、
さっそく口にほおばり
「うん、うまい!! ん?これは何? 何が入ってるの?」
その声を聞いたアリスはホっとして、「ふーっ。」と一息吐いてから
「なんだと思います?」と思ったより元気な声で聞いた。
「うーーーーん、マシュマロ?」
と答えた彼に、ニコニコ顔で
「お麩でーーーーす♬」と、これまた最上級の笑顔で答えたのです。
♡♡
アリスはバレンタインデーの日、急にチョコを作りたくなりました。
彼にあげたチョコは上出来だった!
あのチョコをまた作ってみよう。
ところが、うまいことレシピはでてきてくれず、仕方ないので同じ材料でできるレシピ通りに作ってみました。
けれど、マシュマロのような食感にはならずサクサク系の物が出来上がる。
そりゃねえ、お麩にチョコをかけたらサクサクするよね。
思い出とはこんなものかしらと、ひとりほくそ笑むアリスなのです。
ーーーーー
彼との出会いの物語はこちらです。
この物語はこちらのサークルのお題に沿って書いています。すでに3月のお題が出たと言うのに、ギリギリ2月のお題を制覇!ギリギリが多いです。
今日も最後まで読んでくださりありがとうございます! これからもていねいに描きますのでまた遊びに来てくださいね。