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三代目の代表作

20221201

木曜日



 今日からシール部門の主戦力で指示系統でもあるマー君が暫く休み。手術入院のため。

 そんな中、昨日発覚したシール部門の不具合の続報が届いた。
一気に数ロット分印刷したせいで、あっちこっちで外観不良が見つかっているらしい。

お客さんから「どこから大丈夫ですか、その証拠はあるんですか?」と電話で詰め寄られているボス。
機転が利かないと墓穴を掘る。お客さんはちゃんと発言を記録しているから。
恐ろしい。




 不具合の製品、5万枚を最短でいつ入れられるかの話になった。

 不具合が発生した時の詳細を聞くと、使用頻度が高く、型が劣化しやすい物は同じ型を何個か作り、袋にまとめているらしい。
その中に変更前の型が混ざっていたと。
それを運悪く三代目が使った。

型が複数個あるので、何台かの印刷機で同じ製品を印刷した。
だから正解と不正解が混ざっている。
どの注番のは大丈夫で、どの注番のがNGなのかが不明。

こんな状況。


 そういうことだったのか。
なら型を管理していたランボーのせいと言う気持ちも分かる。と言いたいが、
以前あった別の型間違えの件で、ちゃんと印刷オペレーターも物を確認するという対策を取ってあったはずだ。
結局シール部門はそれを行っていないという。
それもそれだし、これもこれ。


 そもそも三代目は複数(一連)のタスクをこなす事に向いていないと思う。
印刷だけ、チェックだけ、とかにした方がいい気がする。

なぜなら、三代目はわたしの仕事のチェックを"今週"から始めたが、"今週"からすでにメクラ判になっている。
三代目は新しい情報を入れたらその分だけ何かが抜けるらしく、ジェンガのように下(土台)がスッカスカになるタイプ。
他にもそう感じている人が何人かいるのでそう。

優しくいうと「やる事がたくさんあって大変なんだよ」なんだが、
一連の動きを教えてもその通りには出来ないということ。
本当に出来ないのか、面倒くさがっているのか、どうせ将来は社長になるんだし、と思ってやる気がないのかは関係ない。
出来ていない。

だから手順を抜かしてさぁ大変な仕事には性格的、もしくは意識的に向いていないと思われる。



 チェックシートもあってなぜ順守出来ないのか、以前の対策はどうしたのか……
不具合を出せば出すほどルールが増えて負のループに。
誰も出したくて出している訳ではないのは分かっている。

今ボスがマシなストーリー(言い訳)を考えているところである。



ボス「ランボーさんのせいランボーさんのせいって言うけど、もういない(シール部門が追い出した)んだから自分達でしっかり見ろよ!」

その前にブチ切れている。





昼前。

 事務所にて、ボスが殿(社長)に不具合を説明している様子。
殿は怒っているだろうから、わたしは目を合わせないよう事務所に入る。
すると、殿の穏やかな声が聞こえてきた。

どうにかしろ!とか乱暴な言葉ではなく、「こうしてください」と敬語で指示をするくらい穏やか。

今までにないパティーン(パターン)だ。
いつもなら本人と関係者を呼んで、本人の目を見て怒れないからって関係者に向かってワーワー言うのに。


ま、まさか・・・・・・

①元々は殿が営業担当で、今でもガッツリ関わりのあるお客さんに迷惑をかけている。
②何ロット分もやらかしている。
③自分の息子が。

問題の大小関係なく、一番上(①)の項目だけでアンガーマネジメントを覚えろと思うくらい感情を漏れ散らかすが、
一番下(③)の項目で全てを打ち消している・・・・・・だと!?

さすがに怒って親子げんかでもおっ始まって、息子が勢いで退職すると言い出すまでのストーリーを予想していたのに。

息子は感情漏れ防止の秘薬だった。
この秘薬、ムスコデトメナイトと命名しよう。

ボスが大体70万円の損失だと言っていた気がするが、ムスコデトメナイトは70万の怒りも止められる。エビデンスがある。
120万の損失までなら効果ある気がする。


 わたしが事務所に寄った時に殿は「(息子達の)勉強になったな」と言っていた。
長男も次男も同じ部署で仕事をしている。
70万円の授業料。二人で割ったら35万円か。

 こういう経営者親子を見ていると、周りは息子に対して忖度してあげないといけない、という意識が生まれるのも分かる気がするな、と思った。
殿がどうのこうの言わないのに、周りがそれ以上のことは言えないだろう。



 事務所から戻ってきたボスもなんだあの態度の違いは!と怒っていた。

ボス「三代目も末っ子(殿の息子達)も良い勉強になっただろうって。70万だよ!?」

わたし「割ったら35万だから、1ヶ月お小遣い我慢すればいいんじゃないですか?」

ボス「給料から差し引いても少し残ったりして笑」

身内が出した損失には腹が立たないってだけなんだろう。

殿の甘やかし方じゃ示しがつかないもんだから不満も溜まる。
三代目も何事もなかったかのように飄々としている。
道徳が苦手な親子だ。
この親子、何かに利用してあとはポイされても文句は言えんな。言うだろうけど。






昼休憩。

 ボスは休憩に来た営業兼シール部門の鳩おじに
「不具合報告書とかではないけど、対策はしといて」と声をかけていた。

通常なら絶対に報告書は必要。
だが以前、三代目に書けというと、突然部署移動して無かった事にした前科があった。

そのまま追い詰めると辞めると言い出し、こちらが殿に責められる可能性があるので、今回も報告書は無しということに。

書かせようとすると、その労力の方が大変そうだ。
殿も今回は勉強だと言っていた。
だから今後もないだろう。




いやー、良いネタが入ったな。
「三代目」の代表作になるかもしれない。
殿も作品作りに協力してくれた。
親子の合作だ。



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