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温泉まんじゅう12個ルール

草津温泉の帰り道に温泉まんじゅう屋に立ち寄った。ここのまんじゅうが一番美味しいらしい。

ババ(義母)がまんじゅう10箱も買っている。
しかも一番大きい箱12個入りだ。
"賞味期限が5日だから家で食べる分だけでいいや"
と僕は6個入り1箱買った。

ババの前に置かれた山積みのまんじゅうの箱を見て思わず僕は
「そんなに買うんですか!」
「当たり前だがね」
「そんなにどうするんですか?」
「近所に配るんだがね」
「...」

ババは80才を超えている。ご近所も同年代の人達だ。子供はとっくに家を出て中には一人暮らしのおばあちゃんも多い。賞味期限5日の温泉まんじゅうを12個食べ切ることはほとんど不可能だろう。

6個入りでいいのではと提案するが、そんなケチ臭い事は出来ないと言う。隣ではババの妹さんの前にも大きいまんじゅうの箱が山積みになっていた。

"ご近所へのまんじゅうは12個入り"

これはババ達の絶対ルールなのだ。

"まんじゅう12個ルール"ができたいきさつを僕はこう考える。
ある日ご近所の誰かが12個入りのまんじゅうをお土産で持って来た。
その時点で"まんじゅう12個ルール"が成立。それ以降ご近所同士まんじゅうをやり取りする時は12個入り以下は持っていけなくなった。

ルールは同居する家族の人数が多かった昔に作られたものだろう。
しかし同居家族が減った今でも一度成立したルールは変わることはない。
12個より少ない箱を持って行って「あの家はケチ臭い」とご近所に触れ回される事が皆一番怖い。だからお互い食べ切れない事がわかっていても12個入のまんじゅうを永遠に渡し合う。

ご近所付き合いって恐ろしいですね。
大変だなー

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