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ドーナツが好きで

うちの家族は、みんなドーナツが好きで結構な頻度でミスタードーナツさんへ行く。
流行り廃りをくり返す世間のブームをよそに、ドーナツを長年マイペースで売り続けられているミスタードーナツさんが、ぼくはとても好きだ。

ミスタードーナツさんのようなドーナツであれ、パン屋さんなどのイーストドーナツであれ、生地の違いや仕上げのグレーズ、飾りによって味のバリエーションを作ることが可能で、そんなドーナツは並べたときの華やかさも演出し、見た目の愛らしさも相まって美味しい。
ただし、個人的には「焼きドーナツ」をここに含めない。一時期はよく見聞きしたものの、いまではすっかり鳴りをひそめた感があるけれど、そりゃそうだろ、と思う。

これはカレーパンにもいえるけれど、揚げるからこそ美味しいドーナツやカレーパンを「焼き」にしたところで、揚げたもの以上に美味しくなるとは思えない。
また、これら「焼き」を推すお店などからは決まって「カロリーが」といった謳い文句が聞こえてくるけれど、そこを気にするくらいならそもそもドーナツを食べようとも思わない。

ぼくが子どものころ、おそらく家庭でホットサンドが流行った時期があったのだと思う。
うちの実家にもホットサンドメーカーがあった。パンを上下から挟み、直火で焼くシンプルな構造の道具だった。
おかんがホットサンドを作るときには、食パンの耳を切り落としていたのでパンの耳が結構残る。うちでは、これを揚げてグラニュー糖をまぶしたものをおやつとしてよく食べていた。ぼくはこの甘くてシャリシャリした食パンの耳が好きだった。

プチメックOMAKEをつくったとき、主力商品をコッペパンにしようと決め、みんなで思いつくコッペパンの種類を出し合った。その際、スタッフの1人が「きなこ」と言ったけれど、ぼくの頭の中にはそれが思い浮かばなかった。
昔からきなこが苦手で、ぼくがその手のものを選ぶことがなかったためだった。どういったものかをスタッフに訊ねると、コッペパン生地を焼くのでなく揚げて、グラニュー糖ときなこをまぶすのだという。
早速やってみたところ、きなこ云々でなく揚げたパンそのものの美味しさに感嘆した。もちろん他のコッペパンの生地とまったく同じ生地である。
そういえば以前、普段は焼成するチャバタというパンの生地をイベント用に揚げてみたことがある。このときも同じ生地と思えないほど美味しくて驚いた。

子どものころにおやつだった食パンの耳やドーナツ、きなこのコッペパンもすべて揚げたものだった。もちろん、とんかつも。
それらを美味しく感じたのは、きっと油脂の効果によるものだったと思っている。

つづく

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