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終わりは始まり

※いのちの車窓から についての内容ですが、ネタバレ少しあります。基本的にはただの感想です。ふんわりでもネタバレだと感じる方は、ここから先は読まないようにお願いします。




日常、そして生活のことをエッセイとして残そうと思ったら、何気なく過ぎてしまうこの「瞬間」やあの時の「瞬間」を切り取る必要がある。

そしてその時に思ったことや、感情の変容を思い返していく作業が入る。とても力を使うことだ。

源さんは、2014年の連載開始から約9年(8年半くらい?)、ダ・ヴィンチという雑誌での連載を続けた。
休止や、間隔を調整したりはあったけど「続ける」ことが1番難しいことだと私は思うので、これは本当にすごいことだと思う。
もちろん、音楽家や俳優業も続けながらの執筆は本当に大変だったと思う。

そして、2023年6月号で、その連載が終了するとのお知らせがあった。
書くの大変だろうな、とは思っていたけれど、源さんの心の機微を読み取れる、3ヶ月に1度のエッセイが終わることが寂しくて仕方なかった。

2017年発売の「いのちの車窓から」は単行本化した物も持っており、時々読み返す。
源さんの書いた文章は、飽きることなく読めるから。
音楽もそうなんだけど、スルメのような魅力をお持ちで。
聴けば聴くほど
読めば読むほど
知れば知るほど
源さんは味わい深さが増す。

そんな機会も減るのかぁ…と単純に寂しかった。

読んで感想つぶやきあったことも思い出。

そして5月6日。
最後の連載を読んだ。読み終えた時、今回も心がぽかぽかした。
「あまり最終回らしくない内容」と源さんは言っていた。最終回に相応しい、というかこれ以外の終わり方はないと思う(主観入りまくりですww)
源さんが「生活」を描くものとして、直接的ではないけど、伝わる幸せのかたち。旅の終わりに着いた場所が、とても温かく優しい場所のような…そんな感じ。なんだか、言葉にならない「贈り物」まさにこれをもらったような。
そして文章中の、あの方…ぬいぐるみをくださったという東さん。エッセイという作品の中に名を残すという、東さんへの「贈り物」にも思えた。


連載としては終わるけど、きっとこれからも書くと話していたこともあり、エッセイが「生活」を書いたものであること。これからも続いて行くことを感じさせるもので、寂しさどころか、明るい気持ちになった。

エッセイを読むことは、源さんの「生活」という電車の車窓から見える景色を、ほんの少しずつでも一緒に見ているような気分だった。車窓にうつる景色や情景を見ながら、自分自身はどうだったか?と振り返るきっかけをもらっていた。「分かるわ~!」と共感したり、源さんのことを理解したつもりになるわけではなく、自己を振り返って考えることができる、そんな文章が定期的に読めること、本当に有難かった。

言語化することは大事だけど、語りすぎない伝え方というのも大切だと改めて感じた。単に削るのではなく、間違って伝わらないように。
その塩梅は、やっぱり書き続けることで見えてくるものだと思うから、私も書こう。

そしてやっぱり「生活」は尊い。
人の数だけ車窓に映る景色も見え方も違っていて。そのどれもが尊い。

始まりがあれば終わりがある。でも終わりは始まりでもある。
書籍化のこともあるようだし、目の前の人参を追いかけながら、また日常を愉しもう。そう思わせてくれた、常にそう思わせてくれる源さんには感謝しかない。


緊急事態宣言の真っ只中、書籍化分含め、無料でエッセイを読めるようにしてくださったこともありました。担当の方も、お疲れ様でした。ありがとうございました!

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