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桜より先に咲く花の名前を
僕は知らなかった
君も知らなかった
誰も知らなかった

陽の光が外気の寒さを追い越して
芯から温めていく

心という漢字は、心臓の形から成り立つ

この胸にあるものが心かといつも疑う
ただドクドクと自分勝手に動き回り
時に心配をさせ
知らない間に止まる
そんなものが心かと、いつも疑う

春が来てまたピンク色の夜が当たり前になった
抜け殻のような日々に光が溢れる
桜によく似た花がまた愛おしくなった
あの花の名前はいまだにわからない
「もっと2人で写真撮りたかったね」
そう言って桜に手を振る
君がなぜか愛おしくなった

また動く心臓が
寒さで曇る視界が
流れるか流れないかの瀬戸際で
額に滲んだ汗が
君を想い吐き出した言葉が

桜より先に咲く花の名前は
僕しか知らなかった
君も知らなかった

それが心か

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