東福寺展に行ってきた
ゴールデンウィークに入る前に東博で東福寺展を見てきた。
「桜より紅葉を選んだ寺」とJRのキャンペーンで言われたりして、秋の行楽シーズンには大行列ができ、何時間も待つようになっているらしいけれど、20年ほど前には紅葉の季節でもそれほどの混雑もなく、ただただ静かで綺麗な寺であった。
とはいえ紅葉ばかりに目がいって、寺宝の類を見た記憶がない。今回の展示でようやく東福寺の有り様を目の当たりにした感じがする。
見どころは絵仏師・明兆の五百羅漢図と達磨図、それに白衣観音図なのだが、僕の目が強く惹かれたのは木版によって印刷されたものの活字の美しさだった。
とにかく細部まできっちりと刷られていて、ここまで綺麗に刷ることができる木の活字を彫った技術に唸らされた。
(アルフォンス・ミュシャとの共通点、アール・ヌーヴォーとどこか似通ったものを感じる白衣観音図にも強く惹かれた)
写真をやる人というのは、どうしたわけか写真展には頻繁に足を運ぶのだが、絵画展や博物展にはなかなか足が向かない。
他の人の作品を見たくなる気持ちはわかるけれど、自分の写真を良くしたいと思うのなら、本当は写真とは関係のない展示——例えばこうした寺宝の展示などに通う方が写真に良い影響を及ぼすものだ(テクニカルな部分で上達すると考えるのは結構大きな勘違い)。
写真のことはともかく、初めて見る東福寺の仏画や仏像は、想像よりもずっと迫力があり、見応えのあるものだった。
ただ、展示のフライヤーやポスターのデザイン、これはいただけない。展示の趣旨や目的、実際の展示のクオリティと比べると乖離が甚だしい。
これは告知で客を減らす典型的なパターン。こういうことしちゃダメだ。光背のイメージを重ねた地の緑色なんてまったく関係がないものなあ。
(展示は7日まで)
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