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短編小説作り(創作なんて高尚なものではなく)

 なんとなくペースが出来上がってきて、ほんの短い時間だけれど、毎日の中で文章を書く余裕が出てきてホッとしている。
 もちろん長いものを書くほどの余裕ではないのだが、自分の中に湧いたものをちゃんと内から外へ移し変えないと、やがて自分の中で澱に変わってしまう。そうなることを防げるだけでもずいぶんと楽になれるわけだ。
 とはいえ日々の不満やら何やらをダラダラと書いて満足できる体質ではないので、なにがしかのものを作ることに頭も気持ちも向いてしまうところは変わっていない。そんなわけで先週あたりから「短篇小説を作る」ことに絞って、着想や文章の切れ端、そこから芋づる式に引っ張り出すことができた展開をノートに書き留めている。
 時間が限られていることで余計なことはせず、今できる範囲を見定められるようになったようで、ノートは着実に判読不能な文字で埋まっていっている。ノートに広がった思索の広がりがある種の宇宙のようにも思えて、もはやきちんと短篇小説にならずとも、この形でとどめても良いのではないかと思うくらいだ。

 長編小説だとある種のセオリー——起承転結だとか、クライマックスの置き所だとか、布石だとか——にある程度は従わざるをえないけれど(そうしないとよほどの筆力がない限り破綻する)、その点短編はスナップショット的にどの瞬間を切り取るか、それだけがポイントなので、オチだのセオリーだの小説的な制約をそれほどどっしり抱えずとも済む。これが実にありがたい。
 ヘミングウェイにしろ、O・ヘンリにしろ、村上春樹にしろ、レイ・カーヴァーにしろ、僕は元々が短編小説好きだったのだから、いまできるようになった作業が楽しくないわけがないのだ。
 下手の横好きに終わる可能性は大なのが少々悲しいところではあるが。でも楽しいことはやっぱり重要なわけですよ。娯楽なんだから、やってる方も楽しくなきゃ片手落ちだろうし(片手落ちって、コンプライアンス全盛の今では使えない言葉なんだろうか。ふと気になった)。

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