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読書記録

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個人的な読後連想の記録
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2022年10月の記事一覧

読書記録2022 『光圀伝』 冲方 丁

今から10年前の2012年発表の作品。 前作の『天地明察』を読んだ時に、著者の冲方丁の文体をちょっとくどく感じたところがあって、読まず嫌いになったままだった。 本作も導入からしばらくはちょっとくどく感じたけれど、途中からは読む手が止まらなくなって一気に読み切ってしまった。 本作はタイトルの通り水戸黄門で知られる徳川光圀が主人公。 水戸光圀と坂本龍馬はドラマや小説先行で、日本でいちばん虚像が広がっている人たちだと思うのだけれど、本作の光圀はあの「水戸黄門」とはずいぶん違う。

読書記録2022 『同志少女よ、敵を撃て』 逢坂冬馬

購入してから1年。 読む順番が来るより早く、ロシアのウクライナ侵攻が始まってしまって、読むタイミングを逃していた。 デビュー作にしてアガサ・クリスティー賞を受賞、直木賞の候補に挙がり、本屋大賞も受賞というだけでも、本作が尋常ならざる作品だと想像がつく。 物語は二次大戦の独ソ戦。主人公の少女狙撃兵セラフィマと、彼女の属する女性狙撃部隊の行動を通じてドイツのソ連侵攻、激戦のスターリングラード攻防や、二次大戦の推移が語られる。 同時に、主人公セラフィマの成長(否応無く少女が狙撃兵