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今週は病院での定期的な検査と外来での診察が2日続きであったおかげで、行き帰りと待っている時間が全部読書に充てられて、良いペースで読めている。 「待ち時間2時間、診察5分」などと言われる大学病院の外来は、忙しさの合間を縫って訪れている患者さんや、高齢の患者の付き添いで来ている家族にとっては苦痛なものかもしれないけれど、本さえ読めればどこでも天国のお気楽人間の僕には2時間待ちもまったく苦痛ではない(「病院通い=本が読める」と思ってるフシもある)。 そんなわけで先週末から立て
短編小説のアンソロジーをまとめて2冊、一気に読んだ。 アンソロジーはお菓子の詰め合わせセットみたいなもんで、未読の作家の作風が手っ取り早く知れて、都合がいい。 アメリカの短編小説文化と比較したときの、日本の短編小説についてはいろいろと思うところがあって、仮説の検証みたいな気持ちもある。 ともあれそれぞれの作品は興味深く、自分の好みの境界も感じ取ることができた気がする。 『短篇集』 ヴィレッジブックス 翻訳者の柴田元幸氏が作る雑誌『モンキービジネス』に掲載された短編
ドイツ・オーストリア文学と文学理論を専門とする著者が、推理・探偵小説を題材に探偵小説の創出期から発展を俯瞰しつつ、一般文芸との違いや一致点を考察した研究書。 ナラトロジーというのは「物語論」のことだそうで、序文によれば物語の表層構造(テクスト)から深層構造(主題や意味)を解釈する学問上のツールなんだそうだ。 内容はE・A・ポーから始まった推理小説がコナン・ドイルに継承され、クリスティやチェスタトン等の作家によって本格化して行く中で、物語の構造がどう変化していったか、と