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幸せになりたいエルフの冒険 第十二話 エルフと妬み屋 パート1

エルフの女の子デフィーは、
ダークエルフの女の子フィリア、
人間の女性で作家のシャイルと一緒に
幸せを探す旅をしています。

この日も朝早くから
出発したデフィー達は、
森の中に作られた広めの道を
三人で歩きながら、
ある町に向かっていました。
時刻はまだ正午前です。

シャイル「二人共、
     もう少しだよ。
     この森を抜けたら
     町が見えるからね」

爽やかに呼びかけるシャイルに、
明るく返事をするデフィーとフィリア。

シャイル「良いペースで来れたおかげで
     まだ時間も早いし、
     この分だと向こうに着いてから
     閉館時間まで
     結構調べ物が出来そうだよ」

フィリア「シャイルが話してくれた
     図書館だっけ?
     僕、始めて行くから
     どんなところなのか
     楽しみだよ」

デフィー「私もです」

シャイル「そう言ってくれると
     嬉しいよ。
     二人が暮らしていた森にも
     図書館は有ったのかい?」

フィリア「ううん、
     シャイルから聞いたような
     本や資料が沢山
     保管されている施設は
     無かったかな?
     ね?」

デフィーに確認するフィリア。

デフィー「そうね、
     集会場の一角に本棚が有って、
     そこに自由に読んでも良い本が
     何冊か置かれていたけど、
     大量の本を保管して
     公開されていているような、
     専用の施設は無かったわね」

シャイル「そうなのかい?
     だとしたら二人共、
     図書館に行ったら驚くかもね。
     かなりの量の本が有るから。」

フィリア「そんなにすごいの?」

シャイル「ああ、ものすごい数だよ。
     私の家の本や、
     途中の町で見かけた
     小さな本屋が
     比べ物にならない程ね」

フィリア「わ~、
     早く見てみたいな~」

デフィー「そうね~」

大量の本が並ぶ様子を想像して
ワクワクするデフィーとフィリア。

その様子を見て微笑むシャイル。

シャイル「それに数もすごいけど、
     色々なジャンルの本も
     揃っているんだよ。
     だからきっと、
     幸せについて書かれた本も
     有るはずさ」

フィリア「わ~い!
     見つかると良いね!デフィー」

デフィー「ええ」

嬉しそうなデフィーとフィリア。
それを見てシャイルも
嬉しそうな表情を浮かべます。

デフィー「シャイルさん、
     ありがとうございます」

シャイル「そんな、
     お礼を言われるような
     ことじゃないよ」

デフィー「いいえ、
     もし私とフィリアだけだったら、
     これから行く図書館に
     立ち寄ることは
     なかったはずです」

フィリア「うん、
     そうだったろうね」

デフィー「シャイルさんが
     一緒に居てくれて
     教えてくれたから、
     こうして向かうことが
     出来ているんですもの」

頷くフィリア。

デフィー「本当に、
     シャイルさんには
     お世話になってばかりです」

フィリア「そうだね。
     いつもありがとう、
     シャイル」

デフィー「長年森から出ないでいた
     世間知らずな私達が、
     こうして外の世界で
     無事に旅をしていられるのは、
     シャイルさんが一緒に
     居てくれるからです。
     本当にありがとうございます」

シャイル「二人共・・」

急にお礼を言われ
照れながらも戸惑ってしまうシャイル。

シャイル「・・お礼を言わなきゃ
     ならないのはこちらの方さ。

     もしあの日
     二人に出会わなかったら、
     そして一緒に旅をすることを
     二人が受け入れてくれなかったら、
     私は今こうして
     旅をすることも無ければ、
     その中で得た
     新たな出会いや経験も
     無かったはずさ・・

     二人との出会いが
     私の世界を広げてくれたんだ」

フィリア「シャイル・・」

デフィー「シャイルさん・・」

シャイル「デフィーちゃん、
     フィリアちゃん、
     いつも明るく
     優しく接してくれて
     ありがとう。
     二人が一緒に居てくれるから、
     私は毎日楽しくて
     嬉しい気持ちでいっぱいなんだ」

シャイルの突然の告白に
照れてしまうデフィーとフィリア。

シャイル「だからこれからも、
     こうして一緒に
     旅を続けられると良いなぁ」

フィリア「勿論だよ、
     ね?デフィー?」

デフィー「はい。
     これからも一緒です」

シャイル「ふふふっ、
     嬉しいなぁ、
     ありがとう」

微笑み合う三人。

その時、
デフィー達は後方から
馬車が近づいていたことに
気がつきます。

馬車は二頭立ての箱型四輪馬車で、
車室の前方に座っている小奇麗な
中年男性の御者が、
手綱を握っていました。

道の幅は十分でしたが、
馬車が通りやすくする為、
デフィー達は端に寄って道を譲ります。

御者は道を譲ってくれたデフィー達に
笑顔で会釈をしてお礼をすると、
三人の横を抜けて
前方へと走り去って行きました。

馬車を見送ったデフィー達は、
引き続き楽しく会話をしながら
町へと向かって歩いて行きます。

パート2へつづきます。

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