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幸せになりたいエルフの冒険 第十二話 エルフと妬み屋 パート4

エルフの女の子デフィーは、
ダークエルフの女の子フィリア、
人間の女性で作家のシャイルと一緒に
幸せを探す旅をしています。

幸せについて書かれた本を探しに、
図書館のある町を訪れたデフィー達三人。
デフィーとフィリアはその町で
アージディアと言う女性に出会い、
町にある喫茶店で
お茶をすることになりました。


アージディア「時にお二人は、
       ご結婚はされてますの?」

デフィー・フィリア「!?」

デフィー「えっ?
     わ、私達ですか?」

突然の質問に驚いてしまう
デフィーとフィリア。

アージディア「はい。
       お二人共とても幼く見えますが、
       種族の異なるエルフと
       人間とでは、
       見た目と年齢とが
       大分違うのでしょう?
       そうなると結婚の適齢期も
       違うのかと思いまして、
       お伺いしたのです」

デフィー「・・そうだったんですか、
     急な質問だったので
     驚いてしまいました」

フィリア「うん」

アージディア「オホホホホ、
       ごめんなさい。
       それでどうなんですの?」

フィリア「僕もデフィーも、
     まだ結婚はしていないよ」

アージディア「そうでしたのね、
       エルフの方の年齢は
       分かりませんが、
       やはりお二人共
       まだまだお若く見えますものね」

デフィー「そ、そうですか?」

アージディア「ええ、
       それはもう。
       おまけにその若々しくて
       美しい見た目を、
       人間と比べて長い時間
       保てるのでしょう?
       本当に羨ましいですわ」

笑顔でそう言うアージディアですが、
その笑顔にどことなく影が有るように
感じられるデフィーとフィリア。

アージディア「エルフの方達から見たら、
       私達人間の若い時間なんて
       あっという間なんでしょうね・・
       私も出来ることなら
       エルフに生まれたかったですわ、
       そうすれば若さを長い時間
       保つことが出来たのに・・」

言葉に詰まってしまうデフィーとフィリア。

アージディア「・・なぁんてね、
       冗談ですわよ、冗談」

困った表情をしている
デフィーとフィリアの顔を見て
微笑むアージディア。

アージディア「ところで、
       シャイルさんは
       ご結婚してらっしゃるの?」

デフィー「シャイルさんですか?」

顔を見合わせるデフィーとフィリア。

フィリア「多分してないと思うけど・・」

アージディア「あら?
       そうなんですの?」

フィリア「うん、
     旅の途中で出会った時も
     一人で暮らしていたし、
     シャイルからもそんな話は
     聞いたことがないからね」

デフィー「そうよね」

アージディア「そうですか・・
       まぁご結婚してらしたら、
       旅になんて出れないですものね」

笑顔で言うアージディア。

アージディア「でも、
       お相手位は
       居るんじゃないかしら?
       聞いたことは有りませんか?」

デフィー「お相手ですか?・・」

フィリア「う~ん・・
     許嫁だったって人には、
     少し前に会ったけど・・」

ピクっと反応するアージディア。

アージディア「まぁ!許嫁。
       その方とはどうなんですの?」

フィリア「えっ?う~ん・・
     プライベートなことだから
     あまり詳しくは・・
     ねぇ?」

デフィーに確認するフィリア。

デフィー「ええ」

アージディア「そんなこと
       おっしゃらずに、
       ねぇ?」

顔を見合わせるデフィーとフィリア。

フィリア「ううん、
     やっぱり言えないよ」

デフィー「はい」

申し訳なさそうに言うデフィー達。

アージディア「・・そうですか、
       確かにそうですわね。
       答え辛いことを聞いてしまい
       申し訳ありません。

       でも、
       ご結婚をされずに
       お一人で暮らしていたと
       言うことは、
       どうやって生計を
       立てているのかしら?
       親兄弟とも離れて
       暮らしているのでしょう?」

フィリア「ああ、
     それならシャイルは作家さんだから、
     きっとそれで
     生計を立てているんだよ」

アージディア「ま、まぁ!・・
       あの方は作家なんですの?」

驚いた表情をするアージディア。

アージディア「へ、へぇ~・・
       そうでしたのね・・」

フィリア「シャイルはすごいんだよ、
     旅をしながらも作品を
     書き続けているんだから」

デフィー「はい、
     旅の途中で気になったことを
     沢山書き溜めていて、
     それを夜や朝早くに、
     書き直してまとめているんです。
     その作業を繰り返して、
     少しずつ作品を
     作り上げているんですよ」

フィリア「うん、
     僕達なんて旅をするだけで
     精一杯なのに、
     シャイルは毎日そうやって
     時間を作りながら、
     作品を書き続けているんだよ」

デフィー「ええ、
     本当にすごいわよね。
     私にはとても真似できないわ」

フィリア「僕だって」

再び表情を歪めるアージディア。

フィリア「シャイルはすごいよね・・
     僕達はいつも
     お世話になってばっかりで・・
     今だって僕達に代わって、
     幸せについて図書館で
     調べてくれているもんね・・」

デフィー「・・シャイルさんが
     一緒に居てくれなかったら、
     私達はこうして
     旅を続けることが
     出来てないかもしれないわよね?」

フィリア「うん、
     シャイルはいつも優しくて、
     温かくて、
     料理も上手だし、
     物知りだし」

デフィー「ええ、
     それでいていつも私達を
     見守っていてくれて・・」

デフィーとフィリアの話を聞き、
表情を歪め続けるアージディアは
恐ろしい顔をしていましたが、
デフィー達は話に夢中になり
その様子に気がつきません。

デフィー「そうだわ!
     お礼も兼ねて
     シャイルさんに何か
     プレゼントしましょうよ?」

フィリア「わぁ!いいね!
     シャイルにはいつも
     お世話になってるもんね。
     僕も何かお返しがしたいと
     思ってたんだ」

デフィー「うふふ、
     何がいいかしら?」

フィリア「そうだね、
     何をプレゼントしたら
     喜んでくれるかな?」

向き合って楽しそうに相談する
デフィーとフィリアですが、
嫌な気配を感じ
アージディアの方を見ます。
すると
力一杯顔を強張らせているせいで
小刻みに震えているアージディアが、
デフィー達を恐ろしい形相で
睨みつけていました。

パート5につづきます。

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