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幸せになりたいエルフの冒険 第十二話 エルフと妬み屋 パート6

エルフの女の子デフィーは、
ダークエルフの女の子フィリア、
人間の女性で作家のシャイルと一緒に
幸せを探す旅をしています。

図書館のある町に、
幸せについて書かれた本を
探しに訪れたデフィー達三人。

無事に町に辿り着いて先に宿を取り、
その後図書館で目当ての本を
何冊か見つけて読み始めます。

しかし普段本を読みなれていない
デフィーとフィリアは、
旅の疲れも重なり眠くなってしまい、
シャイルを図書館に残して
一度宿に戻ることになります。

その途中、
アージディアと名乗る
人間の若い女性に出会い、
町の喫茶店で少しの時間話しをします。

アージディアと別れた後、
宿に戻り一時間ほど
仮眠を取ったデフィー達は、
シャイルがまだ部屋に
戻っていないことに気がつき、
図書館に迎えに行くことにします。

デフィーとフィリアが図書館へ行くと、
シャイルはまだ調べ物を続けていました。
作業に没頭しているシャイルは、
デフィーとフィリアが近づいても
気がつきません。

デフィー「シャイルさん」

フィリア「シャイル」

デフィーとフィリアが
小声でシャイルに呼びかけます。
その声に気がつき、
デフィー達の方を見るシャイル。

シャイル「おや?二人共、
     どうしたんだい?」

フィリア「そろそろ宿の
     晩御飯の時間だから、
     迎えに来たんだ」

シャイル「ええっ!?
     もうそんな時間かい?
     ・・しまったな、
     作業に集中して時間を
     忘れてしまっていたよ・・
     悪かったね、
     すぐに帰り支度をするから
     ちょっと待っていておくれ」

シャイルは書き溜めていたメモや
筆記用具を片づけ、
読んでいた本をすべて
元有った本棚に戻します。

シャイル「よし、お待たせ」

デフィー達三人は図書館を出て、
夜空のもと宿への道を歩いて戻ります。

フィリア「シャイル・・
     今日はごめんよ。
     君一人を残して、
     調べ物を任せてしまって」

デフィー「はい・・
     シャイルさんが一人で
     調べてくれている間、
     私達は休ませてもらって・・
     本当にすみませんでした」

シャイル「ははは、
     二人共気にしないでおくれ。
     私はああ言った作業が好きで、
     時間を忘れてしまうくらい
     楽しくやっていたんだからさ」

笑顔で優しく言うシャイル。

フィリア「う、うん・・」

デフィー「はい・・」

申し訳なさそうなデフィーとフィリア。

シャイル「気になる本を
     何冊か読んで
     私なりにまとめてみたから、
     二人が調べてくれた物と併せて、
     夕食を食べ終わったら
     皆で共有しようよ。
     ねっ?」

フィリア「うん・・
     ありがとう、
     シャイル」

デフィー「シャイルさん、
     ありがとうございます」

宿に着き夕食を取り終えたデフィー達は、
部屋に戻ります。
そしてそれぞれが本を読んで
気になった個所をまとめたものを、
お互いに話し合い共有します。

はるばる図書館の有る町を
訪れた甲斐が有り、
デフィー達はいくつかの有力な情報を
得ることが出来ました。

今日一日の作業では
まだ読み切れていない本が
残っていたので、
当初の予定通りデフィー達は
翌日も図書館で調べ物をすることにします。

旅と調べ物により疲れていたデフィー達は、
翌日の作業に備えて早めに休むことにします。

それぞれに眠る為の準備を終えると、
ベッドに入り眠りにつきます。

翌朝デフィー達が目覚めて
部屋で支度をしていると、
宿の主人が部屋を訪れ
シャイルに一通の封書を手渡します。

主人によるとその封書は、
朝早くに御者風の男が持ってきて、
シャイルに手渡すよう頼まれたと言います。
封筒には宛名は書いて有りましたが、
送り主の名前は書いて有りませんでした。

シャイルが主人に礼を言うと、
主人は仕事に戻って行きました。

ロドスとの件も有り、
差出人の書いていない封書に
不信感を抱くシャイルの表情は
曇っていました。

その様子を見て心配する
デフィーとフィリア。
シャイルは二人に心配をかけないよう
気持ちを切り替え、
まずは朝食を取ることにしました。

食堂で朝食を済ませると、
デフィー達は部屋に戻ります。

シャイルは差出人の書いていない封書を
不審に思いながらも読むことに決め、
封筒を開けてみます。
中には四つ折りの便箋が一枚入っていて、
広げてみると送り主の名前が
書かれていました。

送り主の名前を見たシャイルは、
少し思い出すような素振りをした後
驚いた表情になります。
そして手紙を読み進めると
表情が曇り始め、
読み終えた後にため息をつきます。

シャイル「すまない二人共、
     急な用事が出来てしまってね・・
     図書館での調べ物中、
     少しだけ抜けさせて
     もらえないかい?」

フィリア「う、うん、
     それは構わないけど、
     その手紙が原因なの?」

デフィー「シャイルさん・・
     大丈夫なんですか?・・」

心配そうな様子のデフィーとフィリア。

シャイル「心配させてしまって
     すまない」

申し訳なさそうに言うシャイル。

シャイル「隠すことでは
     ないから言うけど、
     この手紙は幼馴染から
     届いたものだったんだ」

幼馴染と言う言葉に反応する
デフィーとフィリア。

シャイル「それで今日
     二人で会いたいと、
     突然手紙を寄こしてきたんだよ」

フィリア「幼馴染って、
     もしかしてこの間会った
     イェシンさん?」

シャイル「いや、
     イェシンとは別の幼馴染さ。
     まぁ、
     その相手と会うくらいなら、
     イェシンと会う方が
     まだ良かったんだけどね・・」

デフィー・フィリア「?」

シャイル「・・実は、
     昔から苦手な相手でね・・
     出来ることなら
     会いたくはないんだけど、
     こうして手紙を
     寄こしたと言うことは
     私の居場所を知っていると
     言うことだし、
     会わないとまた面倒なことに
     なりそうだからね・・」

やや暗い表情で話すシャイルを、
心配そうに見るデフィーとフィリア。

フィリア「シャイルがそんなに
     嫌がるなんて、
     どんな人なの?」

シャイル「うん・・まぁ・・」

当時のことを思い出す様子のシャイル。

シャイル「子供の頃に会ったきりだけど、
     その頃の印象では
     何かと私に因縁をつけては絡んで、
     嫌なことを言ってくる面倒な奴って
     感じだったかな」

表情の曇るデフィーとフィリア。

シャイル「でも、
     あれから何年も経っているし、
     もしかしたら大人になって
     変わっているかも
     しれないからね」

デフィー「・・その方は、
     何故急にシャイルさんに
     会いたいと手紙を
     寄こしたのでしょうか?
     それも子供の頃に
     会ったきりなのに・・」

シャイル「分からないよ、
     覚えが無いからね。
     気は進まないけど、
     会わないと余計面倒なことに
     なる可能性が有るから、
     とりあえず挨拶だけしてくるよ。
     ・・そう言う訳ですまないね、
     途中少し抜けさせてもらうよ」

心配しながらも
デフィーとフィリアは了承します。

パート7につづきます。

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