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幸せになりたいエルフの冒険 第十二話 エルフと妬み屋 パート5

エルフの女の子デフィーは、
ダークエルフの女の子フィリア、
人間の女性で作家のシャイルと一緒に
幸せを探す旅をしています。

幸せについて書かれた本を探しに、
図書館のある町を訪れたデフィー達三人。
デフィーとフィリアはその町で
アージディアと言う女性に出会い、
町にある喫茶店で
お茶をすることになりました。

初めはアージディアを交えて、
質問された旅のことや自分達について
話していたデフィーとフィリア。
しかし途中から
普段世話になっているシャイルの
話に夢中になってしまうと、
アージディアの表情は見る見る歪み、
恐ろしい表情になっていました。

アージディアの表情を見て驚く
デフィーとフィリア。

デフィー「あっ・・
     ごっ、ごめんなさい。
     私達、
     アージディアさんが居るのに・・」

フィリア「うん・・
     つい話に夢中になっちゃって、
     ごめんなさい」

デフィーとフィリアは、
申し訳なさそうに謝ります。

自分のしている表情に気付き、
一転して満面の笑みを浮かべる
アージディア。

アージディア「い、いえ、いいのよ。
       こちらこそ申し訳なかったわ、
       驚かせてしまったわよね?
       また嫌なことを
       思い出してしまって・・
       だから決して二人に対して
       怒っていたわけじゃないのよ」

デフィー「は、はい・・」

フィリア「うん・・」

恐る恐るそう答えるデフィー達。

アージディア「さて、
       結構話し込んでしまったわね。
       お二人も旅で
       お疲れでしょうから、
       そろそろお開きにしましょうか?

       お二人共、
       急な誘いにも関わらず
       お付き合いいただいて、
       ありがとうございました。

       色々と貴重な話が聞けて
       参考になりましたわ」

デフィー「・・い、いえ」

フィリア「何だか僕達ばかり話して、
     アージディアさんのお話を
     聞くことが出来なかったけど・・」

アージディア「いいんですのよ。
       私はあなた方のお話を
       お聞きしたくて、
       こうしてお茶に
       お誘いしたんですもの。
       知りたかったことを
       色々と教えていただき、
       感謝してますわ。

       お礼と言っては何ですが、
       ここのお代は
       私に払わせてください」

デフィー「いえ、そんな、
     悪いですよ」

フィリア「うん、
     僕達の分は自分で払うよ」

アージディア「いいえ、
       このお店にお誘いしたのは
       私ですし、
       色々とお話を聞かせて
       いただいたんですもの。
       せめてそれ位はさせてください。
       ねっ?」

そう言うとアージディアは店主を呼び、
三人分の紅茶代の支払いを
済ませてしまいます。

アージディア「それでは
       デフィーさん、フィリアさん、
       本日はありがとうございました。
       私はこれで失礼致しますわ」

席を立ちあがるアージディア。

デフィー「あっ、アージディアさん、
     お紅茶、ごちそうさまでした」

フィリア「ごちそうさまです、
     ありがとうございました」

店を出ていこうとするアージディアに
慌ててお礼を言うデフィーとフィリア。

アージディアは振り向いて笑顔で応じた後、
一人で店を出て行き、
その後ろ姿に店主が挨拶を言います。

店に残されたデフィーとフィリアは、
紅茶の残りを飲み切った後、
店主にお礼を言って店を出ます。
そして宿の部屋に戻ると、
疲れが一気に出てしまったので、
ベッドに入り少しの間眠ることにしました。

それから一時間ほど経過して
デフィー達が目を覚ますと、
日はすっかり傾いていて
部屋の中は暗くなっていました。

部屋の灯りを点けて
室内を見回すデフィー達。

フィリア「・・シャイル、
     まだ帰って来てないみたいだね」

デフィー「そうね・・」

フィリア「迎えに行こうか?」

デフィー「ええ、
     そうしましょう」

パート6につづきます。

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