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幸せになりたいエルフの冒険 第十二話 エルフと妬み屋 パート3

エルフの女の子デフィーは、
ダークエルフの女の子フィリア、
人間の女性で作家のシャイルと一緒に
幸せを探す旅をしています。

幸せについて書かれた本を探しに、
図書館が有る町を訪れたデフィー達三人。
その町でデフィーとフィリアは、
アージディアと言う女性に出会い、
町の喫茶店でお茶をすることになりました。


店主が注文の紅茶を
デフィー達のテーブルまで運び、
それぞれの前に置いて
カウンター内に戻って行きます。

アージディア「ところでデフィーさん、
       フィリアさん」

デフィー「はい?」

フィリア「?」

アージディア「お二人は
       この町にご旅行か何かで
       訪れているんでしょうか?」

デフィー「はい、
     私達旅をしていて・」

アージディア「まぁ!
       やはりそうでしたのね」

デフィーが言い終わるのを待たず
話し始めるアージディア。

アージディア「あなた方が
       この町に来る途中で、
       馬車に道を
       お譲りになったでしょう?
       私、その馬車に
       乗っていましたのよ」

その時の様子を思い出すデフィーとフィリア。

フィリア「そうだったんだ。
     でもあの馬車に
     アージディアさんが
     乗っていたのには、
     気がつかなかったよ」

アージディア「ウフフフ、
       あの時の皆さんのお心遣いには
       感心しましたのよ」

デフィー「いえ、そんな」

フィリア「うん。
     それに道は広かったから、
     僕達が避けなくても
     馬車は通れたからね」

アージディア「いいえ、
       大切なのは
       私に譲ってくれたこと。
       その心遣い、気遣いは、
       これからも大切にされた方が
       よろしいですわよ」

デフィー「は、はい・・」

フィリア「分かりました・・」

何か引っかかる感じを受けながらも、
そう答えるデフィーとフィリア。

アージディア「それで、
       あなた方は何故旅を
       してらっしゃるんですの?」

デフィー「えっ?」

アージディア「旅をするからには、
       何か理由が有るのでしょう?
       そんな大変なことをわざわざ
       してらっしゃるのですから」

デフィー「え、ええ。
     私達は幸せを探して
     旅をしているんです」

アージディア「まぁ!幸せを!」

デフィー「はい」

フィリア「そうなんです。
     それで色々な場所を旅していて、
     今日この町に来たのも、
     図書館で幸せについて
     書かれた本を調べる為
     だったんだよ」

アージディア「そうでしたの。
       それで成果は
       有りましたか?」

デフィー「はい、
     図書館で何冊か
     気になる本を
     見つけることが出来ました」

フィリア「うん、
     それでさっきまで
     調べ物をしていたんだよ」

アージディア「まぁ!
       それは良かったですね」

嬉しそうな表情になる
デフィーとフィリア。

アージディア「・・ところで、
       お二人の他にもう一方
       いらっしゃいませんでしたか?
       馬車から見た時は
       三人だったと思うのですが?」

フィリア「ああ、
     シャイルのことだね」

小さくピクっと反応するアージディア、
その後すぐに満面の笑みを浮かべます。

アージディア「シャイルさん・・
       先程お二人と
       一緒に居られた方は、
       シャイルさんと
       おっしゃるんですね?」

フィリア「うん、
     そうだよ」

デフィー「はい、
     幸せを探して一緒に
     旅をしているんです」

アージディア「そうでしたの?
       因みに
       そのシャイルさんって方も、
       お二人と同じ
       エルフなんですか?」

フィリア「ううん、
     シャイルはエルフじゃなくて
     人間だよ」

うっすらと笑みを浮かべるアージディア。

アージディア「そうなんですの?
       では人間の方が、
       エルフのお二人と一緒に
       旅をしてらっしゃるんですね?」

返事をして頷くデフィーとフィリア。

アージディア「へ~、
       そうでしたのね・・」

何かを考える様子のアージディア。

アージディア「お二人から見て、
       そのシャイルさんって
       どんな方なんですの?

       同じ人間の女性として、
       どんな人が
       エルフのお二人と一緒に
       旅をしているのか、
       興味が有りますの。
       よろしければお話しして
       くださらないかしら?
       ねぇ?」

デフィー「シャイルさんですか?」

フィリア「シャイルは優しいよね?」

デフィー「そうよね、
     とても優しいわ。
     それに思いやりが有って、
     勇敢で知的で、
     素敵な女性よね?」

デフィー達の話を聞き、
少し表情を歪めるアージディア。

フィリア「だね、
     それに自立しているし、
     努力家だよね」

更に表情を歪めるアージディア。

その様子に気がつくデフィーとフィリア。

デフィー「?
     アージディアさん?」

フィリア「どうしたの?
     何だか辛そうな顔を
     していたけど・・」

アージディア「い、いいえ、
       ごめんなさい」

慌てて取り繕うアージディア。

アージディア「少し嫌なことを
       思い出してしまって・・
       でももう大丈夫よ、
       心配はいらないわ」

笑顔を見せるアージディア。

デフィー「・・そうですか?
     もしかして私達、
     何か気分を害することを
     言ってしまいましたか?」

不安そうに言うデフィー。

アージディア「いいえ、
       とんでもありませんわ。
       お二人のお話とは
       関係無いことを
       不意に思い出してしまい、
       それが少し
       顔に出てしまいましたの。
       お気を遣わせてしまい、
       申し訳ありませんでした」

デフィー「い、いえ」

フィリア「・・本当に平気なの?」

心配そうな様子のデフィーとフィリア。

アージディア「ええ、勿論ですわ。
       それよりもっとお話を
       聞かせていただきたいわ」

パート4につづきます。

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