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幸せになりたいエルフの冒険 第十二話 エルフと妬み屋 パート2

エルフの女の子デフィーは、
ダークエルフの女の子フィリア、
人間の女性で作家のシャイルと一緒に
幸せを探す旅をしています。

幸せについて書かれた本を目当てに、
図書館のある町に歩いて向かっていた
デフィー達は、
目指していた町に昼前に到着します。

その町は図書館の他にも、
個人が経営する店舗の多い栄えた町でした。

町に着いたデフィー達は、
まず宿を取りました。
そして宿の食堂で昼食を食べ、
その後部屋で少しの時間
旅の疲れを癒したデフィー達は、
宿に荷物を残して図書館へと向かいます。

図書館は宿から歩いて
すぐの距離に有りました。
図書館は二階建ての広い建物で、
その外観の大きさに
驚いたデフィーとフィリアは、
館内に入り多くの本を目にすることで
更に驚くことになりました。

シャイルの先導で目当ての本を
何冊か探し出したデフィー達は、
空いていたテーブル席に座り、
見つけた本を分担して
それぞれに読み始めます。

そして各自気になった個所を
メモに取っておき、
後でまとめて共有することにしました。

二時間ほど集中して
調べ物をしていたデフィー達ですが、
デフィーとフィリアは
慣れない作業であったことに加えて、
時間と共に集中力が切れ、
更に旅の疲れが出て眠くなってしまいます。

その様子に気がついたシャイルは
調べ物の残りと片づけを引き受けた上で、
デフィーとフィリアに先に
宿に戻って休むように伝えます。

シャイルだけに
任せる訳にはいかないと言う
デフィーとフィリアでしたが、
疲れと眠気には勝てず
シャイルの言う通り
先に宿に戻ることにします。

シャイルが使う資料以外を
片付けたデフィーとフィリアは、
図書館を出て宿への道のりを
歩いて戻ります。

デフィー達が歩いて少しすると、
突然背後から声を掛けられます。

女性「ねぇ、あなた達」

デフィーとフィリアが
声のする方へ振り向くと、
紫色のドレス着た
高貴そうな若い人間の女性が
一人立っていました。

女性「もしかしてお二人は、
   エルフではありませんか?」

デフィー「は、はい、
     そうですが・・」

戸惑いながらも答えるデフィー。

女性「まぁ!
   やはりそうでしたのね?」

デフィー・フィリア「?」

女性「先程お見かけして、
   もしやと思い声を掛けて
   しまいましたの。
   まさか本当に
   エルフの方々だったなんて、
   素敵ですわ」

状況が飲み込めず
戸惑い続けるデフィーとフィリア。

デフィー「あ、あの・」

女性「私、
   アージディアと
   申しますの」

何かを言いかけたデフィーを遮り、
女性は得意げに名乗ります。

アージディア「お二人共
       もしよろしければ、
       この近くの喫茶店で
       少しお話ししませんか?」

突如出会った
知らない人間の女性に急に誘われ、
尚も戸惑うデフィー達。

アージディア「私、
       子供の頃に本で読んで以来、
       エルフの方達にずっとお会いして
       みたかったのよ。
       でも実際にはエルフの方達って
       滅多にお会いできないでしょう?
       今日こうして出会えたのも
       何かの縁だと思うの。
       だからお願い、
       いいでしょう?ねっ?」

アージディアは
デフィー達に話す機会を与えず
一方的に話し続けます。
そんなアージディアのペースに
負けてしまい、
デフィー達はすぐ近くで
営業している喫茶店に
寄ることになってしまいます。

アージディアを先頭に
デフィー達が喫茶店に入ると、
四十代位の紳士的な男性の店主が
挨拶で迎えてくれました。

喫茶店は男性が
一人で営業しているようで、
カウンター席が6席、
四人掛けのテーブル席が3つ有る
静かな落ち着いた雰囲気の店でした。

店内には先客が居り、
カウンター席が二つ、
テーブル席が一つ埋まっていました。

アージディア「あの奥の席が良いわね」

アージディアは
空いていた奥のテーブル席へ向かい、
席に着きます。
デフィー達もアージディアの後を追い、
同じテーブル席で
向き合うように座ります。

店主がデフィー達のテーブルに、
三人分のおしぼりと
グラスに入った冷たい水を持ってきて
それぞれの前に置きます。

店主「ご注文がお決まりになりましたら
   お呼びください」

アージディア「紅茶をホットで三つ、
       お願いしますわ」

メニューを見ることなく、
デフィー達の意見も聞かずに
注文をするアージディア。

アージディア「お二人も
       よろしいですわよね?」

デフィー「は、はい」

フィリア「う、うん」

戸惑いながらもそう答えるデフィー達。

店主「かしこまりました」

注文を了承したことを告げ、
カウンター内に戻り
紅茶を入れる準備を始める店主。

アージディア「そう言えば、
       まだお二人のお名前を
       お伺いして
       いませんでしたわね?」

デフィー「あっ、ああ、
     そうでしたね、
     失礼しました。
     私はデフィーです」

フィリア「ぼ、僕はフィリアです」

慌てて答えるデフィー達。

アージディア「まぁ!」

胸の前で両手を合わせながら
嬉しそうな顔をするアージディア。

アージディア「デフィーさんに、
       フィリアさんと言うのね。
       お二人共素敵な
       良いお名前ですわね」

デフィー「あ、ありがとうございます」

フィリア「ありがとうございます」

アージディア「ところで、
       私の名前はどう思われます?」

デフィー・フィリア「えっ?」

アージディア「ですから、
       私のアージディアと言う名前を、
       お二人はどう思われるかと
       お聞きしているんです」

意図の分からないアージディアの質問に
戸惑うデフィーとフィリア。

デフィー「え、え~と・・」

フィリア「ぼ、僕は、
     素敵な名前だと思うけど・・」

デフィー「わ、私もそう思います」

アージディア「まぁ!」

嬉しそうな笑顔を浮かべながら
歓喜を上げるアージディア。

アージディア「そうですか?
       ありがとうございます。
       ウフフフフフ
       そうですわよね?
       オホホホホホ」

アージディアが機嫌を良くしたのを見て、
デフィーとフィリアはホッとします。

パート3につづきます。

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