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カードゲーム編 パート42 幸せになりたいエルフの冒険番外編

シャイル「ふぅ~・・
     私の考えを知った上で
     尚も正体を明かさないのには
     何か理由が有るんだろう?

     人間か、或は人間では
     ないのかもしれないけど、
     他人には知られたくないことが
     有るのはどの種族でも
     一緒だろうからね。

     それを無理に
     詮索しようと言うのは
     野暮ってもんだよね。
     だからこれ以上はもう
     詮索はしないよ。」

ルシファー「ありがとうお嬢さん、
      助かるよ。
      ・・・
      お嬢さんのその心遣いと、
      ゲームを楽しませてくれたお礼に
      少しだけ教えてあげよう。」

シャイル「?」

ルシファー「俺はお嬢さん達に
      危害を加えるつもりも無ければ、
      そんな存在でも無いと
      いうことをね。」

シャイル「・・・
     それを・・信じろと?・・」

ルシファー「ふふっ、
      信じるか信じないかは
      お嬢さんの自由さ。
      でもこれで
      お嬢さんの抱く疑念や不安を
      少しは晴らすことが
      出来るんじゃないかな?」

シャイル「・・
     本当に
     その言葉通りならね・・

     でもまぁ、
     あんたが私の思う種族とも、
     人間じゃないとも
     決まった訳じゃ無いし、
     それにあんたの人間性?
     でいいのかな?
     それは信頼に値すると
     私は思っている。」

ルシファー「そいつはどうも。」

シャイル「・・だから信じるよ、
     あんたのその言葉をね。」

ルシファー「ふふっ、
      ありがとうお嬢さん。
      さて、
      俺としたことが
      いささか話し過ぎたようだね。
      そろそろ失礼させて
      もらうとするよ。」

シャイル「もう行くのかい?
     私に再戦もさせずに
     勝ち逃げってのは、
     ちょいと
     ずるいんじゃないかい?」

ルシファー「ははは、
      それはまたの機会って
      ことで頼むよ。
      お互い旅をしていれば
      またこうして会うことも
      有るだろうからね。」

シャイル「しょうがないねぇ、
     今回は負けてしまったけど、
     次やる時は私が勝つからね!」

ルシファー「ああ、
      それじゃあまた
      何処かで会おう。
      楽しみにしているよ、
      お嬢さん。
      エルフのお嬢ちゃん達にも
      よろしくな!」

シャイル「ああ、
     あんたも達者でね。」

シャイルに別れを告げ、
ルシファーはカードショップを
去っていきます。

シャイル「ふぅ・・
     ルシファーの正体が
     悪魔なのかどうか・・
     突き止められたかもしれないのに
     残念だったね・・

     まぁ、
     あいつがどんなヤツなのか
     前よりは少し分かったし、
     大丈夫だよね、きっと・・

     それに
     正体を詮索しないと約束し、
     信じると言ったんだ。
     今更ゴチャゴチャ
     考えても仕方ないね。」

ルシファーに対しての疑念や不安は
まだ残るものの、
その人柄に触れて
少し理解出来た気がしたシャイルは、
荷物をまとめてカードショップを出ます。

予定外のカードゲームを
ルシファーとしてしまった為、
店の外は薄暗くなっていました。

シャイル「いけない!
     少し遅くなってしまったね・・
     急いで帰らないと
     デフィーちゃんとフィリアちゃんが
     心配しているかもしれない。」

荷物を抱えて宿への帰路を急ぐシャイル。

シャイル「ふふっ、
     2人に買ったお土産、
     喜んでくれるといいなぁ。」

久しぶりに再会したルシファーと
カードゲームで勝負をしたシャイル。
ゲームには負けてしまいましたが、
ルシファーの人柄に触れたことと、
純粋にカードゲームが楽しかったことで、
連日の旅の疲れも少し癒えたようです。

暮れて行く町の中を、
デフィーとフィリアの為に
町で買ったお土産を手にして、
2人の待つ宿屋に心を弾ませながら
シャイルは帰って行きました。

つづく。




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