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食品表示から配合を推測してみる試み

 ハローボンジュール、いつきさんです。

 実はこんな依頼をXでいただいておりました。2月に。本当に遅くなってごめんなさい……。

 だいぶご依頼から間が空いてしまったのですが💦、ただざっくり返すだけだとつまんないかなーと。

 せっかくなので僕がどんな風に食品表示を見てるのかというところを、消費者の皆様にも知ってもらうと面白いのかもというところで、じっくり記事にしてみようと思った次第です。

 とはいえあまりこういうのやったことないので、見方は特殊かもしれません。一般的に食品メーカーの研究開発の人がやる手段ではないかもしれないことをご了承ください。僕ももはや現役の研究開発マンではないですし…

 また、メーカーから依頼を受けた記事ではないのですが、記事の特性上PR要素が入ることはご承知おきください。

 それではゴーゴー!


1.流石に色々とジャンボ

 この商品自体は複数のスーパーで見かけたので、結構売れているのでしょう。今回の件の前から買ったことがあった…と思います。
 ちょうど良い比較対象があったので並べてみました。

伊右衛門のラベルとほぼ同じ高さ

 さすがジャンボ!
 そして栄養表示成分です。どん。

糖質ダイエッター殺し

 437kcal!
 
参考までに、もりそば(並)で361kcal、セブンの塩むすび1つで174kcalだそうです。これはなかなかですね。

 ちょっと思ったのは、思ったより脂質が多いこと。
 蒸しパンなのに? ふーむ。

2.重量測定

 本来は袋から出して測るべきですが、諸事情で包装したまま測定。 

121g!
キッチン狭くて秤が少し浮いてるけど、大勢に影響はないのでゆるして

 ここで食品メーカーの中の人らしいことを言っておくと、基本的に食品が容量ぴったり入っていることは、ないとは言わないですが稀です。というのは、単純に充填時に誤差がでるからですね。

 で、誤差もマイナス方向の誤差はご指摘を頂くことが多いので、少し多めの方向に誤差が出ることが多いです。100gと書いてあって、98gだと損した気持ちになるかもしれませんが、102gだとまぁなんか許せる人が多い……という話かもしれません。

 話を戻しますが、ここはまぁ120gと見ておきましょう。袋と紙で1g。もう少し細かく見てる気もしますが、それこそ誤差でしょう。

3.原材料表示を見てみる

 ようやく原材料表示です! 見てみましょうどーん。

 さて、食品の表示の見方です。
 まず、成分の羅列の途中にスラッシュがあると思います。今回で言うと「しょうゆ」と「ベーキングパウダー」の間ですね。このスラッシュまでが「原材料」、スラッシュの後が「食品添加物」となります。
 よくある食品添加物フリーの商品というのは、このスラッシュの後がない商品のことを言います。

 そして並んでいる順番ですが、これは重量の多いもの順になります。原材料も食品添加物もそうです。ただし一つ罠があって、日本では「水」の表示は不要です(書いてもよい)。海外だと「Water」の表示は結構あります。

 では、改めて表示を見てみましょう。

 最初が砂糖!
 これはさすがです。この商品、なんと原料の中で砂糖が一番多いです(注:水の可能性はあります)。次が卵、そして小麦粉。パンのくせして小麦粉ここかい! という感。スゴイ。小麦粉はたぶん薄力粉でしょう。

 そして食用加工油脂、これは普通に考えればショートニングでしょうか。

 「乳等を主要原料とする食品」は乳脂肪に乳化剤や安定剤を加えたような食品ですね。これは食品添加物ではなく、原材料です。クリームみたいなものだと思ってください。あとはもう多分量としては微量だと思うので、配合としてはもう気にしません。
 ただ、しょうゆはちょっと面白い。隠し味かな?

4.配合を推測しよう

 さて、ちょっと配合を推測してみようと思うのですが、すごくマニアックに触ってしまったので、結論から見たい人は飛ばしてください。連立方程式とか解いてるので。

 ここは本当に難しかったです。理由がベーキングパウダーなんですね。正直あまり深くベーキングパウダーを含む栄養成分表示を触ったことがないので間違えてるかもしれない。
 ベーキングパウダーを含む食品は、二酸化炭素の発生量の分を一般成分から抜くというルールがあるそうで、ベーキングパウダー100gあたり23.5g抜くわけですね。

 なのでベーキングパウダーの配合量が分からないと何とも言えないのが正直なところ。わかんなすぎるので、クックパッド等見て一般的には小麦粉100gに対して4gくらいとのことだったので、小麦粉の1/25とします。

 さて、それでは栄養成分と原材料を対応させてみましょう。

括弧内は微量に入ってそうだけど無視してよさそうなもの

 ここから先はパズルなのですが、さて何から見ていこうか……と思った時に、まずタンパク質は良いのでは、と思われます。

 1個120gとして、製品120g当たりタンパク質は6.5gです。よくわかんないですけど、乳等を~と調味料で0.5gくらいとしましょう。残り6g。卵は全卵として100gあたりタンパク質は約12g、小麦粉は100gあたり約9gですね。卵をxとして小麦粉をyとすると、
①0.12x+0.09y=6
 となります。

 次やるとしたら炭水化物なのですが……炭水化物って、普通差し引き法で評価するんですよね。何が言いたいかというと、今回は120gあたりなので
 120 g ー (水分+タンパク質+脂質+灰分(+二酸化炭素))g=炭水化物g
 という式になるのです。

 なので、炭水化物57.5gは実の測定値ではないのです。炭水化物だけ分析するの、すっごい大変なのです。まぁ厳密にはタンパク質も窒素量から換算してるだけで厳密には異なりますがご愛敬。

 とはいえこれしか材料はないので、正確にはならないと思いますがやってみましょう。砂糖をzとすると、
②z + 0.76y + 0.01y(BP補正) =53.5
③z(砂糖) > x(卵) > y(小麦粉)
 ということで、①~③式をある程度満たす条件を考えてみましょう。

 仮にz(砂糖)40gとすると、②からy(小麦粉)=17.5g。
 ①からx(卵)=36。砂糖・小麦粉・卵合わせて93.5g。その他+配合の水とか入れて全部で120g。
 なんとなく、こんなところなんじゃないですかねぇ……。

5.とりあえず砂糖が多いのは間違いない

 そんなわけで、とりあえず砂糖がメチャクチャ多いと思います。35~45gくらい砂糖なんじゃないかな、と思います。
 
カロリーが高い理由としては、単純に砂糖が多いからですね。

 ちなみによく例として挙げられる角砂糖ですが、大体一個4gです。あれが10個分くらい。うーむ、そう言われると結構な量。

 ただしまぁ、本当に難しいしあまり自信がないです。今回こういうの初めてやってみましたが、実際に僕が会社で分析しろと言われれば、全部実測値取るので。

 今回はかなりパズルでしたし、炭水化物の量もタンパク質の量も正直正確ではないです。これはいつか話しましょうか。

 糖質制限ダイエットが強く謳われる昨今、表示の一番上に砂糖を持ってきた木村屋の勇気に乾杯。でも、見たら結構コンビニでもスーパーでもどこでも売ってるんですよね。ロングセラー商品にはあまりそんなのは関係なかった。久しぶりに食べましたが、美味いなぁこれ。罪の味がする。

 とりあえずこういうものを食べるときは、食べる前に野菜などを食べて血糖値の急激な上昇は抑えましょう。
 そしてせめて飲料はカロリー少な目でどうぞ。野菜が難しければ、難消化性デキストリンの入った飲料を使いましょう。こちらは今話題の機能性表示食品ではなくトクホなので、それなりにエビデンスは高めのはずです。

 それではこの辺りで、グッバイ!


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