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〜令和4年第31回緑の文化賞受賞〜養沢の育林業家『池谷 キワ子さん』

緑や森林に関して顕著な功績のあった方、または団体を表彰する「みどりの文化賞」(公益社団法人国土緑化推進機構が創設)に、池谷キワ子さん(84歳・調布市在住)が受賞した。

池谷さんの生家は江戸時代から養沢で林業を営んできた。五人姉妹の長女ということもあり、高齢になった父を手伝うため、42歳で池谷林業に従事。当時住んでいた世田谷区から車で養沢へ通った。日本林業経営者協会に入り林業を一から学び、森林評価士、森林インストラクター、都林業普及指導協力員の資格を取得。父親の他界後、53歳で池谷林業を引き継いだ。

昭和61年の広域的大雪害をきっかけに、森林ボランティア会が多摩地域で結成され、池谷さんも平成6年から自身の山を開放し、「林土戸りんどこ」をはじめ数々の森林ボランティアを受け入れてきた。特に山作業主任であった故・小澤勇二さんことユウさんは、ボランティアの方々に惜しみなく自らの知識と技術の伝承に励んだ。現在も「そらあけの会」「森と人の会」など、月に数度、継続して森林作業を手伝っている。

また、都内の小学校5年生の授業で出前林業授業をしたり、様々な媒体を通じて、女性、母の視点から森林づくりについてメッセージを発信している。

「日本は稲作文化で、山から常時水が出るように水源林を守ってきました。一方、人工林を植え育て、建築材にする林業を古くから循環させています。日本の山ほど多種の動植物が見られ、四季折々恵み豊かな山林はありません。私は、養沢で生まれ育って幸せでした。林業作業は楽しく、自然に囲まれていることの効用は、目に見えない良さがあります。」と池谷さんは語ってくれた。

賞牌を手に。「山作業や林内見学に参加した大勢の山の応援団達に与えられたご褒美を代表して私が受け取ったと思う。」
そらあけの会のお弁当タイム。皆で具を持ち寄り、かしき(炊事)当番が焚き火の炉でお味噌汁を作るのが恒例。
受賞を記念して植えた「ダンコウバイ」の傍らに立つ、そらあけの会が制作したモニュメント。
山のことを知ってもらいたいと出版された散文集「山から野田より〜養沢で林業とともに〜」池谷キワ子:著(株)清水工房

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