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〜地域住民の足を支える履物屋さん〜都内唯一の手作り下駄職人の店『山本商店』

お店にいると、中学生の男の子と母親が、学校指定の上履きと体育館履きを買いにやってきました。「いらっしゃい」と店主の山本一郎さん(83歳)が声をかけ、椅子に男の子を座らせて、丁寧に靴のサイズ合わせをします。「サイズが合わないと、運動中に足を痛めることもあるからね」。男の子は履き心地に納得して、二足の靴を買っていきました。

年季の入った作業場で下駄に向かう山本さん

山本さんは増戸生まれの増戸育ち、中学の時から父親の手伝いをし、高校時代に下駄作りの技術を身に付けました。しかし昭和30年代、世の中は下駄から靴に変わり、需要が減ったことから、都内の家具メーカーに就職し31年間勤め、50歳で退職。その後、店を継ぎ、長年やめていた下駄作りを再開しました。


4年寝かせて乾燥した桐の丸太。左右で木目が合うように墨付けを行う
作業場の壁にかけられた、下駄作りの道具。道具の柄が手作りで味がある

山本さんの下駄は、桐の木を材料にし、手作りにこだわります。伐採した桐は、乾燥するまで4年ほど寝かせます。しっかり乾燥した桐の丸太に墨付けをして製材し、一枚の板になった状態から下駄作りが始まります。使用する道具は下駄作り専用の特殊なもので、どの様に使うかわからないものばかり、見ていてワクワクします。
 都内唯一の手作り下駄職人の店ですから、テレビ取材で取り上げられ、注文の電話がひっきりなしに来ることも。しかし、現在は桐材がほとんど手に入らず、山本さんの手元にあるのは桐の丸太が2つほど。既に墨付けが終わっており、これからチェーンソーで製材し、暖かい季節になったら下駄作りを始められるそうです。この貴重な下駄は、どなたの手に(足に)渡るのでしょうか、出来上がりをぜひ拝見したいものです。
 近頃は、主に下駄ストラップ(300円)を制作していますので、丸みのある形、、桐の艶のある木肌を手で触れていただきたいと思います。

下駄ストラップ


明るい店内は初めてでも入りやすい。創業90年以上

山本商店
[住所]  あきる野市伊奈1060-1(駐車場有)
[電話]  042-596-0144
[営業時間]9:00〜17:00
[定休日] 月曜日

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