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遊覧船にて


“遊覧船”と聞いて
皆さんはどんな船を想像するだろうか。

私は少し前に家族で熱海旅行に行った。
私は熱海大好きっ子ちゃんなので、
それはもう本当に楽しい楽しい
ハッピーハッピーハッピーな時間を過ごし、
大好きな両親と姉とも
たくさんの思い出ができて幸せだった。
一泊二日の熱海旅行の2日目も、
朝から爆裂テンションMAXで
ハッピーハッピーハッピーだった私。
この熱海旅行が決まった時から
スマホがアッッツアツに熱くなるほどに
様々な観光地を調べに調べぬいていた私は
熱海遊覧船サンレモというものを知った。

潮風を感じて良い思い出になりそうだと思った私は家族に乗ることを提案すると、
母と姉はいいね!と賛成してくれたが、
父だけは頑なに断っていた。
「まったく、ビビリなパパだぜ」と思いながら
船を待つ間、母と姉と写真を撮ったり
はしゃぎ回っていた。
このあと、予想だにしない事態になるとも知らずに…!



船が到着し、乗り込むと階段があり、
階段を降りるとそこには
海中展望室という海の中のお魚たちが
たくさん見れる窓があった。
私は海中が少し苦手なので恐怖心もあったが、
なかなか見れない野生の魚たちの群れに
感動していた。

船の座席に座ると、
カモメのエサと書かれた
かっぱえびせんが売られていたので
鳥が好きな私はカモメと
マブダチになる事を目指し、即購入した。

ついに船が出発!
まず、座席から海面までの距離の近さに
ビビり倒した。
落ちてしまうんじゃないかと震えるくらいには
ビビり倒していた。
今更だが、私は海が怖くて苦手だ。
浜辺はまだ楽しめるが、
海底が見えなくなった時点で
もう怖くて怖くてたまらなくなる。
何故、そんな私が船に乗ろうと思ったのか
それは完全にハイになっていたとしか言いようがない。
大好きな熱海なら何だって受け入れられるような
感覚に陥っていた。
実際は全くそんなことはなかった。

自身の海に対しての恐怖心を
思い出していた矢先、  
大きな波が来たのか、
船が激しく横に揺れた。
乗客の悲鳴、
微動だにしない藤井聡太君似の添乗員、
乗客の悲鳴、
もはや浮いているかと思うくらいに
微動だにしない藤井聡太君似の添乗員。
もう私には悲鳴と添乗員の記憶しかない。

あぁ、そういえばカモメとマブダチになろうと
していたピュアな私だったが、
カモメは手から直接かっぱえびせんを
食べてくれる事はなかった。
諦めてダメ元でカモメに向かって
ヒョイっと投げてみたら
完璧なタイミングで食べてくれた。
船の揺れで、カモメとマブ作戦どころでは
なくなってしまったので、
途中からはハイスピードでカモメに
かっぱえびせんを投げまくっていた。
ごめんね、カモメたち。
でも上手にキャッチして食べくれてありがとう。

途中、藤井聡太君似の添乗員が
「操縦席も見学できます」と言っていたので
何事にも食いつきの良い母と姉が
立ち上がって見学に行っていた。
少し波も落ち着いた頃だったので私も行ってみたものの、
席に戻ろうとした途端にまた波は激しくなり、
私は手すりに掴まって動けなくなってしまった。
船の揺れで母は地面に転がっていた。
あの時の私の目の前には、
転がる母、
母を見て心配を通り越して怒る姉、
微笑む藤井聡太君似の添乗員、
カモメが見えなくなるほどの波しぶき、
そんな感じだった。
その時私は思った
「パパ、貴方は全て知っていたのね」 

グロッキー状態となってしまった我々は
船を降りてしばらくダメージを負っていたが、
数時間も経つと笑い話になり、
乗っている最中は正直死ぬかと思ったが
今も遊覧船の話になると
家族で笑って話せる良い思い出になった。

はぁ〜また熱海行きたいな。

では、また。



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