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作り目・糸印

いつだれkitchenにお越しになられる方、気にかけて下さってる方、応援してくださる方、いつもありがとうございます。
今回は、いつだれキッチン代表の中崎が、自身のNPO布紗の会報に寄せた文を掲載させて頂きます。

布紗の作り目・糸印

ある日の新聞に、「金沢翔子さん集大成の書展 東京で」という記事が載っていました。

その書き出しは、ダウン症の書家金沢翔子さんで始まっていました。彼女がこれだけメジャーになった今でも、ダウン症の書家と書かれることに対し、何とも言えない違和感を覚えました。

なぜダウン症のという説明が必要なのか。ほかの書家は健常の書家と書かれるのか。糖尿病の書家とか言われるのだろうか。
記事には、チケットの前売り(当日) の入場料がしっかり紹介されています。 つまりは、多くの人がきちんと対価を支払ってもみたいと思える作品を生み出す力があるということで、しかもそのカは、ダウン症であることによって彼女にもたらされたものではなく、長い間の必死の努力によって身につけたものなのです。

弟を間近で見ながら、ずっと感じてきた違和感のひとつ。ダウン症という名前の人がいるわけではなく、たまたま弟はダウン症という先天的な病気をもってこの世に生まれてきたということ。
同じように認知症という名の人がいるわけではない。例えば将来私が認知症という病気になったとして、認知症の中崎とし江が存在するのではなく、 中崎とし江という一個の人間が認知症という病を得たのだということ。この似たような言い回しには、決定的な違いがあるとずっと思ってきましたが、この記事を見たことで、その長い間の違和感の正体が私の中でパラパラとほどけるのを感じています。

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いわきの地域包括ケアigokuによる認知症解放宣言
https://igoku.jp/column-4235/

「ダウン症の」とくくる先には、「障害を持った人」があり、その先にはそういう人を一か所に集めて、ひとくくりに世話をするという発想が待っています。

弟が成人して初めて入った大きな入所施設に面会に行くたびに、周りがみんな同じような障害者で、指導員(そういわれていた時代でした) は、みんなジャージ姿って何なんだ? と思ったとを覚えています。

もし、記事の書き出しが書家金沢翔子さん...だったら、その先に私が感じるような、ひとくくりの発想はないはずです。なぜって、金沢翔子という書家は彼女一人しかいないのだから...。そして、その時初めて、ダウン症は本当の意味で彼女の個性になるのだと思います。

ありとあらゆる分野でコスパや時短が叫ばれる今、そうして作られた時間や金銭を人は何にどう使いたいというのか。

「てらす」(※NPO法人布紗が運営する障がい福祉サービス事業所)で知的障害と呼ばれる人たちに接するとき、今こそこの人たちに学ぶことは多いと痛感します。 障害者を純真無垢などというつもりは毛頭ありませんが、少なくとも彼らはコストパフォーマンスも考えないし、何事にもじっくりと時間をかけて取り組んでいると感じます。 面白そうなことに出会ったときは、何の躊躇もなく試す意欲にあふれています。それがうまくできるかどうかは単なる結果にすぎません。
そう、何かに優劣をつけることは、結果に過ぎないのだと教えてくれます。 要はそれを楽しんで試せるかということであり、その好奇心を抑える事には何の意味もないのだということにも気付かされてくれます。

弟が逝って三年。ダウン症という障害を持って生まれ、きれいごとでは済まされない経験を積みながら、それでも機嫌よく生きてくれたと思います。最期は誰でも障害を負った高齢者になるのだと彼も身をもって教えてくれました。

年を重ねるということは、未知の世界に踏み込むことであり、まだまだ新しい発見もあるのだと思う今日この頃、今でも彼がくれる気づきは多岐にわたり、作り目をつないだ先にある糸印が増えていくのを実感する日々です。

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