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インド旅行記 #04【どうせ、大丈夫。だって、大丈夫だから】



無事、目的のターミナルに着いたわたし。



搭乗手続きなどの全てを1時間以内に終わらせないといけない。ギリギリの時間。足早にターミナル内へ向かい、荷物検査などを終わらせる。



焦る中、飛行機の搭乗が2時間遅れている連絡が来た。あぁ、良かった。一安心。



どうせ大丈夫なら、焦る必要なんてなかったね...! 人生って何があってもどうせ大丈夫になるし、これまでも実際に大丈夫だった。大丈夫じゃなかったらこうして旅なんてできていないもんね。焦っている時ほど間違った判断をしやすいから、そっちの方がよっぽど怖いよなぁ・・・。と、今こうして文字を綴りながら感じている。



でも焦っちゃう時は、焦っちゃうもんね。そういう時は自分にこう伝えてあげたい。「どうせ大丈夫だから、大丈夫だよ!」



落ち着ける時間を得たわたしは、旅人の紋所・プライオリティーパスを片手にラウンジへ。ずーっと欲しかったプライオリティーパス。この度に出る前に遂にゲットした。


初のインド料理は、空港ラウンジで。
(記念すべき最初の現地料理は、ふらっと入ったお店で現地の空気感を肌で感じながらで食べたかった)


・・・


ジャイサルメールへ向かう機内へ。やっと本格的にこの国での旅が始まる。期待と不安が入り混じる何とも言えないこの感覚。飛行機の高度と共にわたしの鼓動も高鳴る。



飛行機がジャイサルメール空港に到着し、機内から降りる。この国での旅が始まること、ずっと来たかった町に足を踏み入れたことがすごく嬉しく、溢れんばかりに笑みがこぼれていたのを覚えている。



ベルトコンベアーから流れてくるわたしの40Lバックパック。このカバンとこの国での旅が始まる。よいしょと重たいカバンを背負う。カバンの重さと共に、不安がズシッとわたしの肩にのしかかった。



空港はとても小さく、こちらから出口が見える。そこにはたくさんのインド人男性がいる。まだインドという未知の国が怖いわたしは一向に外に出ることができなかった。



誰か旅人を見つけて一緒にここを出よう。そう思ったわたしはあたりを見渡す。そこにはスラッと背の高い、肩まであるブロンドの髪をした男性が立っている。「あ、ニューデリーの空港で見た彼だ...!」おびただしい数の人々がターミナルにひしめいていたにも関わらず、わたしは彼のことを覚えていた。



なぜ覚えているかというと、彼とその隣にいた女性がダース・ベイダーのような特殊なマスクをしていたから。空港内はなぜかすごく煙たく、わたしは最初、雲か水蒸気かと思っていた。空港が煙たい理由を空港シャトルで出会ったあのお母さんに理由を聞くと、あれは全部大気汚染だと教えてくれた。11月のデリーは特に大気汚染がひどいそう。お母さんによると、最低でも2週間ぐらいはそれが続くらしい。



「あ、あの時の彼だ。よし、、、声をかけてみよう。」少しの緊張を胸に、彼の元へ。

「Do you know the best way to get to the city from here? (市内までの一番良い行き方、知ってる?)」そう質問した。いきなり「一緒にここを出たい」だなんて駆け落ちのセリフみたいなことは言えない。



彼:申し訳ないけど、分かんないなぁ。実は僕はお母さんと旅をしていて、ここから市内までドライバーを予約しているんだ。

わたし:あ、そうなんだね...!



一緒にここを出れないと知ったわたしは、また少し不安になった。わたしは旅が大好きでいつもひとりで各地を回るんだけど、すごくビビり。自分でも、よくここまでひとりで旅ができているなぁ...と思う。全ては、各先々で出会う方たちのお陰。みんなが助けてくれるから、安全に旅ができる。こうして文字を綴っていて、感謝が溢れてくる。ありがとう。



勇気を振り絞り、ひとりでどうにか市内まで行こう。「ありがとう!良い旅を!」そう言って別れを告げようと思った時、彼がこう言ってくれた。



彼:あ、もし良かったら僕たちの車に乗る?お母さんに確認してみるよ!今、荷物を取りに行ってるから、帰ってくるまで少し待ってくれる?

少しするとお母さんが合流して、彼が今の状況を説明してくれた。お母さんは一緒に行くことを快諾してくれた。



ふたりが予約していたドライバーさんを探しに外へ出る。不安でいっぱいだったあの出口は、もう怖くなくなっていた。



ドライバーさんの車はジムニーのような車だった。後部座席に窓はなく、天井が低い。気を抜いていると、でこぼこ道では頭を打ってしまう。辺りには何もなく、どこまでも続く乾いた地面とまばらに生えた緑があるだけ。時折、目を開けているのが苦しいぐらいの砂埃がわたしたちを包んだ。



車中では、お互いのことを話した。

ふたりはオーストラリア出身。お母さんの名前はアリソンで、息子はサム。年齢は忘れちゃったけど、サムはわたしと歳が近かった。アリソンはインドに来る前にお友達と北京を旅していて、サムはここに来る前にネパールを旅していた。そして、ニューデリーで合流して一緒に親子旅をしているそう。

スノーボードが好きなサムは、この旅の後すぐに北海道の雪山で働くことが決まっていて、日本が好きな彼と話が盛り上がった。



ふたりは翌日、砂漠のラクダツアーに参加する予定らしく、そのツアーにわたしを誘ってくれた。ラクダに乗るのが夢の一つだったわたし。ひとつの出会いが、ひとつ夢へと繋がった。



旅はもちろんのこと、人生って一つの出会いで全てがガラッと変わることがある。そしてその出会いはどこからともなく突然現れ、パッと光を照らす。



サムとアリソンは、わたしの元に舞い降りた眩い光で、先が見えず不安げに歩いていた道をパッと照らしてくれた。やっぱり、大丈夫だった。結局、最後には、大丈夫なんだ。



不安、出会い、喜び。あぁ、旅だ。




た す く。

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