インド旅行記 #03 【この国の洗礼と、優しさと。】
大都市、ニュー・デリー。インデラ・ガンディー空港に着いた。頭の中で想像を膨らませていたインドとは違い、すごくモダンで綺麗だったことに驚いた。
「あ、わたし遂に来たんだ。インド。」
【Welcome to India】のサインを見て、やっとこの地に降りた実感が湧いた。
通称・ゴールデンシティーこと、ジャイサルメール から旅を始めるわたしは到着後すぐに、乗り換え。わたしがトランスファーに与えられた時間は2時間。
ATMで現地通貨を引き出し、乗り換えのターミナルを探すために空港を歩き回る。インフォメーションデスクを発見し、係員に駆け寄り、ターミナルの場所を聞く。
わたし: このターミナルはどこですか?チケットを見せる。
係員: あぁ、ここね!あなたのターミナルはここから7km先だよ!
.......え?そんなはずはない。
空港同士がそんなに離れているなんて、聞いたことがない。
また少し歩いて、警備員の格好をした男性にターミナルの場所を聞いてみる。
"あぁ、すぐそこ。50m先。歩いて10分。"
ほらね、やっぱり近いじゃん。噂通りみんな違うこと言うんだなぁ〜。
そう思いながら、そそくさと教えてもらったターミナルへ。
ターミナルに着き、電光掲示板を見てもわたしの便名がない。航空会社のデスクにも係りの人はいない。焦るわたし。
不安に思ったわたしは、ゲートに立つセキュリティーのお兄さんにわたしがいる場所は正しいのか聞いてみる。
”ここじゃないよ、このターミナルは7km先にある。シャトルに乗らなきゃ。”
みんな本当にバラバラなことを言う。これがインドか。混乱と不安に包まれていたけど、インドの洗礼を浴びていることに嬉しさを感じた。
結局、元来た道を戻り、教えてもらったシャトル乗り場へ。そこには4、5歳ぐらいの2人の子どもを連れたお母さんがベンチに腰掛けていた。
「お願い!ここっであって!!お願い!!」そう心で唱えながら、「このターミナルに行きたいんだけど、ここであってるかなぁ?」そう聞くと、「そのお母さんも乗り換えの為に7km離れた空港に行く」とのこと。.....やっと、心が安心した。
ここにたどり着くまでの道のりだったり、インドに来るのが夢だったことをお話をしたりした。15分ぐらい立つと、シャトルが来た。
その頃にはもう1時間ぐらい経過してた。残り1時間。今度は、飛行機に間に合うかどうかの不安との戦い。
シャトルに係員らしきお兄さんが入ってきて、乗客を一人一人回っている。どうやらみんなチケットを買っているみたい。空港シャトルなのに無料じゃないんだ・・・!
わたしのところにお兄さんが回ってきた。
「いくらですか?」そう聞くと「30ルピーです」そう言った。2000ルピーを渡すと「お釣りがないから無理です。」そう言われた。え?そんなことある・・・!?戸惑うわたし。
ATMで降ろしたお金が全て2000ルピー札(日本でいう一万円札)だった為、チケットを買えずにこのバスを逃してしまうのだろうか。そう思った。
お金はあるのにチケットが買えないわたし。
困っていると、一番後ろの席に座っていた、あのお母さんがヒンディー語でお兄さんと何か会話を始めた。
会話が終わるとお母さんがわたしにこう言ったの。
「わたしがチケット買ってあげるから大丈夫よ!」
え...! 困っていたわたしをまた助けてくれた。
「インドではこういうことは日常茶飯事だから、お金は崩せる時に細かく崩しておいたほうがいいよ!」そう教えてくれた。
何から何まで助けていただいて、心から感謝が溢れた。
この国に来るまでは
「インド=危ない、嘘つきが多い」そう聞いてたから、これまで他の国を旅した時の何倍も身構えていた。でも、飛行機に搭乗してからこのシャトルにこうしてたどり着くまで、そんなことは一切なかった。なんなら、真逆だった。
機内の客席上の荷物入れに手が届かない女性がいたんだけど、それに気付いた人がすぐに手を差し伸べてあげたり、見ず知らずのわたしにチケットを買ってくれたり。
みんな、ものすっごく優しかった。
そんな優しさが、不安にグルグル巻きにされたわたしの心をほどいた。
そんな優しさで溢れるインドの人たちの温かさを噛み締めながら、窓の外に広がる異国の地をぼーっと眺めていた。
あ、、、飛行機間に合うかなぁ・・・。
たすく。
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