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みんなで作るプレミアリーグ通信簿 〜チェルシー編〜

はじめに

Dan.(小津 那)さんの提案によりご依頼を受けてチェルシーを担当します「チェルシーRYOTA」と「Ryosuke@chelsea」です。

内容は、『プレミアリーグ通信簿』

ということで、2019-20シーズンのチェルシーの各選手を総括していきます。
新型コロナウイルスの影響で一時中断期間があった難しいシーズンでしたが、リーグ中断の前後での変化や豆知識のようなプチ情報も入れたので、楽しんでいただけたら幸いです。

またこれは私の完全なる独断と偏見に基づいて評価しているため、予めご了承下さい。

評価の仕方
S, A, B, C, D

(完全に大学の成績評価ですね。春学期の成績が気になる人も多いのではないでしょうか…さぁ見事に単位を勝ち取って来季もクラブに残れる選手は誰なのでしょうか?)

冗談はこれくらいにして
さらに、良くも悪くも特に印象に残った選手には、

MVP
GREAT GOOD BAD WORST

を付けています。

対象選手ですが、

GK(ケパ、カバジェロ)
CB(リュディガー、クリステンセン、ズマ)
SB(マルコスアロンソ、アスピリクエタ、リースジェームズ)
DMF(ジョルジーニョ 、カンテ、コバチッチ、ギルモア)
IH(マウント、バークリー、ロフタスチーク)
WG(ウィリアン、ハドソンオドイ、プリシッチ、ペドロ)
CF(エイブラハム、ジルー)

の21名です。

本来なら各選手あたり何千字あっても足りないのですが、今回は読みやすさを重視して、短く簡潔にまとめるよう努めました。気になる選手だけでも、是非ご覧下さい。それではどうぞ!

GK

ケパ・アリサバラガ

評価:D | WORST |

ケパに対する批判が絶えなかった、辛いシーズンだっただろう。セーブ数・セーブ率がプレミアリーグで最下位、5大リーグでもワーストと記事に出たこともあった。それだけ客観的なデータ上でも現実を突き付けられた一年だった。

2018年夏、アスレティック・ビルバオから、GK史上最高額7100万ポンド(約102億円)でチェルシーに加入した。契約は2025年までの7年間。当時の状況を簡単に振り返ると、アントニオ・コンテ監督が解任し、圧倒的なパフォーマンスを見せていたティボー・クルトワもレアル・マドリードへ移籍した。新たに招聘されたサッリ監督のパスサッカーに見合う足元の技術に長けたGKを欲していたため、当時のケパは最適解だった。

サッリ政権ではケパは大活躍だった。CBのコースを切られていた際は、1個飛ばしてSBに浮かせてパスするなど、短距離だけでなく中距離長距離パスの精度がピカイチだった。

しかし、ランパード監督のもと今シーズンは、ひたすらに苦しんだ。得意で自慢のパス精度が落ち、有り得ないパスミスからピンチを招くシーンが多々見られた。ロングシュートを打たれるとほとんど入ってしまう。ビッグセーブで試合の流れを引き寄せるような期待感がない。セットプレーでの失点が増えたのも、彼の空中戦の弱さが原因の一つであろう。また、ボールを見送るシーンが増えた。がむしゃらに飛ばなくなり、ボールの行方をただ見ているだけ。これはファンからしたら良い印象ではないだろう。

パフォーマンス低下の原因は、彼女と別れたことではないかという噂がある。もちろん真相は分からないが、可能性は十分にある。GKというのはメンタルが大事であり、一度落ちてしまった自信は再度取り戻すには時間がかかる。しかしいつまで待てば良いのだろうか。少なくとも今シーズン1年間で改善は見られなかった。監督やフロントが見切りをつけ、新たなGK獲得の噂が出るのも無理はない。

もともと足元の技術が売りでその点を買われ加入したケパに、セービング力を求め出した我々にも責任があるかもしれない。しかしチェルシーのGKとはそういうものだ。ヨーロッパを勝ち抜いていくビッグクラブとは、最後列のGKから絶大な信頼と安心を放つものだ。移籍金や給料面で買取手を探すのは苦労しそうだが、フロントには期待したい。(RYOTA)

ウィリー・カバジェロ 

評価:B

ケパがパフォーマンスを落とし、2ndGKとしての役割を上手く果たしてくれた。急に出番が回ってきて、しかもそれがビッグゲームであることが多かった。例えば、2月のレスター・シティ、マンチェスター・ユナイテッド、バイエルン・ミュンヘン、トッテナムの怒涛の4連戦や、直近のFA杯決勝、最終節ウルブズ戦などがあった。時折危なっかしいミスをしていたが、直接失点には繋がっていなかったため、あまり悪い印象ではない。

今年で39歳になるベテランGKは、娘と仲良くTikTokでダンス動画を撮っていることが話題になっている。全くリズムに乗れていない娘思いな優しいお父さんを見たい方は、ぜひ調べてみてほしい。(RYOTA)

DF

アントニオ・リュディガー 

評価:B

CB陣は皆C評価である。唯一の例外としてリュディガーだけは、エージェント活動でチェルシーに貢献してくれたため、B評価とした。

彼が勧誘してくれたおかげで、ヴェルナーが決まり、ハフェルツも獲得間近である。このドイツ代表CBの陽気な性格と、困ったら母国語で頼れる先輩が同じチームにいることは、ヴェルナーやハフェルツにとってメンタル面でかなり大きいのだろう。エージェント・リュディガーに感謝したい。

さてプレーに話を戻すと、決して安定していたとは言えなかったはずだ。もちろん良い面も見受けられた。近年絶対的リーダーがいない問題に晒されているチェルシーで、唯一叱咤激励を90分やってくれる存在である。
しかし、ポジショニングのミス、簡単なクリアミスからの失点に繋がるシーンがかなり多かった。

ただ、あくまでも予想だが、やはりピッチ外での貢献を考えると、今夏に放出されるとは思えない。以前はダビドルイスがこの役割だったが、今はリュディガーになっている。新加入選手と現状メンバーの間を上手く受け持つ潤滑油となり得るため、簡単に手放すことはないだろう。

今季パフォーマンスを落としていたが、ドイツの同僚が入ってくることで相乗効果が見られることを期待したい。(RYOTA)

アンドレアス・クリステンセン

評価:C

カバーの意識は成長が見られたが、ポジショニングのミスや当たりの強度の面ではかなり改善が必要だろう。また、ビルドアップでのチャレンジが激減した。ローン先のボルシアMGでは、縦パスや楔のパスをガンガン入れて攻撃のリズムを作っていた。本来グラウンダーで鋭いパスが魅力なのだが、それが見られなくなった。2年前の2018-19シーズン、CLバルセロナ戦でのビルドアップのミス以来、完全に自信を失っていた。もちろんパスの受け手が良いパスコースにいないという問題もあるが、それにしても明らかに減っていた。

しかし、最近では少しずつ増えてきた印象がある。縦パスの意識は徐々に取り戻しつつあるが、まだ質が伴っておらず、ミスが目立ってしまう。この点を改善できるかどうかが来季の運命を分けるだろう。(RYOTA)

クルト・ズマ

評価:C

3人のCB陣の中では1番評価は高い。好不調の波が激しかったが、成長も見られたシーズンだった。特に、足元の技術やパス精度は上手くなった方である。どこで身に付けたのか分からないような一個飛ばしのパスができるようになっていた。

さらに、ヘディングやフィジカルの強さに加え、身体能力の高さを武器に、随所でスーパープレーを披露していた。今季は得点がなかったものの、セットプレーでのズマのヘディングシュートは可能性を感じる。ハキム・ツィエクが加入することもあり、セットプレーは楽しみである。

もちろんクロス対応やポジショニングの悪さが気になるシーンもある。しかし、総合的に評価して、来季のランパードのファーストチョイスはズマであろう。若いイメージがあるかもしれないが、今年でもう26歳になる。そろそろ化けて欲しいものだ。(RYOTA)

マルコス・アロンソ

評価:B

左サイドバックはチームの中でも競争率の高いポジションである。エメルソン・アスピリクエタを凌ぎ最終的に指揮官の信頼を勝ち取ったと感じている。
走力の問題で守備面での評価は年々低下してきているが、攻撃面では絶大な活躍を見せている。
特にウィングバックシステムを採用する試合では一段と輝きを増す。
前線で彼のもとにボールが渡ると、思わず「シューート!!」と声をかけたくなるものだ。
直接FKでも精度の高いボールを蹴ることができるのも、大きな魅了である。

27節ホームでのトッテナム戦で決めた豪華なゴールは月間最優秀ゴールにノミネートされた。
「マウント⇨バークリー⇨アロンソーーーー!!!!」の実況音声は多くのサポータの記憶に残っていることだろう。
更に2月は月間最優秀選手にもノミネートされ、個人単位での活躍も大きく評価された。

サポーターの中でも評価が分かれやすい選手ではあるが、個人的には少し守備面で問題があったとしても、ボランチやCBと連携しチームで守ることができれば攻撃面で大きいな物をもたらしてくれるアロンソの存在は大きいと思う。

攻撃面での評価は絶大だか、守備面での脆さはどうしても払拭できないため今シーズンはB+とする。

レスターのチルウェル、アヤックスのタグリアフィコなど新戦力の噂も出てきているが、来季のアロンソの活躍に期待したい。(Ryosuke)

セサル・アスピリクエタ

評価:S | GREAT |

圧倒的な存在感で頼れるキャプテン。文句無しの評価だろう。

アスピリクエタとの一対一では、勝てる相手がいるだろうか。ただ寄せるだけではなく、足を出してボールを刈り取る能力がある。前での潰しもできるし、シュートコースやパスコースの読みも完璧である。かつてモウリーニョは「アスピリクエタがポジショニングのミスをしているところを見たことがない」と発言していたが、まさにその通りである。

ただ最大の課題は攻撃参加であった。シーズン前半戦ではクロスの質が低く、やや限界と見られていたが、後半戦ではアシストも増えてきた。攻撃参加のタイミングとポジショニングが完璧で、一列前のウィリアンとのコンビネーションが抜群である。長年一緒にやってきた仲であるため、その感覚が身に付いているのだろう。リースジェームズが右サイドバックに入ることが多くなった今、よりアスピリクエタのポジショニングの正確性が際立ったシーズンだった。

最後に、FA杯決勝のことを述べたい。前半の初めから何度も裏に蹴られスプリントを繰り返していた。しかも相手は爆速のメイトランドナイルズとオーバメヤンである。ここを改善する時間がないまま、疑惑のPK判定が出た。さらにその数分後、今までのキャリアで怪我という怪我をしてこなかった鉄人が、怪我をした。相手に削られたのではなく、何もない所で自分から倒れたのだ。

見ただろうか、あの悔し涙を。この文章を書いてるだけでも涙が出てくる。かつてのチームメイトであったランパードが初めてプレミアリーグの監督を務め、初タイトルがかかった大一番のダービーマッチ。その大舞台でキャプテンである自分がPKを与えてしまった。さらに、自ら怪我を負ってしまいチームに迷惑をかけた。自責の念にかられたキャプテンの涙は一生忘れない。良い意味で彼を信じ切って使い続けてしまった仇が出た。怪我の具合がまだ公表されていないが、早く治ってくれることを祈るばかりだ。(RYOTA)

リース・ジェームズ

評価:C

右サイドバックのバックアッパーとしては不動の地位を築いた。
アスピリクエタが左サイドバックを努める際は、右サイドバックのレギュラーとして出場する。

守備面での大きなミスも少なく、線も太く空中線も強いので及第点は与えていいだろう。
ただ時折空回りする時もあるのは事実だ。
ポジショニングが悪く裏を取られたり、守備の際に寄せきれず手が出てしまったりすることもあるので改善点はいくつかある。

今年のジェームズのハイライトはCLGS第5節での同点ゴールだ。
負けられない試合で劣勢の中、正確に右足を振り抜き同点ゴールを決めた。この試合後の喜び方からクラブ愛を感じたサポータは少なく無いだろう。
リーグ戦でも鋭いクロスから何度もチャンスを演出していた。
それだけではなく、サイドから中には運び縦に早いパスを入れることができるのも相当魅力的である。
右足から放たれる、パス、クロス、シュートはどれも20歳でプレミアリーグ初年度の選手とは思えないほど精度が高い。

若手はレンタルで修行をさせる傾向にあるチェルシーだが、ジェームズには来シーズン以降も右サイドバックとし活躍してもらい、アスピリクエタの後任となってもらいたい。(Ryosuke)

MF

エンゴロ・カンテ 

評価:A

プレー面では非の打ち所がない。豊富な運動量に加え、質の高いスプリントを何度も繰り返す。セカンドボール回収に長けており、一つ二つ先のプレーの読みや予測が鋭いため、連続して攻撃ができる。プレミアというフィジカルが異常なほど強い選手がゴロゴロいる中、小さな体でも勝っていける体幹の強さがある。対人でもボールを突いて刈り取ることができ、中盤には欠かせない存在である。

しかし、S評価にしなかった理由が他にある。それは、怪我だ。シーズン中何度も怪我をして離脱してしまった。チームとしても、怪我がちの選手を抱えていては、構想を練りにくい。移籍の噂が出始めているのも、高値で売れるときに売っておこうという発想になるため、無理はない。

コロナ明けは、アンカーを務めることが多かった。守備の要として活躍していただけでなく、ビルドアップにも最低限の貢献を見せた。まだパスミスが見受けられるため、そこは改善すべき点である。ランパードはカンテをアンカーに置きたがっているようだ。デクラン・ライスの噂も上がり、2ボランチを想定しているのか、今後の移籍市場には注目したい。(RYOTA)

ジョルジーニョ

評価:D | BAD |

サッリ体制の2018年にチェルシーに加入したプレイメイカー。ナポリ時代の評価は非常に高く、セスクの後釜として
攻守に渡り決定的な仕事を期待し、彼の加入をサポーターは多くく喜んだ。

ただ期待値が高かったことも相まって、彼への落胆は計り知れない。
プレミアリーグへの適応に苦労する選手は少なく無いが現時点では全くフィットしていない。
加入直後こそは活躍し、一定の評価は得ていたが、マークが激しくなってからは、時折決定的なラストパスを供給しているものの、頻度があまりに少なすぎる。
ゴールもPKのうまさは印象的ではあるが、流れから彼が得点する姿が記憶に残っているサポーターは多く無いだろう。(少なくとも私は昨シーズンの印象的なミドル以外は記憶にない)

攻撃面で苦労しているように写るので守備面に注目してみよう。
相手のパスコースを消しつつ、ボールを絡めとるように巧みに守備をこなす印象であったが、攻守の切り替えが非常に早いプレミアリーグでは実現できていない。
それどころか、間に合わず手が出てしまいイエローカードをもらうシーンが非常に多い。
チームでも最多のイエローカど提示枚数である。

メンタル面でも評価は決して高くない。取りこぼしが許されない試合でリードされている場面でも笑顔を見せている姿からは
いわゆる「必死感」は伝わってこない。
副キャプテンとしての自覚や振る舞いを身につけ、周りが落ち込んでいる時に叱咤激励を飛ばすような姿を期待している。

攻撃ではイマイチ流れに乗り切りない、守備では手が出てイエローカードを貰う、周りを引っ張るメンタルが不足している。
この様な全くフィットしていない印象を与えてしまっているが、ファンから絶対的な信頼を勝ち取る日は来るのだろうか。

今年のランパードは若手も積極的に使いメンバー変更には非常に積極的だ。指揮官が起用する意欲がなくなる前に
もう1,2段階レベルの高い姿を見せられるように頑張って欲しい。(Ryosuke)

ビリー・ギルモア

評価:A

素晴らしいインパクトを残したデビューシーズンだった。特にマージーサイド2連戦の活躍ぶりは素晴らしかった。

セスク・ファブレガスに憧れ、ジョルジーニョから多くを学びながら成長し続けている18歳は、攻撃の起点となる鋭いパスが持ち味だ。ジョルジーニョは試合のリズムを作り、後ろから攻撃を組み立てていくタイプ。ギルモアは、もちろんビルドアップには参加するのだが、ジョルジーニョほどは下がらずに、ギャップで受けて前向いてパスを繋ぐタイプである。18歳にしては立派な筋肉があるのだろう、キック力が強くパススピードが遅いと感じたことはない。正確に早いスピードで蹴れるため、才能はピカイチだ。

ただ、ここからの課題となってくるのは、守備面。アンカーがつられて出たスペースというのは失点に繋がるケースが多い。実際クリスタルパレス戦、ザハのミドルシュートの場面では、ギルモアが右サイドに出て潰し切れずに中央が空いてしまった。もちろん18歳にカンテほどの潰しを求める気はないが、今後の伸び代として見て良いだろう。

いずれにせよ、チェルシーの10代の中で1番期待を寄せている選手である。4ヶ月の怪我を負ってしまったことは非常に残念だが、再発しないようにゆっくり時間をかけて治してもらいたい。さらに強くなったギルモアが見れる日を楽しみにしている。(RYOTA)

マテオ・コバチッチ

評価:A

彼がいるのといないのとでは、大きく異なる。それだけ唯一無二の存在感を発揮した1年だった。なんと言ってもドリブルでスルスルとライン突破できるのが魅力である。後ろからのビルドアップで、1人2人と剥がせるドリブルができる選手がいると助かるのだ。相手はドリブルしている選手に引きつられるため、他にスパースが空く。そこを上手く使うことができれば、効果的な攻めが繰り出せる。チェルシーの中盤で、このようなドリブルで変化を生み出せる選手はコバチッチ以外いないため、非常に重要な役割を担っている。

守備面での貢献も悪くはない。時折ポジショニングが怪しい場面もあるが、的確なスライディングタックルでカバーしている印象を受ける。体幹が強く、プレミアリーグでもやっていけるフィジカルを備えているため、中盤で体を入れ刈り取るシーンもあった。

あとは、得点に絡めるようになってくると、一流の選手に上り詰める。これは昨シーズンから言われてきたことだ。しかし今季点を取ったのだ。見事なボレーシュートで得点を決めると、病気の子と約束したゴールパフォーマンスを披露した。2得点目では控えめにパフォーマンスする姿が可愛かった。(RYOTA)

メイソン・マウント

評価:A | GOOD |

開幕前は昨シーズンからランパード監督の元、一定の活躍を見せていたマウントがチェルシーでどれだけやれるのかは期待半分不安半分であった。

前半戦、期待以上の活躍をみせる。
第2節のレスター戦、ンディディのボールをボックス付近で奪うとそのままシュート、スタンフォードブリッジで早くもチェルシー初ゴールを記録する。
その後の3節アウェイノリッジ戦でもゴールを決める。二試合連続のゴール、試合中の動きの良さには驚いたファンも多いだろう。

しかし私はゴールやシュート後にバランスを崩し、転けてしまう癖がどうも気になっていた。体幹が不足しているのか、無理な体制でシュートまで持っていっているのか、どちらにせよシュート後の体のバランスが著しく悪いのだ。
「怪我に繋がったりしないのか」「マークされ少し寄せが強くなった時に強いシュートが打てなくなるのでは無いか」といった不安を感じながらマウントの活躍を楽しみにしていた。

この不安は的中してしまう。シーズン中盤辺りから、前を向いた際のディフェンスやボランチの寄せが強くなってきたことでシュートまで持っていくことができなくなり、ゴールを奪えなくなってきたのだ。
パスコースを探すことで精一杯な状態が数試合続き、攻撃のリズムがマウントでストップしてしまう。少しするとスタメンから名前が外れてしまった。

途中出場なども少しづつ増えてきたことから、「今年は控えに落ち着くのか」「若いしスタメンはまだ早い」など感じたサポーターも少なくなかった。
そんな中確実に手応えを感じるプレーを見せる。シーズンも折り返し、迎えた第29節のエバートン戦だ。
前半早い段階でボックス内でクロスをダイレクトで合わせてボレーシュート放つ。惜しくもピックフォードにセーブされるも、力強さを感じるプレーであった。このシュートで今日は何か違うと感じた。すると前半14分マウントが力強いシュートでネットを揺らした。
反転からのボレーシュートであったにも関わらず非常に力強いシュートな上、シュート後にふらつくこともなかった。

スタメンを外れる機会も出てきた中腐らずに練習した成果が現れた瞬間であった。
再開後はCL出場権獲得に貢献する大活躍であった。

FKでも直接ゴールを決めるなど様々な才能を開花させたマウント、来季チームへのビックネームの加入が決まっているが定位置を確保し、未来のチェルシーを引っ張っていく心臓へと成長して欲しい。(Ryosuke)

ロス・バークリー

評価:B

前半戦はかなり低調なパフォーマンスだった。特にCLバレンシア戦、1点ビハインドで迎えた試合終盤に、チェルシーはPKを獲得。通常はジョルジーニョやウィリアンがPKキッカーを務めるが、バークリーが自ら進んでボールを持ち離さなかった。そして結果は、クロスバーを叩きPK失敗。このことは多方面からかなり批判されていた。もしグループステージ突破していなかったら、バークリーのミスが盛り返され戦犯扱いされるところだった。

しかし、徐々に調子を上げていき、3月に入ると高パフォーマンスを維持した。リバプール戦の1人カウンターは、ドリブルでスピードに乗って長距離を持ち運び、ミドルシュートも打てることを証明し、可能性を感じた。また、FA杯準々決勝レスター戦では、ウィリアンのクロスに合わせた。このプレーをランパードは絶賛した。攻撃的MFで最も重要かつ難しいことは、ボックス内に入り仕事をすることだ。マウントやロフタスチークが出来ていないことをバークリーはやってみせ、重要な試合で結果を残した。

チェルシーの8番を任されていることからも、クラブ側の期待感が見受けられる。守備面も改善されつつあるバークリーは、来季ハフェルツが加入濃厚のため、ポジション争いはさらに激化するだろう。カップ戦用員でバークリーを保持しておくのは、もったいなすぎる。彼の成長を見込んで1年ローンの可能性は全然あるが、悩ましいところだ。今後の移籍市場に注目したい。(RYOTA)

ルベン・ロフタス=チーク

評価:D

怪我からの復帰がかなり伸びてしまい、思うようにプレーできなかったシーズンだ。少ないプレー時間で評価するのも難しいが、今後チェルシーに残っていくのは厳しいだろう。

もちろんボールを持った時の天性のものは見える。体の使い方、ボールタッチの滑らかさ、懐の深さは間違いなくトップレベルの才能を感じる。記憶に新しいクリスタルパレス戦のアシストは、まさかループでパスするとは思っていなかった、度肝を抜かれたシーンだった。

しかし、やはり目立つのは、オフザボールの動きの無さ。これは4、5年前から何一つ変わっていない。このように成長が見られない点はどうしてもマイナスな印象を受けてしまう。ただ、間違いなく才能がありロマン溢れる選手であることに変わりはない。8歳からアカデミーに所属している点も嫌いになれないポイントである。攻撃的MFが飽和しているチェルシーにおいて、24歳の彼の覚醒をいつまで待つのか、少なくとも来シーズンはローン移籍になる可能性が高いだろう。(RYOTA)

FW

ウィリアン

評価:A

2013年8月に加入し、今シーズンで契約満了を迎えるウィリアン。
今年の印象的なプレーは18節アウエーのトッテナム戦。左サイドからカットインし、ファーサイドに突き刺したあのゴールは鮮烈であった。
数少ない監督の戦友でもあるこのブラジル人のアタッカーは、アザールの穴を埋め、若手主体であるチームにおけるお手本としてとしてチームを引っ張っていく姿をサポーターは大いに期待したことだろう。
しかしシーズンが進めにつれ、大切な場面で存在感を見せつけることはできていたものの、時折集中力を欠いたプレーを見せる場面もあり、若手のお手本としては少し期待値には届かなかった印象だ。

シーズンが進むにつれピッチ内での話題よりもピッチ外の話題で注目される機会が増えてきた。契約延長のオファーを断ったとの報道が出始めたのだ。
「基本的にチェルシーは30歳を超えた選手には複数年契約しない」といった契約方針がある。(この方針がいいか悪いかは置いておいて。。)
ここでクラブはウィリアンが3年契約を求めていることを考慮し、2年契約を提示したがウィリアンはあくまでも3年を求める姿勢を貫いているのだ。
家族含めロンドンでの生活を気に入っているようで場合によってはロンドンのライバルクラブへの移籍も取り沙汰されれいる。

絶対的な評価を得るまでの活躍を見せたとは言えない中、誠意とも受け取れる2年契約を断ったのが事実となればサポーターは穏やかでは無い。
ロンドンのライバルチームに移籍したとなればこれまでの功績が無かったことになりかねない。
来シーズンはどの色のユニフォームでプレーするのかオフシーズンもウィリアンからは目を離せない。(Ryosuke)

クリスティアン・プリシッチ

評価:A

プレシーズンから期待感が高まっていたが、怪我もあり思うように試合に出れなかった。しかし、コロナ明けからは本領発揮。今やチェルシーの攻撃の要として大活躍。アザールとよく比べられるが、本人はあまりよく思っていない。「アザールはもちろん素晴らしい選手だけど、自分は自分として評価してもらいたい」とコメントしている。

しかし、ファンとしてはやはりアザールと比べてしまうところがある。左サイドで受けて中に切り込んでいく姿は、何年も見てきたアザールの姿と被せてしまう。レアルの7番を背負う彼は、インタビューで「プリシッチは自分の年よりも優れている」と答えていた。同じ21歳時点でのパフォーマンスは彼の方が優れていると言う意味だろう。

6週間の怪我を負ってしまったことは非常に残念だ。FA杯では削られて怪我をしたわけではなかったが、怪我耐性のない選手は、プレミアで長くは活躍できない。そう言った意味ではアザールは大きな怪我はなかった。被ファール数はリーグでトップなのに、大きな怪我をしなかったということは、かわすのがうまかったのだ。今後、プリシッチがチェルシーで活躍していくには、この技術が必要になってくるかもしれない。

ウィリアンが退団濃厚の最中、次の10番は間違いなくプリシッチであろう。大きな期待を寄せすぎてはいけないと分かっていながらも、期待してしまうのがファンというものだ。アザール以上の働きを見せ、チェルシーの攻撃を牽引する彼の姿を早く見たいものだ。

(余談だが、私はプリシッチの悔しがる顔が好きだ。分かってくれる方がいるだろうか?) (RYOTA)

カラム・ハドソン=オドイ

評価:C

怪我に悩まされたシーズンだった。コンスタントに試合に出れず、途中出場ばかり。ポテンシャルはあるが、存分に発揮できずに終わった1年だった。

クロスの精度は良い印象がある。禁句かもしれないが、よくモラタに合わせていた。ボールを持った時の仕掛ける姿勢は素晴らしい。どんどんトップチームでもチャレンジしてほしい。しかしオフザボールの動きはどうだろうか。ランパードもオドイには手厚くオフザボールの動きを指導しているらしい。マークを外す動きや、ボールを受ける位置、守備での立ち位置など。まだ改善が見られるほど試合にも出ていないが、来シーズン出番が増えることは間違いない。だが、コンスタントに毎試合出れる環境へのローン移籍もアリだと考えている。トモリ、マウントやエイブラハムなんかは2部で大活躍し、チェルシーでも花開いた良い例だ。オドイにも1年通して試合に出るという経験を積んでもらいたい。

バイエルンからのラブコールが止まらず、チェルシーは高額の給料を引き換えにオドイをロンドンに留めた。その額なんと週給12万ポンド(約1700万円) 。ジルーやダビド・ルイス、ドリンクウォーターと同じ額である。異常なほど高給取りとなってしまった19歳の影響は周りにも大きく広がっている。今現在週給5万ポンドのタミー・エイブラハムが、オドイよりは「活躍しているだろ!」と文句を言い出し、クラブ側に13万ポンドにまで給料アップを要請している。悪い流れを断ち切れるか、クラブ側の手腕が問われている。(RYOTA)

ペドロ・ロドリゲス

評価:B

まずは、コロナ明けに契約延長してくれたことに感謝したい。そして、最後の最後に起用せざるを得ない状況で、大怪我までさせてしまったこと、本当に謝りたい。

今シーズンは若手の躍動でなかなか出場機会が得られなかった中、出場した試合では、個性や違いを生み出してくれた。果敢に仕掛ける姿勢や裏抜けのタイミングは未だにピカイチ。特に印象的なのは、エバートン戦の裏抜けシーン。完璧な裏抜けから冷静にGKと一対一を決めた。まだまだトップレベルで通用するため、是非ローマでも頑張って欲しいものだ。(RYOTA)

タミー・エイブラハム

評価:A

最近の印象はあまり良くないため、評価に迷ったが、冷静にプレミア15得点は素晴らしい活躍だ。チェルシーの9番というのは、呪いの番号なのだ。歴史的に見て、ずっと結果が出せていないFWが付けていた番号である。しかし、あえて9番を付けて気合十分で臨んだシーズン序盤から、大量得点。一時期は得点王を狙える位置にまでつけていた。

しかし、やはり若さが出たのであろうか。コンディションに波があった。ある時から急にパフォーマンスを落とし始め、ジルーにスタメンの座を譲ることになった。彼は、オフザボールの動きが苦手なのだ。

そして、なによりも給料に関して問題となっている。年下の後輩ハドソンオドイが自分よりも高い給料であることに不満があり、昇給を要求しているのだ。元々は冬の移籍市場で、バイエルンからオファーを受けていたオドイを引き止めるために高給を飲まざるを得なかったクラブ側だが、1人認めてしまうと若手たちが騒ぎ出す。このようにチームの給与バランスが崩れていくのも時間の問題であろう。(RYOTA)

オリヴィエ・ジルー

評価:S | MVP |

まずは、冬に移籍せず残ってくれて本当によかった。インテルへの移籍が目前に迫っていたが、思いとどまってくれたことに感謝したい。後半戦だけで8得点は見事であった。

2020年に入ってからは出場機会に恵まれた。さらに、出た試合では必ず結果を出していた。彼の得点嗅覚は世界トップレベルだ。良くも悪くも、出来ることが限られている。しかし、その分野をやらせたら彼の右に出るものはいない。フィジカル、ヘディング、ポストプレーをさせるような攻撃の仕方をすれば、上手く噛み合うのだ。後半戦では見事に噛み合い、得点に繋がっていた。

ベテランとしての役割も果たしている。アルマンド・ブロジャという19歳FWの選手がいる。ブロジャがインスタライブで「プレーはよくジルーに教わっているよ。彼は本当に親切なんだ」と言っていた。自分が出場できていない時でも、19歳の子に親切に教えてあげている、まさにベテラン選手の鏡だ。

さて、ヴェルナーが加入した。彼の元所属先ライプツィヒでは、ポウルセンという高身長FWがいた。彼のポストプレーやヘディングからヴェルナーの抜け出しという構図が出来上がっていた。その役割をジルーも出来るのではないだろうか。しかし、そこにはプリシッチという絶対的なWGがいる。ヴェルナーを中央で使うのか、左WGで使うのかによって、色々と変わってくる。前線の選択肢が多いチーム状況で、ランパードは良い意味で悩むことになるだろう。(RYOTA)

おわりに

最後まで読んでくださって本当にありがとうございました。なるべくコンパクトにまとめようとしたのですが、結局長くなってしまいました。

この評価を下した自分の意見が全てではないですが、多くのチェルシーサポーターの方は賛同してくれるのではないでしょうか。また、他サポの方は、今季ギリギリCL圏内に入ったチェルシーの参考にしてもらえたら嬉しいです。

そして、このような楽しい企画のオファーをしてくださったDan(小津 那)さんには感謝の気持ちでいっぱいです。ZOOM上でしか話したことがないので、ぜひ一度リアルでもお会いしてお礼を言いたいです。

最後になりましたが、新たなシーズンに向けて、いろいろな妄想や期待感を膨らませつつ、みなさんのプレミアライフがよりよいものになることを祈ってこの記事を締めさせていただきます。ここまで読んでいただきありがとうございました。

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いかがだったでしょうか??

1人でも多くの方に楽しんで頂けていれば、
非常に嬉しいです!

感想やご意見等ありましたら、
是非お気軽にコメント欄やTwitterでのシェア、
お待ちしております!

次回はクリスタル・パレス編!!

お楽しみに🦁

ライター紹介

チェルシーRYOTA(@R_love_chelsea )
チェルシーに人生をかける大学生。きっかけは2007年の現地観戦、シェフチェンコのユニを購入。今では半年に1回のペースでイギリスに渡りコブハムやアウェーの地にも足を運ぶ。ランパードとランニングしたのは二度とない体験であった。
Ryosuke(@chelsea118261 )
中学生の頃から何となく見ていたチェルシー。気づけば人生の一部になっていた。そんなサラリーマンです。毎年こういった選手評価を発信したいなと思っていたのでとてもいい機会になりました。
来シーズンも現地観戦はなかなか難しい状況だと思うので、国内から一緒に応援しましょう!

僕の昼食がちょっとだけ華やかになります