見出し画像

第十二章 「ナッ!!何をするだァーーーーッ!!!!」


海外の女性は、気持ちを明確に態度に示す。

場合によっては
“いやいや、冗談よ” といった場合もあるが


どちらにせよ
何を考えているかは態度で明確にわかる。

ところが、日本の場合は違う。


慎ましいのは結構だが
良くも悪くも表情ひとつ変えやしない。



社交辞令のつもりで、
「彼氏いるんですか」と聞いた日には
眉をひそめて、獣でも見るような顔で見てくる


誰も言わないだろうから、
ちょっと気を遣ってやったらこのザマだ。


めんどくさいからホッといたら
今度は会いたいだ?ふざけやがって。



やりにくいったら、ありゃしない。


やっぱり日本人とは付き合えないな。


逗子駅付近の某カレー屋のカウンターで
アメリカ人の女性に口説かれながら
そんなことを考えていた。



これが僕の3連休の思い出である。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

同棲について、私見を綴りたい。

お互いがいつも新鮮な気持ちでいるためには


もっとも親密な相手であると同時に
お互いがお互いを外から眺め返す視点を
忘れないことが一番大切だと思う。

距離が近すぎるとお互い緊張感がなくなり
双方が安心しきった挙句、相手によりかかり
気づいた頃には二人の関係性は破綻している


結局のところ、良くも悪くもお互い他人だ。

合宿所にいる同居人くらいの距離感が
絶妙に丁度いいのである。


僕に彼女はできるのだろうか。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ヤツの名前は、海の音色と書くらしい。 

最近友達が教えてくれた。
たしかにそんな名前だった気もしなくもない。




彼女いわく
海の音のように穏やかに。という意味らしいが

海の音色は、
果たして本当に穏やかなのだろうか。



嵐の日もあれば、大潮で危険な日もある。
たしかに静かな日もあるが
それはもれなく、台風がくる前兆だ。




いくらなんでも、自己分析が甘すぎる。


だいたい、あの化け物のどこが穏や……


言いすぎは良くないぞ。
何事も、ほどほどにしておけと
確か、むかしに誰かが言っていた。


半殺しをそれっぽく正当化した人は
多分この人が初めてかもしれない


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


季節はすっかり春になっていた。

この物語は、この年の秋に終わる。

ジェットコースターは
下降したら登ることができる。


だが、この物語は、春から秋にかけて
地獄を水平飛行して終わる。胸糞物語である。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ねえねえ〜家具はこれがいい〜
 カーテンはこれで〜電球はこれ〜
 〇〇くんはどれがいい〜?」

このときは ”まだ” 穏やかだった。




まさに、これが穏やかな海の音色ってやつか。

やっと普通のカップルらしいことができた。
いや、やっぱり悪くないかもしれないな。



まるで嵐の前ような、そんな静けさだった。



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………

ドドドドドドドドドドドドドドド……



西の空に黒い雨雲が見える。


あれは、、、前線か…?


なんだこの異様な雰囲気は……

以前にも経験したことがあるような…
嫌な予感がプンプンしてやがる………



月日は経過し、
僕たちは同棲を始めて1ヶ月が過ぎていた


それは何の変哲もない普通の日常…

の、、はずだった………


ガチャ


「ただいま〜〜〜」

「おー、おかえり〜お疲れ様〜」

「私帰るまで何してたのー?」

「あー、掃除したり携帯いじったりしてたよ」

「…携帯?だれと連絡してたの?」




僕は完全に油断しきっていた。


ヤツがスタンド持ちだということを、、

忘れていたのだッ…!!!!!  



「ちょっと、携帯みせなさいよ」

「いや、別にいいけど何もないよ?」 

「いやってなに!?見せたくないの?浮気?」

「そのいやじゃなくて、何もないよって意味の!」

「は!?意味わかんない!!!見せて!!」

そう叫ぶと、癇癪もちの彼女は
僕のポケットから携帯を取り出した


「ねえ!!!!!これだれ!!!!!!
 もう!!ありえないんだけど!最低!!!」


「????????」

怒られる覚えは1ミリもない。

強いて言えば、
ももクロのあーりんの写真を
フォルダに大量に入れていたくらいだろうか


まあ、それなら消せばいいだけだろう。
大した問題ではない。


話せば分かる。
総理大臣ではないが、僕には自信があった。


だが、現実はそんなに甘くなかった。


見るとそこには
会社で仲良くしてもらっている
歳の近い女の先輩とのラインがあった。



チェックメイトと書いて、詰みと読む。
もはや、そこにフリガナは必要ない。



疑わしきは罰するという言葉をご存知だろうか

僕は状況を一瞬で理解した。
これは言い訳しても無駄だ。


携帯を勝手にとられたり
謎に疑われてるのは全く納得できないが、


今はとりあえず誤解をさせたことを謝ろう。
話せば、分かる。きっと大丈夫だ。


「この人とは何もないし、
 ただ会社の愚痴を言いあってただけだよ。
 特に意味のない会話しかしてないよ。
 誤解させたならごめんね」

「え!?誤った!?うそ、、
 謝るってことは認めたってことだよね!?
 浮気…!!??最低ッ!!!!!!
 ギャアアダァぁダァぁぁあぁァァーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」




僕は過去に起きていた悲劇を鮮明に思い出した


同棲なんてするもんじゃない。
このとき、心から後悔したのを覚えている。


「わ、私のこと!!
 なんだと思ってるの!!!!!!!」


バタンッ!!



なにやらキッチンで何かしているぞ…


まて!! キッチンだと……!!!????

まずい!!!キッチンには包丁が!!!!


包丁だけはまずい!!!!!!!


ダメだ!!!!!!絶対にやめろ!!!!!!




ガチャッッ


「!!!!?????!!!!!???」

「ナッ!何をするだァァァァアアア!!!!」

スティーブ・ジョブズもびっくり
〜 iphoneの煮付け 〜



こうして生まれたのが、
かの有名な、この写真という訳である。



続けたくはないが
非情にも物語は続いていく…


to be continued...








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?