赤ちゃんはいらない

自分が私の腹から生まれてきた、という事実を知った息子。出生時の、大きな産声をあげている動画をみるのが、最近のブームみたいだ。

特に、寝かしつけの前、その動画をみると落ち着くらしい。私も息子が生まれたときの幸せな気持ちが蘇ってくる。「ママは〇〇くんが大好きだよ」というと、「〇〇くんはママが大好きだよ」などと返してくれる。

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今日、息子が寝かしつけのときに「ママのおなか、あたらしい赤ちゃんが来たらどうする？」と聞いてきた。2歳半にそんなことを言われると思わなかったので、面食らった。

ワンオペだし、経済的な心配もあるしで、2人目をどうしようか悩んでいる。夫は「自然にまかせよう」というタイプで、私は己の肉体的リミットや体調を鑑みて、うんうんと唸り続けている感じだ。

でも、もしよかったら、もうひとり、お腹に来てくれないかな〜などと思っている(以前は、2人目がほしくて仕方なかったのだが、現在そこまで切羽詰まった状態ではなくなった)。

息子に「あたらしい赤ちゃん」のことを訊かれ、私は正直に「赤ちゃんがいたらまた楽しいことが増えるんじゃないかな」と答えた。

すると息子は「あたらしい赤ちゃんいらない。パパとママと〇〇くんだけでいい。みんなで暮らすの」と言ってきた。

「そうだね、今がとっても楽しいもんね。ママもパパも〇〇くんがいるからとっても幸せだよ。頑張って生まれてきてくれてありがとう。」と頭をなでると、嬉しそうに「うん！どーいたしまして！」と笑ってくれた息子。

赤ちゃんいらない、〇〇くんだけでいい。と言った息子に対して、私の答えは正解だったんだろうか。彼を無駄に傷つけていなければいいのだが……。

まだ「あたらしい赤ちゃん」がくるかなんてわからないけど、もしもそんな日が来たら、息子は嫌がるのかなぁ。

ひとまず、夫に報告したいと思う。

(Day.28)

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ほぼ毎日エッセイ『わたしに翼』｜糸崎 舞｜文化と暮らしのライター｜note