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改憲はなぜ必要なのか?

「アメリカの押し付け憲法ではなく、自主憲法制定を!」
「憲法改正反対!」

テレビやネット上では、憲法に関する話題を耳にするようになりました。
本屋さんでも、憲法改正の特設コーナーをよく見かけます。

みなさんはきっと、

「憲法改正なんて自分には関係ない」
「憲法が改正されても世の中は何も変わらない

と思っているでしょう。

むしろ、憲法改正について何か意見をいえば

「何もわかってない!」
「左翼だ!」
「ネトウヨだ!」

と、「熱心な人」たちから集中砲火を浴びることもあります。

だからこそ、
憲法が大好きな護憲派と、
憲法が大嫌いな改憲派のような
「熱心な人」たちが勝手に議論をしていればいい。

そう考えてしまうのが普通でしょう。

しかし、憲法が改正されても、本当に世の中は変わらないのでしょうか?
そもそも、憲法とは何なのでしょうか?
これまで日本国憲法はどのように機能してきたのでしょうか?

もし、憲法が改正されて世の中が変わるのであれば、憲法改正を「熱心な人」たちに任せておくべきではありません。
それを判断するためには、私たちは「憲法とは何か」を知っておかなければなりません。

意外かもしれませんが、弁護士の多くも、憲法に詳しくありません。
もちろん、司法試験のために憲法は勉強していますから、弁護士であれば憲法の基本的な部分は当然理解しています。

しかし、司法試験に合格すれば、「熱心な人」でない限り、憲法に触れる機会がなくなります。

実務で憲法上の主張をするのは、普通の法律解釈では勝てない場合です。
「相手が憲法の主張をしたら勝てる!」とすら言われています。
また、「熱心な弁護士」の憲法論は、それが「法学」としての憲法論なのか、個人的な政治的信条に基づく憲法論なのかを区別する必要があります。

私は、弁護士や裁判官、検察官の卵である司法試験の受験生たちに「法学」としての憲法を教えています。
そのきっかけは、受験生時代に「憲法の勉強方法を教えてください」と質問しても、司法試験合格者や弁護士から「憲法の詳しいところはよくわからない」と言われ、困ってしまったことにあります。
そのため、憲法学のゼミに入り、本格的に憲法の勉強を始めました。

司法試験で問われる憲法は、政治的に中立な「法学」としての憲法論です。
私は、「法学」としての憲法を学び、公法系(憲法・行政法)全国16位で司法試験に合格することができました。
この頃から、司法試験受験生向けに憲法学を教える動画配信を始め、法科大学院(ロースクール)でも憲法を教えています。

とはいえ、弁護士7年目の若手弁護士にすぎない私が、一般向けの憲法の話を書くことに、躊躇がなかったわけではありません。
しかし、憲法や憲法改正に関する本は星の数ほどあるものの、そこには、いくつかの課題が見えてきました。

たとえば、憲法や憲法改正のコーナーで目立つのは、「熱心な人」向けの特定の政治的思想に基づく本であり、「普通の人」はなかなか読もうとは思えません。
また、ジャーナリストなどがわかりやすく説明している本も、よく読むと特定の政治的思想が見え隠れする部分や、専門家の目からするとやや不正確と思われる部分もありました。
研究者による本は、内容は正確なのですが、専門的でわかりにくいものが多いように見受けられました。

こうした状況で、「普通の人」向けに、憲法論を、政治的に中立に、正確に、わかりやすく説明することは、若手弁護士である私だからこそできるのことなのではないかと考え、noteを書くことにいたしました。

もっとも、なるべく正確に書くように気を付けていますが、わかりやすくするために、あえて説明を省略している部分もあるかもしれません。
専門家の方からすると、やや不正確に思われるところもあるかもしれませんが、一般向けという性質から、ある程度はやむを得ないところですので、あらかじめご容赦ください。

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