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劇場の咳とくしゃみについて(ごく個人的独善的考察)

先日出かけたクラシックのコンサートでの出来事。
曲がだんだんと弱くなり楽器の音色の微かな余韻が残り…一拍置いて曲の終盤へ上り詰めるという時、一拍の静寂の時にワタシの右へ3人向こうのおっさんがくしゃみをやらかしてくれた。
クシュンという可愛らしいものではなく、バクショォ~~イと盛大なやつを。
演奏はおっさんのくしゃみなどお構いなしにクライマックスへ向かって行ったのだが…

狙いすましたように静寂の一拍にぶち込んだくしゃみ。やってくれたわね!曲が台無し。
その絶妙さ加減が可笑しくて、笑いをこらえればこらえるほど可笑しさが増幅され苦しかった。笑いをこらえるワタシの腹筋がヒクヒクするのに気付いた同行者にこらえ笑いは伝染し演奏を楽しむどころではなく曲は終わった。

休憩になり、どんな奴がやらかしたのか?キッチリとガンを飛ばしてみたものの、申し訳なかったの風情は無く、ごく普通におっさんはくつろいでおられた。そんなもんかね。

以前からワタシはお芝居やコンサート中の咳やくしゃみには厳しい。
せっかく気持ちを入れているのに思いがけない雑音は迷惑だ。

咳をしてはならぬと思われる方もいらっしゃるようで、曲がフォルテッシモで大きくなった時ならいいだろうとそれを狙ってあちこちでコホコホゲホゲホが聞こえる時もあり、これも興ざめで嫌だ。

咳やくしゃみは生理現象だ、仕方ない厳し過ぎだ。そもそもお前はやらかさないのか?の問いが聞こえてきそうだが、答えは「いたしません」だ。
ステージではプロフェッショナルがそれこそ心血を注いで演奏、演技をなさっているのだ。客席側にもそれに見合う礼儀と覚悟が必要だと思っている。仮に咳が出そうな健康状態ならワタシは行くこと自体を断念する。

と、激しいことを書いたが。
ある時、ヴァイオリニストのN先生とお話をする機会があり、この「劇場でのくしゃみ咳問題」を演奏家の立場としてどう感じているか?尋ねてみたことがあった。
N先生は「お客さんのくしゃみや咳?ぜんぜん気にならないよ。だって集中して演奏しているからね。」と快活におっしゃった。

そうかぁ演奏に集中されていたら雑音なんか耳に入らないのね。
小姑のように周囲のしくじりをあげつらうヒマがあるのなら、ワタシには心を込めて集中することが必要なようだ。

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