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ラファエル・サバチニの"The Strolling Saint 彷徨の聖者"
続スカラムーシュ以外も、「翻訳予定には入れてないけれど紹介しておきたい作品」に関する記事を #未訳 タグでアップしていくことにしました。 “The Strolling Saint” b…
『The Life of Cesare Borgia チェーザレ・ボルジアの生涯』ラファエル・サバチニ著(1912年初版刊行)序文
序文 これは聖人たちの年代記ではない。悪魔の歴史書でもない。欲望にまみれた、絢爛たる時代。血によって赤く、白熱する激情によって青白く染められた時代。鋼鉄と色鮮やかな天鵞絨、まばゆい光と一寸先も見通せぬ影の時代。迅速な行動、無慈悲な暴力と高い努力の時代であり、鋭い対比と鮮やかな対照の時代。これは、そのような非常に人間的で激しい時代を生きた、非常に人間的で激しい人々の記録である。
今世紀という、
覇者の愉悦~『ボルジアの裁き』より
覇者の愉悦ⅰ
チェーザレ・ボルジアの権力と栄光は最盛期にあった。既に彼は裏切り者の傭兵隊長たちの始末を済ませていた。その者たちは反旗を翻し、一時は彼の動きを封じて覇道の歩みを遅らせたのみならず、その覇業を無に帰させしめる危険性すらあった。彼はシニガッリアに仕掛けた罠に鳥もちを塗り、そして――フィレンツェ共和国の書記局長マキャヴェッリの言葉を借りれば――楽しげな口笛を吹いて其処に彼らを誘い込ん
『スカラムーシュ』英国オリジナル版 第Ⅲ部 第ⅳ章 幕間狂言
はじめに今年は英国で "Scaramouche" が刊行されてから丁度100年ということで、日本で翻訳刊行されたバージョンからはカットされている章、オリジナル版では第Ⅲ部第3章「議長ル・シャプリエ」と第4章「ムードンにて」の間にはさまっていた CHAPTER IV. INTERLUDE をざっと訳してみました。
オリジナル英国版についてはこちら↓
第Ⅰ部 第1章の未訳部分についてはこちら↓
サバチニ歴史夜話 タイランニサイド~シャルロット・コルデーとジャン・ポール・マラー
THE TYRANNICIDE ~ Charlotte Corday and Jean Paul Marat
タイランニサイドとは、彼女の行為を表現するに際してアダム・ルクスにより用いられた言葉である。彼は彼女の最も崇高にして最も精神的な意味における恋人であった――なにせ彼は彼女と言葉を交わしたことは一度もなく、彼女は彼の存在を全く知らなかったので。
その霊的なる情熱は、自らの行いの帰結とし
ラファエル・サバチニの"The Strolling Saint 彷徨の聖者"
続スカラムーシュ以外も、「翻訳予定には入れてないけれど紹介しておきたい作品」に関する記事を #未訳 タグでアップしていくことにしました。
“The Strolling Saint” by Rafael Sabatini (First Published 1913)
16世紀イタリア、ゲルフとギベリン(教皇派と皇帝派)のパルマとピアチェンツァをめぐる争いを背景にした青年の成長譚。1913年(大正2
番外編 ジェレミー・ピットの恋
セッジムーアのあの悲惨な夜以来、ピーター・ブラッドと運命を共にしてきたサマセットシャーの若き航海長ジェレミー・ピットの恋愛沙汰は、ブラッドのバッカニア(海賊)としての活動後期、五隻の船からなる船団を率いて様々な国籍が入りまじった千名を超える者達を配下とし、彼の技量と強運に服した部下達が厳しい規律に進んで従っていた最盛期の日々に起こった事件である。
ブラッドはつい先頃、リオ・デ・ラ・アチャでス
ラファエル・サバチニ 戯曲『The Tyrant』脚本序文
序文 小説であれ演劇の脚本であれ、フィクションを執筆する者にはリアリティのある描写というものが要求される。それが掛け値なしの事実そのものである必要はないが、しかし少なくとも尤もらしさは必須であり、そのような説得力が欠けていれば興ざめになってしまうのだ。歴史研究者に関しては、このような制約は課せられていないように見受けられる。「フィクション」として差し出せばあまりにもご都合主義が過ぎるといわれ、
『スカラムーシュ』英国オリジナル版第Ⅰ部第ⅰ章 共和主義者 冒頭
はじめにラファエル・サバチニの代表作『スカラムーシュ』は英国で刊行されたオリジナル版とアメリカで刊行された短縮版の2バージョンが存在したのですが、流通量的には圧倒的に米国版が多く、現在では英国内で新たに刊行される際は米国版を底本としている模様。
海外で翻訳される場合の底本もほとんどが米国版で、日本で現在手に入る大久保康雄 訳と、加島祥造 訳はどちらも米国版が元になっており、恐らくこれまで英国オリ
Turbulent Tales 悪業物語
Queen's Quorum クイーンの定員
ラファエル・サバチニの『Turbulent Tales 悪業物語(1946年初版刊行)』は、 エラリー・クイーンが1845年以降ミステリジャンルで刊行された個人短編集のうち、もっとも重要な106冊をセレクトした『Queen's Quorum クイーンの定員』の中で、 歴史ミステリ短編集の代表的一冊として挙げられています。
クイーンの評によると、
歴史
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海賊ブラッド:His Odyssey(翻訳版)
「スカラムーシュ」のラファエル・サバチニ(Rafael Sabatini, 1875年4月29日 ― 1950年2月13日)による活劇小説の名作 "Captain Blood: His Odyssey (1922年原著初版刊行)"の独自翻訳。
1685年イングランド。アイルランド人医師ピーター・ブラッドは、モ