見出し画像

電子書籍に就て

のうぢる 30 SELECTION


『二分で読めるナンセンス』
近日発売予定のヘンテコショートショート集『のうぢる』より厳選した30篇のナンセンス作品詰め合わせ。次の駅で降りるまでの、頼んだ料理がくるまでの、あとちょっとで家を出るまでの、じっくり本を読むつもりではないけれどなんとなく活字を読みたい時の、そんな微妙な隙間時間にぴったりな、ちょっと笑えるナンセンス。


と、このような書籍をkindleで出版しております私はそれに就て以下のやうに主張いたしました。

男たるもの晴れ舞台にゃBurberryの一張羅ビシッと決めてSEはもちろんセックス・ピストルズ、颯爽と壇上に上がり流暢なフランス語で愛と芸術を語り、インテリ女の股ぐらを湿らせたいものですな。と。

ところが私は信じられないくらい貧乏で毎日カット大根の、水に浸して、伸びる葉っぱの、腐りかけたそれを、生でEATしていますので、Burberryなど逆立ちどころか前方伸身宙返り3回半ひねりを決めたとしても手が届くはずもなく、結句私はセックスピストルズを爆音で聴きながら世にも珍しきガリガリDANCEを敢行、その蠱惑的RIDDIMは階下のイギリス人には好評でしたが大家さんはブチ切れ、我がちん貸を追い出された所以でございます。ちーん。

しかしSU-KANG-PINGの私はここで挫けませんでした。無論、当初はくよくよくねくね哀愁に浸りながらビートルズのI'm so tiredなど聴きながら四畳半のこのROOMを灼く夕陽のなかで人生というものを絵画的に見詰め夜更けまでTAI-IKU-ZUWARIをしたりてしていましたが、流石に感傷に浸るのも疲れてしまいコンビニにおでんを買いに行ったのですが、ちん貸にいる私と、ちん貸にいない私とを比較してみると、どちらもとてもおでんなどという高級品を購入できる蓄えなどなく、即ち、私の生活は何も変わらなかったのでした。誠に発見とはLIFEにおいてimportantなactでありんす。ありんすなどと言えるくらい心がすっと楽になりましたが、その重みは涙として深夜の雑草を濡らしました(植え込みの食べられる草を探していたので)。

で、やはりpositive thinkingは人生を前向きになさりますな、結果私は風呂無しトイレ共同の四畳半から、風呂無しトイレ共同ではありますが80ヘクタール(遊具つき)という超豪邸に転居することができました。HAPPY! しかも水は飲み放題、食い物もそこら中に生えてるってんだから堪らない。いやぁ、家なんか捨てちまえばよかったんですね!あはは!

しかしながら問題が一つございまして、それはこの豪邸ははっきり言って野外ですから寒いの何のシベリアサハリン。でもってこの真冬=true winterに於いて暖房器具がないというのは絶命必至でこざいます。からして私は必死に暖房器具を調達するActionを起こさなければなりませんでした。ところが季節は師走、人々の思考は年末年始に向けてsynchroしておりますゆえ、街のゴミ捨て場には毛布の一枚もありませんでした。くたくたになって帰宅すると空き巣に入られたようで数少ない私の荷物、けろけろけろっぴのバスタオルとたぁ坊のマグカップ、バツマルの文房具ポーチが奪われていました。私は思いました。どおりで家ちんがタダなわけだ。

ただよりこわいものはない。それを身を持って知った私は、やはりMONEYの大切さをThikingする他ありませんでした。このままでは私は一日一枚衣服を剥がされ果ては臓器や骨を奪われ魂としてCITYを彷徨、数万年後ホーリーに摘まれるまで成仏叶わず、生よりも辛い日々を過ごすと、いつの間にか隣にいた不可思議な美女が仰りました。そしてその事態を逃れるためには導く者すなわちハルヲ・フォン様への帰依が絶対条件であり、それは救いといった傲慢な思想ではなく、誠実なる真心の真理であり、その誠実を宿す儀式に三十万の修練が必要であり、もしもこの偉大なる気づきを恐れているのならばそれは肉体の拒絶でありその枷を外す方法を私は知っているからと我が股間をさすってきましたが、フツーにただ貧乏で辛いだけでオカルトには興味がないこと説明するとペッと唾をshout! 私はより貧乏を憎みました。ワンフォーザMONEY、ツーフォーザMONEY、吉牛とか満足に喰いてぇ。私はせめて石鹸で身体が洗えるくらいになる決意をそのようなlyricにハミングしながら私は、備え付けのソファで一夜を過ごしました。

そして、劇的な夢を見ました。

朝、目覚めたら全部忘れていたけれど、そのpassionだけは確かに私の胸の奥底で燃え続けていました。で、私は、実際寒さでちょっとマジでやばいかもしれない体調の身体を引きずり最寄りの図書館へ入館を決めました。会員カードスルーの忍術を使った私はさらに予約用紙を書きあさりちゃんを読みながら30分ほど待機して獲得したるPCに向かい、飲まず食わず歌わず踊らずで計30本の物語を描きました。なぜか。わかりません。それがpassionと云ふものでしょう。人間誰しもが持つ内なるパワー、それこそが宇宙原初の源であり、我々が宇宙へLINKするための唯一の兆しであり、全は一、一は全、森羅万象との合一こそが涅槃の境地であり、この兆し、あるいは気づきを得た時にやっと、あなたの人生は始まるのです、と性懲りも無く昨日の美人がいて、「ならばこれは運命ですね」とちょっと期待しながら返しましたが手の甲にボールペンを刺されました。激痛は不思議と声を押し潰しましたが、痛みは精神を破壊するようで、私は思わず今日自殺することを決めるほどでしたが、その刹那、美女が言い出しました。

「これ、お前が書いたのか」
「はい……そうです……あの……ティッシュとかありますか……」
「おもしれーじゃん」
「あ、……ありがとうこざいます……あの、血が止まらなくて」
「これ売れよ。そうすりゃ『つどい』の参加費ができるだろ。なあ」
「いや……ぼくはそういうのには、あんまり、ちょっと……」
「お前、公園に勝手に住んでんだよな。警察一発じゃねーのか。んでアタシにちんぽこ触らせたよな。お前二度と娑婆出れなくなるぞ」
「それは! あなたが勝手にやったことで、」
「ボロ雑巾のお前と私の言うこと警察がどっち信じんだろうな。なんなら今叫んでもいいんだぜ。」
「私はあなたの犬です」

After a while、私は彼女、名前をナヲミと言いましたが、ナヲミ様の手解きで電子書籍を出版いたしました。まさか路上生活者の私がこんな偉業を成し遂げるとは、まこともってナヲミ様のおかげ、ひいてはハルヲ・フォン国家元首様のお導きのおかげでございます。私も、最初はなかなか理解することが難しかったですが、人間、自然、そして宇宙についてのマクロ的視点に『気づき』、その端緒をつかみかけており、ナヲミ様も月にいっぺん私の『学び』をお褒めいただきます。ところが私の著作はなかなかどうして売れ行きが悪く、一年が経ち、そのことについてついにナヲミ様も苦言を呈されております。これでは私はいつまで経っても『集い』に参加することができず、理秩序はアウターポジションのまま、暁には程遠く、これは同時に皆様への『返し』を与えることすら叶いません。相互幸福理念のもと私の活動は永久に続き、その中で魂の研磨、その副作用による光の浄化を成すためには、『集い』への参加が不可欠でございます。このうえは、皆様、私の本を買ってください。いえ、試し読みだけでもしてください。私の幸福は、皆様の幸福につながります。そして皆様の幸福は私の幸福につながります。もう、公園暮らしは嫌なのです。寒いのです。ひもじいのです。汚いのです。駐輪場の監視員が忘れていったウインドブレーカーを着てひねもす仕事をしているふりをして通報を免れる生活はこりごりです。妙な団体に依存しているフリをして炊き出しにありつくのも惨めで悲しいです。私は無能ですが、ナヲミはやばいですが、私の作品だけは満点のpassionが漲っているはずです。近日中に次回作を発表するくらいに溢れているのです。

どうか、私をお救いください。

のうぢる 30 SELECTION 伊藤円
https://www.amazon.co.jp//dp/B0BNCCT6L8


『二分で読めるナンセンス』
近日発売予定のヘンテコショートショート集『のうぢる』より厳選した30篇のナンセンス作品詰め合わせ。次の駅で降りるまでの、頼んだ料理がくるまでの、あとちょっとで家を出るまでの、じっくり本を読むつもりではないけれどなんとなく活字を読みたい時の、そんな微妙な隙間時間にぴったりな、ちょっと笑えるナンセンス。 

是非一度読んでください! kindle unlimitedなら無料で読めますよ!






よろしくお願いします!