見出し画像

書評『アドラー心理学×幸福学でつかむ! 幸せに生きる方法』 アドラー心理学の全体像がよくわかる1冊

幸福学の前野隆司先生とアドラー心理学の平本さんのコラボ本。
楽しみにしていました!
特に心に残った点を紹介します。

アドラー心理学の全体像がわかりやすい

アドラー心理学を一言でいえば?
嫌われる勇気? 勇気づけ? 目的論? 共同体感覚?
いえいえ、一言で言えないのがアドラー心理学です。

アドラー心理学には、
「共同体感覚」という思想・哲学
基本前提といわれる「理論」
理論に基づいた「技法」
があります。
これら全体がアドラー心理学なんです。
どれか一部分だけではアドラーとは言えません。
アドラーが初めての方にとってはここがわかりにくいところなのですが、平本さんはこの全体像をわかりやすく図式化されています。
その図はこちらの動画の中からご覧ください。
※30分くらいのところです

他にも、「これはわかりやすい!」と思わず膝を打った図がありました。
たとえば、141ページの「性格はどこからやってくる」
173ページの「不適切な行動の4つの目的」
アドラー心理学を誰かに説明するときに、こんな風に図式化すればいいんだと勉強になりました。

実例豊富で実践的、具体的で役立つ

アドラー心理学では、原因論ではなく目的論で考えることを推奨しています。そこで、ついついやってしまうのが、「原因論に原因論で関わる負の連鎖」113ページです。

「ダメ出ししちゃダメ」というやつです。
ダメ出しという行為にダメ出し、ダメ出しの連鎖です。

そこに対して平本さんは、先にダメ出しをしてもらい、それに共感してから「じゃあどうしたらいいと思う?」と言葉をかけておられます。
このあたりの実際の会話事例が豊富なんです。
まるで目の前に平本さんがいらして、実際にお話しをしているような感覚になるんです。

正しいかどうかではなく役だつかどうか

アドラー心理学では「すべての悩みは人間関係の悩み」と考えます。
この考え方にはちょっとなじめなかったのですが、これは、

そう考えた方が治療しやすい、臨床視点での仮設

なんですね。
わたしは野田俊作先生から「治療的楽観主義」という言葉で教わりました。

正しいかどうか、ではなく、より効果的かどうか。より役立つかどうか、これもアドラー心理学の特徴のひとつですね。

子育て事例もたくさん ずっとゲームをする子ども

わたしも過去に「子どもがゲームばかりする」とあるアドラーの先生に相談したことがあります。
その先生は、「まずそのゲームを一緒にやってみませんか?」とおっしゃいました。
そうなんです。ゲームの時間を決める、話し合うなどの前に、まずは子どもの関心に関心を向けることです。
「どんなゲーム? お母さんにも教えて」といって、わたしもマインクラフトを子どもに教わりましたよ。

こういうことを知ってるかどうかで親子関係は変わりますよ。

幸福学やティール組織との関係性

わたしは今から21年前に野田俊作先生のご著書に出会い、それからつかずはなれず、細く長くアドラー心理学を学んでいます。アドラー心理学に基づく親子関係講座スマイルのリーダー資格ももっています。

そして今は、幸福学を学ぶオンラインサロン「ウェルビーング大学」のメンバーでもあります。

だからこそアドラーと幸福学、どんなコラボになるのか楽しみにしていました。というわけで個人的に好きなのは<終章>の前野先生と平本さんの対談です。

「地球全体を共同体だと発想する時代」とあるように、すべての人の共同体感覚が高まれば、みんなが幸せで健康で、地球環境もよくなるんじゃないかなあと期待しています。

アドラー心理学をよく知らない方もこの機会にぜひ本書を手に取ってみてくださいね。


サポートありがとうございます。いただいたお金は、全国腰痛学校プロジェクトの交通費として使わせていただきます。