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ワクワクをバカにしていた僕は、今最高にワクワクしている

『人生を変える幸せの腰痛学校』の登場人物の一人、理島さんのその後の物語を書いてみました。

※この話はフィクションです

まさか、自分が妻の前で泣くとは思いもしなかった。
しかも涙をボロボロと流し、抑えきれず声まで出して泣くなんて。

あれはちょうど10年前のことだ。
当時、僕はある会社でシステムエンジニアをしていた。SEにはよくある話だが、毎晩深夜までの長時間労働、休日出勤も多く、たまの休みは横になって過ごした。首や肩のこりは慢性化し、腰痛に胃痛。なんらかの不調が当たり前だった。
完全に運動不足。なにか運動をしなければ、というのはわかっていたが、目の前の仕事をこなすことで精いっぱいだった。

ギックリ腰があれほどまでに痛いものだとは知らなかった。
ある朝、歯みがきを終えて少し前かがみになった瞬間、魔女の一撃が僕の腰を襲った。痛みはどんどん強くなり、ほんの少し身体の向きを変えるだけでも激痛が走る。
これはただのギックリ腰ではないのでは? この尋常ではない痛みは? 命にかかわる病気では? 今日の仕事はどうなる? 大事な納品が、クライアントが……。なんでよりによって、こんな時に?

生まれてはじめての強い痛みに自分でもわけがわからなくなりパニックに陥った。妻が心配そうに見ている。「うっ、うっ」と絞り出すように声がでたあとは、勝手に涙があふれ、自分では止めることができなかった。

普段はあまり感情をだすことのない僕が泣いている。これは緊急事態だと判断した妻が、救急車を呼び、そのまま数日間入院をした。いくつかの精密検査をしたが、小さなヘルニアがあったくらいで、これといった原因は見つからない。あの激痛はなんだったんだろう? 結局よくわからないまま退院した。

退院してからの僕は、まるではれ物にさわるように「腰」に気をつかった。少しでも腰に負担をかけてはならない。ジャンプをするなど、とんでもない。ちょうど小3の息子が、なわとびの練習をしているのを横目でみながら、教えることができないことを不甲斐なく思った。

二度とあの激痛はごめんだ。二度と腰痛にならないために何かできることはないだろうか? そして、インターネットで見つけたのが「慢性腰痛改善プログラム」というものだった。
そのプログラムでは、週に1回を8回、つまり8週間をかけて、座学と実技を行う。座学では主に「腰痛」や「痛み」について学んだ。

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