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令和2年度本試験の会社法・商業登記法を振り返る ~商業登記法編~

みなさん、こんにちは。伊藤塾講師の髙橋智宏です。

今回は、2020年本試験の択一式の会社法・商業登記法の振返りとして,私なりの分析をお伝えします。難易度等に関しては,本試験問題分析会で話がありましたので,私からは今年の試験の特徴及び近年の試験の傾向から導かれる来年の試験に向けた勉強法を重点的にお話しします。

※下記で紹介する正答率は伊藤塾調べ,過去問の出題実績は会社法施行の平成18年以降。

商業登記法の分析 ~難しい・細かい知識を問う問題~

商業登記法では難しい・細かい知識を問う問題が多く,全8問の正答率を平均すると「39%」であり,伊藤塾の分析会におけるAランクの問題は1問にとどまりました。過去問知識で解ける肢に関しても,やや発展的なものが多かったといえます。

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例えば,過去問知識で正解できる問題である第34問における「ウ」は,過去問知識だとしても細かい知識であり,押さえていなかった受験生が多かったのではないでしょうか。実際、この問題の正答率は「38%」とかなり低かったです。

■ 第34問ウ
『「社員が死亡したときは,その相続人が当該社員の持分を承継する。」旨を定款で定めている合資会社において,社員が死亡した場合には,当該社員の共同相続人のうちの一人であるAが当該社員の持分を承継する旨の遺産分割協議が成立したときであっても,Aのみの相続による加入を原因とする社員の変更の登記を申請することはできない。』→○

実際,近年の商業登記法の問題では,頻出分野(e.g.設立の登記,募集株式の発行の登記,役員等の登記)において,未出の先例や実務的な知識といった受験生が「難しい」「細かい」と感じるような知識の出題が多くなっています。そのため,不動産登記法と同様のアドバイスになりますが,商業登記法においても,頻出分野に関しては,答練等を通して未出先例等の知識及び実務的な知識を積極的に吸収するとよいでしょう。とはいえ、知識のインプットでも順序が大切なので、今年商業登記法の正解数が3問以下だった方は、年内は既出の基礎知識のインプットに重点を置き、年明けから未出知識のインプットをするようにしましょう(4問以上の方は、昨年度の答練等を活用して、年内から積極的に未出知識のインプットをすることをお勧めします)。

いかがでしたでしょうか。今後の商業登記法の学習指針を定める際の参考としてぜひお役立てください。

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