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問題制作者が語る、認定考査対策模擬演習編活用法

特別研修を受講中の方も多いと思いますが、2021年度の認定考査を受験される皆様へ向けて、認定考査対策講座模擬演習編の問題制作者である石山広之さんに、伊藤塾の認定考査対策講座模擬演習編の活用法を語っていただきました。

 認定考査対策講座模擬演習編は,主に,本考査の,①出題予想と②シミュレーションを目的として用意されたものです。

 まず,①に関しては,近時の出題状況,法改正の動向や最新判例も踏まえて,本年度の出題可能性が高いと考えられる題材を様々な角度から検討した上で作成しています。この点に関連して,単純に昨年出題された類型・論点はスルーしてもよいというわけにはいきません。もちろん,前年度と同一の訴訟類型がそのまま出題される可能性は低いですが,売買等の基本的な訴訟類型や,代理,相殺,相続等の重要項目については繰り返し,時には連続して出題されているので注意が必要です。例えば,前年の本考査で主題された請求原因としての売買代金支払請求権の要件事実が,翌年,相殺の抗弁の自働債権の要件事実として出題されることは十分考えられますし,相続は,第15回から第17回まで3年連続して出題されています。そもそも,本考査までの限られた時間の中で,個人レベルで出題予想に時間を割くことはあまり得策とはいえず,模擬演習を活用するのが近道です。

 次に,②に関しては,司法書士試験における模試と同様に,事前に本考査のシミュレーションをしておくことの重要性は言うまでもありませんが,個人でこれを行うには自ずと限界があることから,本講座の模擬演習編を受講することが有益かつ効率的です。本考査のシミュレーションという観点から,模試に臨んでは,いかに認定基準点である40点以上を取るか,そのための自分なりの戦略を考えておきましょう。一例として,7割の得点(50点)を目標として(40点を目標としてそのまま40点を取ることは難しいので),訴訟物と請求の趣旨を確実に得点し,請求原因と抗弁以下の要件事実について部分点をできるだけ積み上げた上で,第2問(司法書士の業務範囲)及び第3問(司法書士の業務規律)を取りこぼさない,という戦略が考えられます。2020年度の本考査にあてはめると,訴訟物+請求の趣旨(7点),要件事実(33点×6割=20点),第2問・第3問=15/17点,第1問小問(7)(8)=8点/13点,とすれば,全体で50点ということになり,多少の取りこぼしがあっても認定基準点をクリアすることができます。具体的な対策としては,訴訟物と請求の趣旨については,基本的なものは覚えておくしかありません。いずれも訴訟類型ごとにある程度パターンが決まっていますから,それほど難しいということはないはずです。要件事実は,特別研修やこれまでの学習の成果が正面から問われる項目です。また,第2問(業務範囲)及び第3問(業務規律)に関しては,「認定司法書士への道」〔入門編・理論編・実践編〕(伊藤塾監修)等を利用して,過去問をしっかりと押さえておくことが大切です。また,模擬演習編には,付録として「倫理レジュメ」が付いてきます。本レジュメは,司法書士の業務規律に関して,認定考査における事実上の出題範囲となっている部分を抽出してコンパクトにまとめたものであり,これにより効率的な第3問対策が可能となります。

 模擬演習後の復習に当たっては,間違えたところ・分からなかった所をレジュメの解説で確認しておくだけでも十分と言えますが,時間的に余裕があれば,過去問の同じ論点を再確認したり,要件事実の具体的な記載方法もみておくとよいでしょう。例えば,「貸し付けた」と記載すれば返還約束と金銭交付の両事実を摘示したことになる等の定型的な記載方法,規範的要件事実を摘示する際は表題を付けること,要件事実の本質的要素として摘示すべきものとその必要がないものの切り分け等を挙げることができます。

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