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北谷馨の質問知恵袋 「募集株式の発行等の、増加する資本金の額」に関する質問

今回は、「募集株式の発行等の、増加する資本金の額」に関する質問です。

Q: 自己株式の処分が混じっている募集株式の発行等があったとき、資本金の増加額が計算できません。

これは記述式試験でも出題される可能性のある話なので、しっかりマスターしておきましょう。
募集株式の発行等で、1000万円の払込みに対して1000株交付したとします。
まず、大きく3つのパターンに分かれます。

パターン① 全て新株発行
資本金は1000万円増えます(ただし2分の1までは資本金にしないことができます)。
パターン② 全て自己株式の処分
資本金は1円も増えません。
パターン③ 700株が新株発行・300株が自己株式の処分
この場合は、新株発行の700株分に対応する700万円だけ資本金が増えます(ただし2分の1までは資本金にしないことができます)。自己株式300株分の対価である300万円については資本金は増えません。
ただし、③の場合は、更に「自己株式処分差損」というものを計算する必要があります。
会社は自己株式300株を300万円で処分していますが、これによって損をしている場合があります。
例えば、自己株式300株の帳簿価額が400万円である場合、これを300万円で処分していたら、100万円の損になります。この100万円の損のことを「自己株式処分差損」といいます。
この損をした100万円は、資本金の増加額から減じます。
③のケースだと、資本金は700万円増えるはずだったのが、「自己株式処分差損」の100万円を減じて、600万円だけ増えることになります(ただし2分の1までは資本金にしないことができます)。
なお、逆に、自己株式を処分して会社が得をする場合もあります。
例えば、帳簿価額200万円の自己株式を300万円で処分したら、「自己株式処分差益」が100万円あることになります。
では差益がある場合、その分資本金の額が増えるかというと、これは影響ありません。
「自己株式処分差益」が100万円あった場合は、その他資本剰余金が100万円増えることになり、資本金の増加額には影響ありません。

パターン③については一見難しそうに感じるかも知れませんが、一度分かってしまえば簡単です。
「新株を発行した分だけ資本金が増える」「自己株式を処分して損をした分は減じる」というだけです。
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