ハンコのはなし

みなさん、こんにちは。クラスマネージャーの鈴木と申します。

今回初めて記事を書かせて頂きますが、私は普段は司法書士として実務もしているため、今後、実務の話しや仕事をしながらの受験勉強の話しなどをしていけたらと思っております。

さて、その第一段は「ハンコのはなし」です。

ハンコのはなし

司法書士試験の勉強をしていると、ハンコと聞くと、「印鑑の届出」「誰の」「何ヶ月以内」「何通つける」と複雑なことばかり思い浮かぶと思います。ですが、今回は難しいことは忘れて気楽な気持ちでお読み頂けたらと思います。

最近、脱ハンコの議論が活発にされていますが、司法書士の実務の世界はというと・・・相変わらず、どこへ行っても印鑑、印鑑と言われます。不動産登記を1件申請するにしても、認印・契印・捨印と印鑑のオンパレード、一体何箇所に押印するんだ、といった状況です。

そんな中私には「なくしてほしい印鑑」と「なくならないでほしい印鑑」があります。

なくしてほしい印鑑

その「なくしてほしい印鑑」とは、『認印』です。

登記の申請書関係に押印するものもそうですが、認印の中でも特に無くして欲しいのは、金融機関さんなどで抵当権設定に必要な書類を受領する際に「書類を確かに受領しました」ということの確認のために押印が求められる認印です。

この必ずといっていいほど求められる印鑑を、ある日、私は忘れて書類受領に行ってしまいました。当然いつものように金融機関の担当者さんに「ここに認印をお願いします」と言われました。印鑑を忘れた私は、印鑑の代わりになるものを必死に探しました。

しかし、認印の代わりに署名でもダメ、司法書士の会員証をだしてもダメ、運転免許証をだしてもダメでした。藁にもすがる思いで「100円ショップで買ってきてもいいですか」と尋ねたところ、「それなら大丈夫です。」と言われました。

事務所まで電車で片道30分かかることを考えると、戻らなくて済んだ喜びから、笑顔で近くの100円ショップまで走りました。

しかしよく考えてみると、署名よりも、司法書士の会員証よりも、運転免許証よりも、100円ショップの印鑑の方が必要というのは、あまりにも形式的な気がします。

もちろん、金融機関さんには金融機関さんのルールがあり、事前に書類受領の際に必要と言われたものを忘れた私が一番悪いのは分かります。でも、でも・・・

こういう認印は、早く無くなるといいなと思ってしまいます。

なくならないでほしい印鑑

そして「なくならないでほしい印鑑」とは、『職印』です。

あまり馴染みがないかもしれませんが、司法書士として登録する際に職印の届出というものを行います。
分かりやすくいうと、実印の印鑑登録を役所に行うように、司法書士会に印鑑を届け出るもので、「司法書士○○」といった印鑑を作り届け出るのが一般的です。

職印は司法書士として登録する際に必ず作ります。今はネットなどで注文し、短時間で格安でできるものもあり、私が同期の司法書士何人かに尋ねたところ、ネットで機械彫りのものを注文したと言う人がほとんどでした。

私は職印を作る機会など滅多にないことだから、せっかくだから手彫りで印鑑を作成してくれるお店を探しました。何件か店をまわり、実際に彫ってもらう職人さんと話しをして、一番話しが合った職人さんにお願いすることに決めました。そこから、文字や印材を選び、下書きを何枚か書いてもらい文字の構成や配置などを話し合いながら決めていきました。

たしかに、手間もお金もネットで注文するよりかかってしまいますが、店探しから、印鑑が出来上がるまでのわくわくした気持ちは、今でも鮮明に覚えています。そして、今だに職印を押印するたびに、印影をみてニヤニヤしています。

この印影をみただけで幸せな気持ちになり、かつ、司法書士になったことを実感することができる職印こそ、個人的には絶対に無くならないで欲しい印鑑のひとつです。

みなさんも合格して司法書士として登録する際は是非、唯一無二のお気に入りの職印を作ってみてください。


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