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「よくある合格者のミス」から学ぶ筆記試験合格後に絶対に覚えておいたほうがいいこと

みなさんこんにちは。クラスマネージャーの黒澤です。

今回は、「よくある合格者のミス」から学ぶ、筆記試験合格後に絶対に覚えておいたほうがいいこと、と題して筆記試験を合格した皆さんに、1年後に後悔をしないような今後のアドバイスをさせていただきたいと思います。おつきあいください。

まず、筆記試験合格後には、

①口述試験
②新人研修
③特別研修
④認定考査

などのイベントがいろいろありますので、①~④をやっていく上で起こりがちなミスやどのように考えていくと後悔がないか、という部分についてお知らせして行こうかと思います。

①口述試験について

口述試験では先の合格者などによって「きちんと出席してしゃべることができれば落ちない試験だ」というようなことは、聞いたことがある方が大半でしょう。確かに、それはごもっともなのですが、たまに何もやらないで突撃する勇者を見かけることがあります。しかし、口述に関して何もやらないで突撃するのは、多少緊張したとしても「人前でしゃべる」「自分の頭の中にある言葉を相手に伝える」ということに絶対的な自信がない限りはやめたほうがいいです。

司法書士試験に合格した方というのは、法律知識に関しては常人とは比較にならないくらいはありますが、司法書士試験は基本的には択一式試験なので、法律概念を言葉にして人に説明するということについて慣れていない方のほうが多いです。ですから、口述の現場では自分では分かっているのに言葉にできないという状況にぶちあたったりします。

たとえば、合格者にとっては共同申請主義というのは当たり前のことですが、「なぜ、共同申請主義がとられているんですか?」といわれて説明がすぐに言葉にできるでしょうか?また、司法書士の使命規定を受験時代に読んだことがある方は多いかとおもいますが、「司法書士の使命って何?」と聞かれて即答できるでしょうか?

こういったことをできるようになる知識は合格者の中には必ずあります。ですが、その知っている知識を言葉に変換する作業というのは、ある程度こなしておかないと「口が回らない」「とっさにでてこない」ということがありますので、是非、発表で合格が分かったら、口述のリハーサルや対策に関しては頑張って取り組んでいただくことをお勧めします。

具体的には、各受験指導校が開催する口述模試でまずどれだけ自分が喋れるのかというのを試していただいて、それをやったら口述までの残り時間に各種受験指導校から配布される口述マニュアルの内容を「声に出してみる」といった訓練をするとよいかと思われます。

失敗してしまっても、落とすための選抜試験ではないので大丈夫な試験なのですが、仮に自分の中の基準で本番では失敗してしまって「自分だけは落ちているかもしれない」と考えながら待つのは、筆記試験の発表まで散々地獄のように待たされたのに嫌ですよね?(口述を受けてあまりうまくいかなかった方がかなりの割合でかかる病です)。合格者であれば、あの記述の脳内採点繰り返す日々のようなことは二度とごめんなはずです。

ですから、司法書士試験の有終の美をかざる最後に位置する試験なのですから、しっかりと勉強して気持ちよく最終合格を待ちましょう。

②新人研修について

ある意味合格した方へのご褒美なのですが、ここで色々な出会いがあります。楽しんでやっていただくのが一番なのですが、一つだけアドバイスがあるとしたら、人と話すことにあまり消極的にならないでくださいということがあります。

実際のところ、「同期は大事だよ」ということはよく言われることですが、やはりその同期も色々なバックグラウンドを持った色々なタイプの方がいます。そして、やはりその中でも自分に合った人というのは、ある意味、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるといいますか、ある程度いろいろな人と話してみないと見つからないことのほうが多いです。研修というのは数パーセントの合格率の試験に受かった人間が一堂に集まる非常にレアすぎる機会なので、この機会を逃さないでください。

③特別研修について

ここが以下の④認定考査と一緒で、毎年合格者の後悔が多いところです。その失敗の原因とどうすればいいかについて以下書いていこうかと思います。

(Ⅰ、無勉で研修に突撃して意味不明になる方が多い)
②の新人研修に関しては、基本的には受動的に研修を受けていれば特に問題は起きません。しかし、特別研修の場合、研修の性質がかなり②の新人研修と異なり、一定の課題を自分でこなしてきたことを前提にグループワークで議論をしたり、指導教官から問答無用で課題内容をこなしてきたことを前提に質問をされたりします。

そして、この特別研修の課題なのですが、内容を消化しようとするとある程度前もって研修前に要件事実論等の内容を分かった状態で取り組まないと、難易度的にかなりのきつさを感じて、研修自体を楽しめなくなってしまう可能性が大です。

たとえば、一番最初の課題から「本件事案の訴状を起案しなさい」だとか、「答弁書を起案しなさい」だとかの課題を課されます。特に、勉強を何もしていない人にとってみれば、要件事実さえ全くやってないのに、いきなり書面を作れといわれるわけです。

ですから、合格後ある程度落ち着いてきたら、認定考査の勉強を少しずつでも良いので開始しておいたほうが、研修を楽しみたい方には良いかと思われます。グループワークで皆が喋っていることが全く分からん、という事態に遭遇するとおそらく確実に心が折られます。

他方で、ある程度特別研修の内容を消化できる状態で受講すると、研修に取り組むことで、ある程度認定考査に向けての「貯金」のようなものができます。特にこれは、可処分時間がなくなりやすい実務をやりながら認定考査の合格をとろうと思っている方には重要です。なぜなら、特別研修後というのは多くの就活を済ましている方というのは、実務が本格化してくる時期なので認定考査用の可処分時間をなかなか確保することが難しいからです。

(Ⅱ、特別研修にあまり気を使ってくれない事務所に就職した方が忙殺されているケース)
もし、特別研修を予定している方で早めに就職活動を考えている方は、ご自身が就職しようとしている事務所がきちんと特別研修に関して配慮してくれる事務所なのかどうかということに関しては、就職のときには確認しておいたほうが良いです。ご自身が独立したときのために認定を得ておこうと思っていたとしても、ご自身の就職する事務所が簡裁代理等関係業務を行っていない場合や使う仕事がない場合は、特別研修の取得の有無はあまり重視しないという場合が考えられます。

その場合、事務所としては研修の期間も働いてほしいと思うのが通常かと思われますので、就職の入り口の時点でミスマッチが起こらないようにご注意ください。きちんと事務所にご自身が特別研修を受けることを伝えた上で、その期間仕事を休んだりして良いか否かは、きちんと確認しておいたほうが良いです。

④認定考査について

先日、2021年の認定考査が行われたところですが、2018年度の43.1パーセントという過去最悪の認定率から一変して、近年の認定考査は2019年度は79.7パーセント、2020年度79.0パーセントと高止まりしている状態です。

ただ、間違えないでいただきたいのは、8割近く受かるんなら受かるんじゃないかと簡単な試験だと考えないでほしいなということです。逆からいえば、司法書士試験に受かった人間が10人いたら2人落ちるわけですから、よく合格後に聞く言葉になるかと思いますが「なめたら落ちます」。

また、問題自体は一度早めにみていただきたいのですが、全編に至って記述式の試験で、記載分量が多いです。司法書士試験の記述を思い出していただくと分かるのですが、書けるようになるまでに多少の熟成期間が必要です。

そこで、上記でも述べたことですが、必ず合格したいと思っている方は早めに勉強を始めてしまったほうが良いです。

合格直後の時期にこのようなことをいわれると、多くの方が合格直後は頑張ろうとするのですが、研修の忙しさや実務の忙しさの中で、勉強を早めにしたほうがいいということを綺麗さっぱり忘れます。そして、認定考査が終わったあとに「なめちゃいけない試験だ」と思います。そうならないようにするには、ご自身のスケジューリングの中に、認定考査用の勉強時間を早めに確保してしまい習慣化しておくことをお勧めします。

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