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北谷馨の質問知恵袋 「根抵当権の元本確定」に関する質問

今回は、「根抵当権の元本確定」に関する質問です。

Q:共有根抵当権、共用根抵当権(債務者複数)、設定者が共有の根抵当権、共同根抵当権などの場合において、「1人について確定事由があったときに、根抵当権は確定するか」という点が混乱しています。

原則として、共有根抵当権、共用根抵当権(債務者複数)、設定者が共有の根抵当権の場合、全員について確定事由が生じなければ、根抵当権は確定しないのが原則です。
ただし、①根抵当権の共有者の一人が目的物について競売手続を開始させた場合(民398条の20第1項1号)には、元本が確定します。
また、②ABが設定者の場合、Aに破産手続開始決定がされると、元本が確定します。(一方、ABが債務者となっている共用根抵当権の場合、Aに破産手続開始決定がされても、元本は確定しません。)
この①②は例外として押さえておきましょう。

また、共同根抵当権の場合は、ひとつの不動産について確定事由があれば、すべての不動産について元本が確定します(民398条の17第2項)。ただし、元本確定請求で確定する場合は注意が必要です。
甲土地(設定者A)と乙土地(設定者B)に共同根抵当権が設定されているとします。
根抵当権者からの確定請求(民398の19第2項)の場合は、すべての目的不動産の設定者(A及びB)に対して確定請求をしなければ、元本は確定しません。
一方、設定者からの確定請求(民398条の19第1項)の場合は、甲土地の設定者Aのみから確定請求があっても、乙土地も含めて元本が確定します。
念のためですが、甲土地の設定者がAB共有であれば、根抵当権者からの確定請求はABに対してする必要がありますし、設定者からの確定請求もABからする必要があります。

やや細かめの話も含まれていましたが、元本確定の判断を間違ってしまうと大ダメージですので、この機会に押さえておいてください。

伊藤塾司法書士試験科講師 北谷馨

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