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予備試験発表を受けて<司法試験への準備①>

1 はじめに

 受験生の皆さん、こんにちは。令和3年司法試験合格者のT・Tです。先日、今年の予備試験の最終合格の発表が行われました。合格された方はおめでとうございます。しかし、法曹への資格を得るためには、(予備試験受験生にとっては)第2の壁を乗り越えなければなりません。言うまでもありませんが、司法試験です。今回と次回のコラムでは、予備試験の受験経験がある方で司法試験を受験される方を主な対象に、2回にわたって、司法試験の対策をテーマとして取り扱います。第1回の本コラムでは、司法試験の試験問題について、予備試験との違いを意識しつつ、お話ししたいと思います。


2 短答式試験

 まずは短答式試験についてですが、特に予備試験と異なる対策をする必要はありません。短答式試験において、司法試験と予備試験とで異なる点は、科目数が予備試験では8科目であるのに対し、司法試験では憲法・民法、刑法の三科目であること、②司法試験では設問数が多いこと③司法試験では足切りがあること④司法試験では総合成績において短答式試験の成績が加味されることの4点です。他方で、問題の内容は予備試験のものとほとんど変わるところはありません。足切りラインも90~110/175点程度に過ぎず、予備試験の短答式試験を突破した方にとってはなんら障害にならないでしょう。
 以上の通り、司法試験の短答式試験は、予備試験のものよりもむしろ簡単とさえ評価できるものであり、特に新たな対策をする必要はありません。あまりに短答が苦手だという人を除けば、試験の1か月ほど前から過去問の間違えた肢を確認する程度で対策として十分でしょう。


3 論文式試験

 一方で、司法試験の論文式試験には、予備試験と比べて、小さくない違いがあると思われます。即ち、司法試験では、予備試験と比較して、所謂論点に限られない基礎的な知識から考える必要のある問題が多く出題されています。例えば、令和3年司法試験民事系科目第1問(民法)では、ある役務提供契約の性質決定について問われる問題が出題されていましたし、同年民事系科目第3問(民事訴訟法)では、弁論準備手続終結後に新たな攻撃防御方法を提出した場合の説明義務及び訴訟承継制度と、時機に遅れた攻撃防御方法の却下との関係が問われていました。こうした問いに適切に答えるには、所謂論点にとらわれず、基本的な知識を固めるべく勉強をし、試験においてはそうした知識を駆使しながら、法的三段論法によって結論を正当化することを意識することが重要だといえるでしょう。
また、司法試験では判例に関する出題も多くみられます。ここ数年の予備試験でも判例の立場について問う出題はありますが(例えば、令和2年予備試験民事訴訟法)、司法試験においては、判例の射程などにつきより詳しい検討が求められています。判例学習は、その重要性をいっそう増しているのです(とはいっても『判例百選』を端から端まで読み込むことを勧めるものではありません。判例百選の使い方については次回のコラムで触れたいと思います。)。

基本的な知識を固めるべく勉強をする

法的三段論法によって結論を正当化することを意識する


4 おわりに

以上、司法試験の試験問題について、大掴みにではありますが、お話ししてきました。次回のコラムでは、論文式試験対策の具体的な勉強方法をテーマに取り扱いたいと思います。


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