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娘が「くやしい」と言った



「うんちでるぅ」    


風呂上りというなんとも絶妙なタイミングで便意をもよおす3歳娘。  

コップくん(※ おまる)でやりたいと言うので、それ急げとリビンクからコップくんを持ってきた。  

タオルで体を拭き、ふんばり始める。  

が、なかなか出ない。 

「……でなぁい。てへへ」  

うん、だと思った。昨日もそうだったよね。うんちでるぅの顔、どことなくふざけてたしね。  

しばらくしてコップくんから立ち上がり、おむつに足を通しながら娘が言った。  

「〇〇ちゃん、おおきくなったら(トイレで)うんちできる?」  

どうした突然。  

「いや、今でもできないことはないと思うけど。保育園のお友達はみんなトイレでやってるでしょ? はい次、左足上げて」 

「……くやしい」 

え? 

「みんなができてて、〇〇ちゃんだけできないの、くやしい」 

え。ちょ、ちょ……。

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超かわいい。  

なんじゃその表情。顔中のありとあらゆるパーツを真ん中にぎゅうってして、ほっぺたぷぅーってして、お口がタコチューになってる。え、っていうかいつのまに「くやしい」っていう言葉を覚えて的確に応用できるようになったの。すごい、すごいよ。そうやって、私の知らないところでいろんな言葉を覚えて身につけているんだね。母感激です。    

……って、しみじみしている場合じゃあない。慌てて言い直した。  

「いいの、いいの。今できなくたって。そのうちできるようになるよ。〇〇ちゃんは自分のペースでやっていけばいいんだよ」  


心底くやしそうな娘の表情を見て、我ながら意地悪な言い方をしてしまったと後悔した。 
そもそもこれまでの経験上他人と自分を比べたところでプラスになることなんてない(むしろ劣等感で押し潰されることさえある)と一番わかっているのは私で、だからこそ自分の子どもにもそういう言葉をかけまいとこの子を産んだとき心に決めたはずだった。  

だれかと比較することが原動力になる人もいるかもしれないけれど、やっぱり私から娘に対して無駄にプレッシャーを与えるような言葉はかけたくないし、それよりはむしろ娘自身がだれかと比べて落ち込んでいるときに、周りなんて気にせずにあなたのペースでやればいいじゃないと言える存在でありたい。
と、そう思いつつ。  


翌日。洗濯物をたたんでいると、娘がブロックを持ちながら「おかーたんもあそぼ!」と言ってきた。 

「いいよ、洗濯物たたみ終わったらね」と言うと、 

「おかーたんだけ遊ばないなんて、〇〇ちゃんくやしい!」と返ってきた。あの顔で。

うん。ちょっと待て。これ、「くやしい」って言う場面じゃなくない?  

そういえば娘の言葉の使い方を見ていると、その場に不釣り合いというか、こないだ誰かが言っているのを聞いて意味はよくわかんないんだけどとりあえず言ってみました的な場面が何度もある。最近よく言う「おかーたん、けっこんしてください!」とかまさに。もしや昨晩の「くやしい」も――。 

という疑いが頭をかすったけれど。 

いずれにしても、娘と接する上で心に留めておきたいことを再確認した出来事だった。  


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