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【あおもり紀行】第33話。またいつか子ども達が登校する日を夢見て。横浜町立南部小学校烏帽子平分校

「おらほの桜」の撮影で、横浜町で桜スポットを探していたところ、偶然出会った横浜町立南部小学校烏帽子平分校の話。

横浜町立南部小学校烏帽子平分校

突如現れた『文』マーク

六ヶ所村から横浜町への移動中にカーナビに突如現れた『文』マーク。青森県道24号横浜六ケ所線を東から西に向かっているが、右を見ても、左を見ても森。この先に学校があるのか。これは気になる。行ってみよう。

うちのカーナビは10年以上前ので地図のアップデートはしていない。だから情報は古い。学校があっても、町の中心地から離れているため、今はもう廃校になっているんじゃないかな。

学校に桜はつきもの。日本はどこの学校に行ってもも必ず桜はある。東京あたりだと1学期が始まる頃には散っていることも多いが、わぁが子どもの頃はクラス写真は満開の桜の下で撮っていた。今も青森県内はそうなんだべか。

おらほの桜では現役の学校(とでも言えばいいのか)は撮らないようにしている。今時、学校で写真を撮ることはハードルが高い。

うちの子の学校でも、行事の写真をSNSに載せないようにと言われている。PTAの広報紙でも個人が特定される写真は使えない。仕事で学校を撮る場合も顔を写すのは当然ダメで、後ろからのクラスの引いたカットとか、ランドセルや制服とかのイメージ写真ばかり。いまや、それが公立校のスタンダードだ。

埋められた階段?

桜を撮るにしても、学校で写真を撮っているだけで十分不審者。怪しまれないためにも許可を撮ってからじゃないと通報されてしまう。廃校ならそんな心配はいらない。それよりも廃校は独特の趣があって、むしろ、いつか本腰を入れて撮りたいとも思っている。

増える廃校

一般的に廃校は町の中心地から離れていることが多い。確証はないが、戦後のベビーブームの子ども達、いわゆる団塊の世代が通うために作られた学校が多いような気がする。どこの市町村も子ども達が減って中心の1校だけに集中し、他はすべて廃校というところが多いんじゃないかな。

東京の臨海エリアだと、タワーマンションが一つ建つたびにクラスが一つ増えるなんてこともあるそうだ。タワマンは世帯数が多いから。

写真はイメージです。

横浜町立南部小学校烏帽子平分校は、ウィキペディアによると1999年(平成11年)に閉校になった。廃校一覧を見ると、青森県内にはすごい数の学校があったんだな。旧金木町でも、わぁが子どもの時には小学校が4校あった。

戦後のベビーブームで団塊の世代の人口が増え、それに合わせて学校が作られた。その子どもの団塊ジュニアあたりは、まだそれなりに人口はあったから学校は維持できたが、さらにその子どもの世代となると厳しいな。自分もそうだが、地元に残っている同級生はどのくらいいるんだべ。

烏帽子平自然の家

烏帽子平分校は丘の上に建っていて、とても見晴らしがいい。登り坂だから、子ども達は通うの大変だったべな。

校舎は今も残されている。屋根が軒並み錆びているのが痛ましい。現在は「烏帽子平自然の家」として使われているようだ。また、東北100名山の吹越烏帽子(ふっこしえぼし)への登山の道しるべにもなっているようだ。

学校のスローガンは「なかよく たのしく」
校舎付近からの景観。風車だらけ。

満開の桜

ここを訪れたのは4月18日。桜は満開に咲いていた。校舎とはだいぶ離れたところにある。なんであんなに離れたところにと思ったが、ここはかつての運動場か。使われなくなったから雑草が生えて空き地に見えたんだべな。ここで運動会をやったり、休み時間に子ども達がはしゃぎまわっていたんだべな。

桜側から。校舎とはだいぶ離れている。

8時だよ。学校が始まるよ

時計は8時ちょうどを指している

おや?校舎の時計が8時ちょうどを指している。
・・・!
子ども達が登校する時間だ!

この時計はもう動いていない。この時間にセットしたのは誰だろう。当時の校長先生かな。地域の人かな。

「8時だよ。学校が始まるよ」

いつものようにチャイムがなって、遅刻しそうな子が走り込んでくる。子ども達の声でにぎやかな教室。そこに先生がやってきて一日が始まる。かつて当たり前だった日常。止まってしまった時間。

いつか子ども達が増えて、またこの校舎に通うようになったら、そのとき時計は動き出す。8時にセットされた時計に、そんな想いが込められているような気がした。

桜は待っている

現在の時刻は午前7時半。
もうすぐ登校時間だけど子ども達は来ない。
きっと、この先も時計がまた動き出すことはないんだべな。
そう思うと、涙が止まらなくなってしまった。

なかよく たのしく

子ども達が増えて、また登校してくるのを校舎は待っている。
桜も、子ども達がいつ来てもいいように、毎年花を咲かせて待っている。
そんな気がした。

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