見出し画像

みんなに黙っていたこと。

操作イトウです。二子玉川を拠点とする、30代美容師です。

これまで美容師や髪の毛にまつわる話をnoteで執筆し始めてから、1年とちょっとが経ちました。お陰様で文春オンラインを通した発信をさせてもらえるようになり、それも半年以上続いています。

「#この春やりたいこと」というコンテストへの公募。これは、つい今し方やろうと考えていたことについてです。というかここで[公開]を押してしまえば、8割方完了してしまうのだが。

それは、隠してきた自分を明かすことです。

「誰に」「何を」隠していたかと言えば、「美容学校を共にした同級生達」に「メディアで活動をしていることについて」です。

ずっと僕は、彼らにこのことを伝えていませんでした。時に同業批判になる内容が、彼らを傷つけてしまうのではないか。僕は匿名で始めたまま、彼らに打ち明けることを恐れ、そのきっかけを失っていました。

これから、これまでの一年ちょっとの身の上話を聞いていただけたらと思います。[公開]を押すまで、僕はまだ「嫌われるんじゃないか」と不安を抱えながら書いていて、少し手が震えています。

これは「黙っててごめん」でもあるし「これからもよろしく」でもあって、美容師を頑張っている同級生達への、僕からの手紙でもあります。

noteを知ったのは2020年の年が明けてすぐ。

年末から構想は沸々と沸き上がっていました。発信する媒体はYouTubeなのか、Instagramなのか、色々考えていたのですがSNS(特にインスタのキラキラ感)に苦手意識の強い僕にとって「毎日更新しないと広がらない」とされるそれらは中々ハードルが高く、躊躇していました。

それは「自分でサイトを立ち上げればいいのだ」とWordPressをアカウント登録していた矢先のこと、企業向けにコンサル業を営むお客様に相談した返答でした。

「サイトウさん、noteって知ってる?」

説明を聞いてすぐ、「それ、正に自分がやりたいプラットフォームじゃん」という確信がありました。それはnoteが、僕が苦手なインスタとは対照的なものに見えたからです。

例えば、Instagramで『ワタシ今、happy!』と言う時、状況が一瞬で伝わる写真や動画で共感を得ようとする。僕は「インスタのキラキラ感」には、表層的で、上っ面に見える息苦しさをいつも抱いてしまいます。

一方で、それはnoteになると『ワタシ、今日happyでした。なんでかって言うとね、、、』とつらつらと長文を書き連ね始める。シチュエーションの細かい描写によって、「こういう場面で、こう思ったんだ」と深掘りした具体性のある共感を得ようとします。

僕はnoteに「今時、長文のブログが話題になるのか」という驚きと共に、「僕の話も聞いてもらえるかもしれない」という期待を感じました。noteの住人は、表層より深層に興味のある集まり。なんなら、インスタに疲れた人たちの集まりなんじゃないかと思ったほどでした。

そんなこんなで、既にお金を払ってしまったWordPressは「高い授業料」だと思って諦めて、noteを通して書き始めたのです。

素性を伏せて活動を始めたのは、

まず、同業批判をする事になると実感していたからです。思い浮かぶのは同級生たちの顔でした。30歳を過ぎて、彼らはそれぞれ美容師を続けていて、それぞれのスタイルを確立しているはず。彼らを傷つけたくはありませんでした。

毎年、季節の行事には集まる仲なので、みんなで会う機会でサラッと打ち明けようか、などと思っていましたが、それはいつの間にかコロナ禍によってタイミングを失ってしまいました。

また自分が「有名美容師」ではないという劣等感もまた、その一因です。街の一美容師でしかない僕にネームバリューは無いし、ならば顔と名前を隠しても一緒だろう、と考えていました。

顔と名前は出したくない。それはこれまで自分から発信する事がほとんどない「SNS下手」である自分にとって、どこかで叩かれることを回避することの方が重要だからでした。より多くの方に読んで欲しいという想いがありながら、TwitterもInstagramも、別アカでヒソヒソと動かすことしかできませんでした。

仕事のオファーが来たのは、4月の緊急事態宣言の時。

noteを始めてから半年が経とうというタイミングでした。それまではブログの反響を感じる機会があまりなかったので、記事が上がってからの反響は凄まじく、Yahoo!ニュースに大きく上がったり、Twitterのトレンド入りしたりするのに、僕はかなり怯んでいました。ですが繰り返しオファーを頂く編集者の返事から、「自分が始めた事は間違いじゃなかったんだ」と救われた気持ちでもいました。

一方で、頂いた仕事を継続するにあたって、壁にぶち当たっていました。それは、僕の書き手としての説得力です。「自分が何者なのか」を明かさないまま、文面に説得力を持たせることに苦戦していました。

より多くの方に届けるためには、TwitterもInstagramも、影響力ある人である必要があります。インフルエンサーにならないことには、僕は「何者でもない」まま、戯言を言っているのと同じ。

だが、全然フォロワーが増えない。匿名で始めたからこそ堂々としていられたのですが、それが今は足枷になっている。自分の大志を実現するためには、いよいよ苦手なSNSから、逃げていられなくなってしまいました。

なぜフォロワーが増えないのか、それは簡単なことです。誰も僕のことを知らないからです。フォロワーに友達がいないからです。

僕を信じてくれるはずの人たちに、僕は伝えられずにいました。

20歳になる前のことだったか、母から言われた事をずっと覚えています。

「貴方は自分が苦しい時ほど、人に頼ろうとしないのね」

この言葉を思い出すと、今でも泣きそうになってしまいます。いつも、人を頼る事ができない自分に後悔しています。仲間を信用していないのは僕の方なのではないか?

だから、少しみんなに頼らせて欲しいんです。

「#この春やりたいこと」それは同級生への告白です。今まで黙っていてごめんなさい。そして、これからもよろしくお願いします。








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?